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【北陸学院高等学校】ハーフコート・オフェンスに持ち込んでの遂行力で福岡第一を脅かすも、4Q終盤で力尽きての2回戦敗退 | 高校バスケ ウインターカップ2023
ウインターカップコラム by 青木 崇脊戸新太(北陸学院高等学校)
2019年のウインターカップ同様、1回戦に勝利した後の対戦相手が福岡第一となった北陸学院。濱屋史篤コーチは数多くのセットオフェンスを用意し、試合で遂行できるように選手たちを育てる指揮官である。11月にウインターカップの組み合わせが決まると、北陸学院は関西大北陽に勝ち、福岡第一と対戦できるように入念な準備をしてきた。
84対71で1回戦を突破して迎えた福岡第一戦は、1Q序盤で3対12とリードされてしまう。しかし、選手たちは決してパニックに陥ることがなく、3Pショットやアグレッシブなドライブでファウルをもらってのフリースローで得点を奪えたことで、仙台大附属明成が受けたような怒涛の猛攻に直面することはなかった。1Q残り14秒に加藤鴻汰がトップから3Pショットを決めると、北陸学院は17対15とリードを奪う。
2Qになってからショットがことごとくリングに嫌われて8点に終わっていたものの、福岡第一のプレッシャーに対応し、ボールと選手が連動してのオフェンスでいいショットが打てていた。「10点差以内で進めば、十分にチャンスがある」と感じていた濱屋コーチは、選手たちがゲームプランをしっかり遂行しているという手応えを持っていた。
12点ビハインドで迎えた3Q、福岡第一はディフェンスのプレッシャーをさらに強め、ターンオーバーがきっかけの失点が続き、7分6秒で後半1回目のタイムアウトをコールする。リードを17点まで広げた福岡第一に流れを一気に持っていかれそうな局面だったが、須崎陽大がオフェンシブ・リバウンドから3Pショットを成功。さらに、村本歩夢のカットインからのレイアップ、小野蓮太と脊戸新太の連続3Pショットによって、北陸学院は追撃の狼煙を上げた。
「アウトナンバーになった後の3Pが入ったことで、(福岡第一)プレスがしにくくなったと思います」と濱屋コーチが話したように、福岡第一はその後ハーフコート・ディフェンスで対応をせざるを得なくなっていた。これこそが北陸学院の狙っていた形。ボールと選手が連動しながら、スクリーンをかけた選手がアウトサイドに出て3Pを打つピック&ポップ、さらに活発にボールを動かしてからのフィニッシュで得点を重ねていく。キャプテンの脊戸は、準備したゲームプランが遂行できていたと振り返る。
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【ハイライト】福岡第一(福岡) vs. 北陸学院(石川)|高校バスケ ウインターカップ2023 男子2回戦 Bコート(12月25日)
「福岡第一はゾーンプレスとか前から当たってくるディフェンスが特徴的で、そこが強みとスカウティングでわかっていました。プレスが強い分、ボールを運び切れると自分たちがアウトナンバーを作って有利な展開に持っていけると考えていたので、後半に相手がプレスで仕掛けてきたんですけど、それを遂行しました」
3Q終了間際に須崎がブザービーターを決めて8点差とした北陸学院は、4Q序盤に引き離されかけても、脊戸がスティールからレイアップを入れるなど、58対94で敗れた4年前の試合とまったく違う粘りを見せる。5分47秒、高田蓮央がドライブすると、スクリーンをかけた後にトップの位置に動いた加藤が見事に3Pショットを成功。57対60と3点差に詰め寄ると、福岡第一の井手口孝コーチはたまらずタイムアウトをコールした。
タイムアウト後のディフェンスで福岡第一を止めることができれば、北陸学院の勢いは継続して逆転というシナリオも十分に考えられた。しかし、それをさせなかったのは、足首の故障から復帰した崎濱秀斗。4分55秒にショットクロックが0になる寸前に3Pショットを決めると、次のオフェンスでもジャンプショットで得点して8点差まで引き離すことに成功。「ピック&ポップの3Pで追い上げたけど、ちょっと焦りと欲が出てしまったかもしれなません」と濱屋コーチが悔やんだように、北陸学院は4Q終盤でオフェンスの精度が下がってしまい、残り1分29秒にセカンドチャンスから脊戸が3Pショットを入れて5点差にするのが精一杯だった。
留学生2人を相手に最後までタフに戦った3年生の村本は試合後、「自分たちは日本人選手たちだけで小さいけど、留学生がいるチームであっても強い気持ちで戦えれば勝てるというところをわかってほしいと思ってます」と振り返る。2年生の須崎と1年生ながら11点を記録した小野蓮太には、新チームを牽引してほしいという想いを託した。
ファイナルスコアは62対74。3年ぶりにウインターカップに戻ってきた北陸学院にとって非常に悔しい敗戦となったが、濱屋コーチは「ゲームプランを遂行したということでは、今年のベストゲームでした」と選手たちの頑張りを讃えた。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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