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【Cycle*2022 サウジ・ツアー:レビュー】マキシム・ファンヒルス、プロ初勝利!「この経験はとにかく特別」
サイクルロードレースレポート by 辻 啓この集団分裂が事実上総合争いを決めた。青いクイックステップジャージに紛れて先頭集団に残ったのが赤いロットジャージの総合5位マキシム・ファンヒルス。後続に1分差をつけて到着した激坂は「中東のアングリル」の触れ込みも納得の難易度で、トップ選手でさえも蛇行してしまうほどの急勾配。走ってきた道が真下に見える立体的な登りで、バジオーリを振り切ったファンヒルスがフィニッシュまで独走した。
オランダ国境に近いベルギー・フランドル地方ブラッスガート(つまり周囲は完全なる平地)出身の新鋭ベルジャンクライマーがプロ初勝利とグリーンジャージを獲得した。最終ステージこそパンクによりユアンの2勝目を逃したものの、それでもロット・スーダルは大会ステージ2勝と総合優勝を達成。UCIワールドランキングで下位を低迷していたチームが既にシーズン5勝を飾り、勝利数で断トツ首位を突っ走る。
表彰式
「ユアンと約束していたんだ。自分が総合表彰台に登ることができたらスニーカーを買ってもらうってね。この経験はとにかく特別。これからも成長して、アルデンヌクラシック(フレッシュやリエージュ)でいい走りをしたい」と、同じく今大会でブレイクした同年齢22歳ブイトラゴと一緒に総合表彰台に登ったファンヒルスは語っている。
そしてサウジでのもう一人の主役は、カムバックを遂げたディラン・フルーネウェーヘンだった。2020年ツール・ド・ポローニュ第1ステージのスプリント中にファビオ・ヤコブセンを落車させて重傷を負わせ、9ヶ月の出場停止処分を受けたピュアスプリンターが、ユンボ・ヴィスマから心機一転バイクエクスチェンジ・ジェイコに移籍してシーズンデビュー。初日に機能しなかったリードアウトトレインを修正し、第3ステージと第5ステージで2勝を飾った。
「スプリント3戦2勝は悪くない。新しいチームで、新しいチームメイトたちと掴んだ勝利。ホッとしているし、次のレースも楽しみだ」。そう語るフルーネウェーヘンが表彰台で指差したチームジャージの袖にはアルウラの文字。今大会の開催地アルウラの観光地アピールを担う『アルウラ王位委員会』をスポンサーに迎えたオーストラリアチームも良いシーズンスタートを切っている。
文:辻 啓
辻 啓
海外レースの撮影を行なうフォトグラファー
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