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【Cycle*2022 ツール・ド・ラ・プロヴァンス:レビュー】世界王者たちが競り合った濃厚な4日間 キンタナが19個目のタイトル獲得
サイクルロードレースレポート by 辻 啓大会を締めくくる標高1,570mの峠頂上まで4.5kmを残して飛び立ったのは、アラフィリップではなく、アルケア・サムシックのナイロ・キンタナだった。総合で32秒遅れのキンタナの加速に対応できたのはアラフィリップだけ。しかし、ポーカーフェイスを浮かべて何度も加速するキンタナの緩急のついた走りに、アラフィリップはついに遅れてしまう。
「小さなミスを犯した。(キンタナに)反応してついていくべきではなかった」と振り返る通り、オーバーヒートしたアラフィリップの視界からキンタナの背中が離れていった。
緩急のついた走りでアラフィリップを置き去りにしたキンタナ
同日に母国コロンビアで開催されたナショナル選手権(イギータ優勝)ではなく、パリ〜ニースの準備レースとしてプロヴァンスにやってきたキンタナが1級山岳で圧勝。ステージ優勝と、まだ新型コロナウイルスの影響が出る前の2020年大会に続く2度目の総合優勝を果たした。過去にパリ〜ニースに登場した際のモンターニュ・ド・リュールと比較すると、2009年のアルベルト・コンタドールよりも、2013年のリッチー・ポートよりも登坂タイムは1分以上速かった。VAM(平均登坂速度=1時間で登れる標高差)も約1,700m/hと、ハイシーズン並みの数字を叩き出している。
2度目の総合優勝を果たしたナイロ・キンタナ
19個目のステージレース(UCIクラス1以上)総合優勝のタイトルを手にしたキンタナ。これは現役選手の中でバルベルデ(24勝)に次ぐ数字で、フルーム(17勝)やニバリ&ログリッチ(14勝)を凌ぐ。ジロ・デ・イタリアは2014年に、ブエルタ・ア・エスパーニャは2016年に総合優勝を経験し、ツール・ド・フランスでは3度総合表彰台に登っているが、マイヨ・ジョーヌはまだ着用したことさえない。これまで一貫してスペイン語でインタビューを受けてきた32歳のベテランクライマーは、フランスチーム3年目の今年、フランス語での受け答えに切り替えている。プロヴァンスの次の目標はパリ〜ニース初制覇。そして自身9回目のツールではスロベニアの双璧を崩す存在になるかもしれない。
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