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【Cycle*2023 クリテリウム・デュ・ドーフィネ:プレビュー】大事故から復帰のベルナルも参戦、真夏のツール・ド・フランスを睨んだ駆け引きはこのクリテリウム・デュ・ドーフィネでゴングが鳴らされる
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸写真:2022クリテリウム・デュ・ドーフィネ
2022年のクリテリウム・デュ・ドーフィネは、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチがアシスト役のヨナス・ヴィンゲゴーの強力なサポートを受けて総合優勝した。大会後のインタビューでログリッチは「僕ら2人のどちらかが次のツール・ド・フランスで勝てるだろう」と断言したことを覚えているだろうか?
直後のツール・ド・フランスではタデイ・ポガチャルの3連覇を阻止するために、ログリッチがエースナンバーを、ヴィンゲゴーが末尾のナンバーをつけて参戦することになるのだが、最終的には若いヴィンゲゴーが山岳で強さを見せつけて初優勝をさらった。チームメートのワウト・ファンアールトもクリテリウム・デュ・ドーフィネで好調を見せつけ、ツール・ド・フランスへの準備が整っていることを証明した。
2023シーズン、ユンボ・ヴィスマはヴィンゲゴーをツール・ド・フランスでのエース、ログリッチはジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャで勝利をねらうという作戦に。まずはログリッチが見事にジロ・デ・イタリアで初優勝。ブエルタ・ア・エスパーニャに備えてツール・ド・フランスはパスする予定だ。
ジロ・デ・イタリアで疲弊した出場選手もいったんは実戦を離れる。選手層の厚いユンボ・ヴィスマは、このクリテリウム・デュ・ドーフィネではヴィンゲゴーと別部隊を起用して参戦してくる。クリストフ・ラポルト、ティシュ・ベノート、ステフェン・クライスヴァイクが出番となり、チームメイトとの連携を確認していく。
UAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャルはシーズン前半の骨折と回復手術を経て、7月1日のツール・ド・フランスに向けて乗り込み始めたばかりで、今大会は欠場する見込み。チームはアダム・イェーツ、ラファウ・マイカらを参戦させ、ライバルたちの調子を探る。
イネオス・グレナディアーズではエガン・ベルナルが大事故から復帰し、いよいよ本格的に参戦。ツール・ド・フランスで3年ぶりの総合優勝が狙えるほどに回復しているのか、チーム首脳陣のみならず世界中のファンが注目している。
写真:2022クリテリウム・デュ・ドーフィネ
ボーラ・ハンスグローエのエースはジャイ・ヒンドレー。5月のジロ・デ・イタリアでは大会連覇を狙わず、新たなターゲットを設定してこのクリテリウム・デュ・ドーフィネに出場する。
スーダル・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ、モビスター チームのエンリク・マスも大会になくてはならない注目選手。真夏のツール・ド・フランスを睨んだ駆け引きはこのクリテリウム・デュ・ドーフィネでゴングが鳴らされる。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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