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サイクル ロードレース コラム 2017年6月29日

【ツールに恋して~珠玉のストーリー21選~】今大会きっての千両役者、ペーター・サガンの野望

ツールに恋して~珠玉のストーリー21選~ by 山口 和幸
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※本企画は2017年に実施されたものです。予めご了承ください。

世界中の自転車ファンを魅了して止まないTour de France。男たちの激闘の裏に隠されたHUMAN DRAMAに僕らは胸を打つ。ここに紡ぐ珠玉のストーリー21選があなたに届くとき、聞こえるのはきっと、ツールへの恋の予感。

【STAGE 20】現世界王者、ペーター・サガン(スロバキア)

現世界チャンピオンのペーター・サガンは2017ツール・ド・フランスで6年連続のポイント賞と区間7勝の上積みをねらっていく。日本でも人気のある選手だが、初めて脚光を浴びたのは2012年の大会2日目、第1ステージだった。

2012年はベルギーで開幕した大会だった。スロバキアのナショナルチャンピオンジャージーを着用したサガンはまだ無名に近い存在。初日にプロローグが行われ、大会2日目はベルギー・アルデンヌ地方特有の起伏のあるコースが舞台となった。全日程の中では平たんステージとして区分されていたが、波状的なアップダウンが選手の脚の筋肉に乳酸をため込ませ、ペダリングする力を奪っていくという、ハードなコース。サガンはこんな状況が得意だった。

スタート直後に逃げた6人は残り8kmで吸収されていた。スーパースプリンターのマーク・カベンディッシュがたまらず大集団を脱落したほど、この日のアップダウンは厳しかった。スプリンターが活躍できる舞台ではなかったのだ。

ベルギーファン期待の選手は、急坂でアタックを仕掛けてそのままゴールまで逃げ切る勝ちパターンを持つフィリップ・ジルベール。ところが22歳で、初出場らしからぬ冷静さを備えたサガンがゴール前で飛び出し、初勝利を射止めた。

さらにサガンは翌日にポイント賞のマイヨベールを獲得。そして4日目には区間2勝目を挙げた。

「区間2勝はうれしいが、ボクにはもっと大きな目標がある。それはこの緑色のジャージ、マイヨ・ベールを最終日のパリまで守ることなんだ」 その後の戦いは中間スプリントポイントでの得点獲得も視野に入れて、ポイント賞で逆転を許さない走りに徹した。 「つまり3勝目はねらわないのか?」と記者が質問すると、「まずはポイント賞争いを優先する。でもそうすることでボクはもっと勝てると思う」 その言葉どおり第6ステージで3勝目。そしてパリまで一度もマイヨ・ベールを譲ることなく、初めてのポイント賞を獲得した。 もともと過酷なシクロクロスやMTBで鍛え上げた選手。ウィニングポーズのパフォーマンスは2012年から見せているファンサービスで、世界中の人たちを喜ばせてくれる。表彰台で女性のお尻をさわって強烈に非難されたことはあるが、2017年もどんなことをしてくれるのか、最も注目すべき選手だ。
代替画像

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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