千賀滉大、AIが予測する2025年シーズン成績：2桁勝利で防御率3点台と予測

千賀滉大（メッツ）

昨シーズンに続き、今シーズンも『Opta』のAIによる成績予測を掲載する。第11回は千賀滉大（メッツ）だ。

決め球の『ゴーストフォーク』をさらに効果的にするであろう、新球シンカーをレパートリーに加えた千賀滉大。

今季のMLBでどのようなバウンスバックを見せてくれるかは楽しみなところだが、昨季メッツのエースに起こったことを思い返すと、現時点で楽観的な見通しを立てることに一抹の抵抗を感じなくもない。

振り返ってみると、ケガにより復帰が7月下旬までずれ込んだ昨季のレギュラーシーズンで右腕は1試合の先発登板に留まっている。

その試合では負傷により緊急降板するまで、5回1/3を投げ、2安打2失点、9奪三振1四球と好投したものの、再び中断期間を経て復帰したポストシーズンでは、3試合に登板し（うち先発2試合）、計5回を投げて6安打7失点、防御率12.60と、散々な結果に終わったのである。

健康状態、そして本来のパフォーマンスが戻っていれば、メジャー1年目の再現も期待できるはずだが、問題はそのコンディションがシーズンを通して整うかどうかである。ちなみに、千賀がMLBのルーキーイヤーだった2023年シーズンに残した数字は以下の通り。

登板29 先発29 投球回166.1
防御率2.98 勝利12 敗戦7 奪三振202
与四球77 与死球5 自責点55 失点60 被安打126 被本塁打17
奪三振率10.93 与四球率4.17 被本塁打率0.92 被打率.206
BABIP.277 FIP3.63 WHIP1.22

正にエースという堂々たる成績であり、メッツがナショナルリーグ東地区でブレーブス、そしてフィリーズと三つ巴の優勝争いを展開することが予想される今季は、それを現実のものとする上で、千賀には上記、あるいは上記を上回るパフォーマンスが求められることになる。

では、AIはそんな千賀の2025年シーズンをどう予測しているのだろうか。

登板33.46 先発25.87 投球回156.30
防御率3.89 勝利9.84 敗戦8.53 奪三振188.82
与四球73.44 与死球7.06 自責点67.51 失点74.37 被安打122.03 被本塁打15.71
奪三振率10.87 与四球率4.23 被本塁打率0.90 被打率.211
BABIP.299 FIP3.69 WHIP1.25

全体的に、やや悲観的ながら手堅く当てに行く感じの数字はいつも通りのAIだが、注目すべきは登板約33試合に対し、先発は約26試合と、右腕のブルペン転向を予測しているところだろう。

これはAIにしては思い切った大胆予測である。予測されるその他の数字を見ると、確かに2023年の水準には達していないながら、防御率は3点台で勝率も5割以上と、ブルペンへ配置転換されるほど悪い成績には見えない。

メッツの先発ローテーションは、ショーン・マナエアとフランキー・モンタスを欠いた状態で開幕を迎えるため、千賀がクレイ・ホームズと並ぶ開幕ローテーションの主軸として開幕を迎えるのは間違いないと断言できる。

となると、AIはマナエアとモンタスが復帰した後、そろそろの初秋の足音が聞こえようかという時期に、先発ローテーション4番手以降のグリフィン・キャノン、タイラー・メギル、そしてポール・ブラックバーンあたりが、千賀より優れた投球をしているか、あるいは夏場のトレードで大物先発投手を獲得すると呼んでいるのだろう。

ちなみに、データサイト『FanGraphs』が採用する『Steamer』予測でも、今季の千賀は防御率3.79で10勝9敗と、2年前よりやや成績を悪化させる中で、34試合の登板に対し、先発は26試合と、ブルペンへの移動を予想している。

珍しく両者の予測が一致したところで、ある疑念が湧いてくる。昨季の千賀はレギュラーシーズンとポストシーズンを合算すると、前述の通り、4試合に登板し、先発は3試合だった。

これは先発投手でも、場合によっては中継ぎやクローザーとして登板することもあるポストシーズン特有の事情によるものだったのだが、数字上、昨季の千賀は出場試合全体の1/4は救援で登板しており、あるいは、AIたちはこれを額面通り受け止め、今季のレギュラーシーズンでも千賀が、登板試合の1/4はブルペンから出てくると単純計算しているのではなかろうか。

まさかと思い、計算してみると、AIが予測した千賀の登板試合数33.46の3/4は25.095、そして『Steamer』予測の34登板の3/4は25.5となり、両者の予測する先発試合数とほぼ同じとなる。

AIと向き合って問いただしてみない限り、真相は藪の中だが、もし深い考察をすることなく、単純計算に基づく数字を提示したのだとしたら、AIもとんだ手抜きをしたものである。