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サイクル ロードレース コラム
まさに完全無欠。ワウト・ファンアールト、強さの根源「まだまだ僕に出来ないことはたくさんある」| ツール・ド・フランス 2022
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デーヴェニィンスのチームメートのマティアス・フランクが、後方支援を請け負い、追走の試みをことごとく潰したおかげでもあった。残された9人が、極度の警戒ごっこを繰り広げたのにも助けられた。逃げ集団内でおそらく最も決定力のある男、ルイスレオン・サンチェスの動きに怯え、誰もイニシアチヴを取りたがらなかった。デヘントだけはお見合い合戦に付き合わず、単独で追いかけ始めたが、すでに2人は遠くへ行ってしまった後だった。
最終ナランコ峠には、4分20秒差で飛び込んだ。ベルギーチームのスペイン人と、スイスチームのベルギー人は——ちなみに来季2017年は両者はエティックスのチームメートになるのだが——、全長5.7kmの山道でせっせと先頭交代を繰り返した。ひたすら区間勝利だけが目的のデーヴェニィンスは、山頂スプリントに向けて力を出し惜しみしなかった。道の果てにマイヨ・ロホが待っていると信じて飛び出したものの、この時点のデラクルスはむしろ区間勝利のことだけを考えて……。
フィニッシュラインまで残り700mだった。エティックスの試した小さな加速に、IAMの脚が止まった。ギアチェンジのミスでまごつくライバルを尻目に、そのままデラクルスは、栄光に向かって飛び立った。プロ入り7年目にして初めて勝ち星が、山のてっぺんでは待っていた。常勝軍団エティックスには、今ブエルタ3勝目、今季グランツール8勝目、シーズン通算45勝目をプレゼントした。もちろん初物が大好きな2016年ブエルタで、グランツール区間初勝利を手にした6人目の選手となった。
しかも、中間ポイント2位通過=ボーナスタイム2秒と、区間優勝=ボーナスタイム10秒をかき集めたおかげで、歓喜の瞬間から2分34秒後には、今大会5人目の「グランツールリーダージャージ初着用」さえも許された。諦めかけていた夢が、現実のものとなった。
2週間後のマドリードで、マイヨ・ロホを着ていたいと願う集団は、最終峠の大半は淡々とスピードを上げるにとどまった。モヴィスターは文字通りのトレインを走らせ、細かい飛び出しには目をつむり、ひたすら直接的ライバルの動きだけに警戒を続けた。
フィニッシュ直前で総合10位サムエル・サンチェスが加速を切り、9位ジャンルーカ・ブランビッラが張り付いた時だけは、複合賞の白いジャージをまとうアレハンドロ・バルベルデが潰しに走った。その背後に小さな空間が生まれ、アルベルト・コンタドールとナイロ・キンタナは穴を埋めるのに少々苦戦するも、クリス・フルームの加速で全てが丸く納まった。ただ12位ゴールのブランビッラが1秒の分断を作り出すことに成功した以外は、メイン集団内の総合候補には揃って同タイムが記録された。
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