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サイクル ロードレース コラム 2016年8月29日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第9ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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8月最後の日曜日、スペイン一周は、今大会初めてのスペイン人勝利に大いにわいた。それにしても、なんと大胆な試みだったのだろう。ダヴィド・デラクルスは、意図的に、あのナイロ・キンタナからマイヨ・ロホを奪いとりにいったのだ。賭けは見事に成功した。収穫は初めてのプロ勝利に、初めてのグランツール勝利に、初めてのグランツールリーダージャージ!マイヨ・ロホ移譲はまた、モヴィスターチームの意志でもあった。

運命の逃げ集団が出来上がったのは、スタートからほんの12kmほど走った頃だった。ハイスピードのアタック合戦を制したのは12名。すでに1勝を上げているアレクサンドル・ジェニエを筆頭に、いわゆる「逃げ常連」が数多く飛び込んだ。なにより青玉候補者が3人も揃っていた。5日間守り続けてきた大切な青玉ジャージを、前日奪い去られてしまったヒルクライマージェニエ(10pt)に、2pt差で追いかける逃げ職人トーマス・デヘント(8pt)、さらには2012年に山岳ジャージを持ち帰ったサイモン・クラーク(2pt)。行く手に待ち構える小さな峠で、三つ巴の火花を散らした。

特にデヘントとジェニエは一歩も譲らず。山頂で激しく競り合ったかと思えば、はるか遠くから取りに行ったり。この日だけでデヘントが11pt、ジェニエが9ptを積み上げ、……つまり両者19ptで並んだ!大会規則によれば、同点で並んだ場合、山頂先頭通過の数が重要になってくる。2級峠の先頭通過は両者ともに1回ずつ。3級峠の先頭通過はデヘント4回に対して、ジェニエは2回のみ。こうして、山登りは嫌いだけど山岳ジャージは好き、というデヘントに軍配が上がった。今ツールでは「赤玉」を6日間着用したが、「青玉」は生まれて初めての体験となる。

赤いジャージを狙う存在も、逃げ集団に潜んでいた。前日の時点で総合でわずか2分46秒遅れのデラクルスは、とてつもなくだいそれた夢を抱いていた。ただし後方メイン集団からは、最大でも5分程度のリードしか許されなかった。コース半ばで夢から覚めたカタルーニャ生まれのヒルクライマーは、より現実的な、「区間優勝」の目標1本に絞り込んでいた。……ところが肝心のスペインチームが、実は、ジャージを手放そうと考えていた。真意はむしろ、この先待ち受ける長く厳しい山の戦いに備えて、ジャージと共にプロトンを統率する責任も手放すこと。だから地元スペイン人のデラクルスの存在は、パーフェクトだった!

山をひとつ越えるたびに、逃げ切りの可能性は色濃くなっていった。協力しあって先を急いだエスケープの仲間たちは、いつしかライバルに変わっていった。3つ目と4つ目の山の間の「無印」峠では、ヤン・バークランツとドゥリース・デーヴェニィンスが抜け駆けを試みた。4つ目の峠を終えた直後に、またしてもデーヴェニィンスと、そして「暫定マイヨ・ロホ」のデラクルスが飛び出した。ラスト10km。これが決定打となった。

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