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【Cycle*2023 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:プレビュー】レムコ、ポガチャル、ワウト、マチュー・・・これぞ本当の“頂上決戦” 栄光の虹を駆け上がるのはいったい誰か!?
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介2022年世界選手権男子エリートロードレースの表彰台
彼らに対峙する最大の存在が、タデイ・ポガチャル(スロベニア)だ。ツール・ド・フランスでの激闘による疲労で今大会への参加が不透明だったが、先ごろ出場意思を表明。すでにハードなトレーニングを再開しており、本番に調子を合わせてくるはずだ。レムコと同様に、“独走”はポガチャルの代名詞のひとつ。今春のアムステル・ゴールドレースで見せたような早めの仕掛けから、レースをみずからのものにする可能性は大いにある。
“王国”フランスは、過去2度世界王者に就いているジュリアン・アラフィリップが軸。同じく選手層の厚いイタリアは、テクニカルなコースに強いアルベルト・ベッティオルがチームリーダーとなりそうだ。開催地イギリスは、逃げとスプリントどちらでも対応できるフレッド・ライトを中心に戦う。
こうした「絶対エース」を擁する国のほとんどで、スプリンターも配備している点は興味深く押さえておくべきだろう。前述のとおり獲得標高は3570mだが、レース後半部のレイアウト的にスプリンターでも対応可能と見る向きがある。展開次第では、そうした脚質の選手を前線に送り込んでライバルチームに脅威を与えたり、早めの仕掛けがうまくいかなかった際のBプランとして集団スプリントを計算に入れるケースもありそうだ。
主な出走予定のスプリンター系ライダーとしては、ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)、ブライアン・コカール、クリストフ・ラポルト(フランス)、ベン・スウィフト(イギリス)、オラフ・コーイ(オランダ)、マッテオ・トレンティン(イタリア)あたり。デンマークはマッズ・ピーダスンをエースに据える公算で、最終局面までをアシスト陣がどのように構築していくか。オーストラリアもカレブ・ユアンとマイケル・ウッズがメンバー入りし、フィニッシュ前でのスピード勝負に備えている。
ここまで挙げた国・選手以外にもチャンスは十分にある。なかでも、アウトサイダーとしてアメリカ勢の動向が注目されており、ニールソン・パウレス、マッテオ・ヨルゲンソン、クイン・シモンズと、トップシーンで実績を重ねる選手たちが複数のオプションを有する。今季ブレイクしたベン・ヒーリー(アイルランド)、アグレッシブな走りから勝機をつかみにいくニルス・ポリッツ(ドイツ)、デレク・ジー(カナダ)、シュテファン・キュング(スイス)、トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー)らも忘れてはならない。スペインは、ツールでのステージ優勝が記憶に新しいヨン・イサギレがメンバー入りした。
日本勢では、新城幸也が単騎参戦。数的なビハインドをものともせず、上位進出のチャンスを図っていく。
国ごとのチーム編成で、UCIの国別ランキングをもとに各国の出場枠が決定。最大出場枠は「8」で、この8枠を持つベルギーやオランダ、フランスなどがレースをコントロールしていくものと予想される(ベルギーは前回優勝枠が追加され9人出走)。世界中が注目するレースは、現地時間午前9時30分(日本時間午後5時30分)にスタートの号砲が鳴る。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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