前田健太、AIが予測する2025年シーズン成績：引き続き、ブルペンに活躍の場を見出すもパフォーマンスは上向く

前田健太（タイガース）

昨シーズンに続き、今シーズンも『Opta』のAIによる成績予測を掲載する。第9回は前田健太（タイガース）だ。

日本のMLBファンにとっては、昨年苦しいシーズンを送ったベテランの前田健太が、若きタレント軍団であるタイガースで、どのようなバウンスバックを見せるかは、今季MLBの見どころの1つと言えるだろう。

では、AIがそんな前田の2025年シーズンをどう予測しているか確認する前に、昨季のベテラン右腕によるスタッツを振り返っておこう。

登板29 先発17 投球回112.1
防御率6.09 勝利3 敗戦7 セーブ0 奪三振96
与四球31 与死球5自責点76 失点80 被安打124 被本塁打22
奪三振率7.69 与四球率2.48 被本塁打率1.76 被打率.281
BABIP.309 FIP4.96 WHIP1.38

要約すると、昨季は前田にとってMLBキャリアワーストシーズンということになる。上記の数字では、防御率、勝利数、被本塁打、奪三振率、被本塁打率、被打率、FIP、そしてWHIPでキャリアワーストを更新している（被本塁打のみ自己ワーストタイ）。

上記以外でも、クオリティスタート数（2）、ストライク率（.630）、1イニングあたりの平均投球数（17.43）、被OPS（.822）、K/BB（3.10）といった項目で自己ワーストを更新しており、このパフォーマンスの低調さから、昨季は7月中旬にブルペンへの配置転換となった。また、ポストシーズンのロースターから外れたことも言及しておくべきだろう。

今季の前田を展望する上で、鍵となるのは、やはりこのままブルペンに定着するのか、あるいは先発ローテーションに復帰することになるのか、という点になる。

2025年のレギュラーシーズン開幕を迎えるにあたり、タイガースの先発ローテーションはタリク・スクーバル、ジャック・フラハティ、リース・オルソン、ケイシー・マイズ、ジャクソン・ジョーブという顔ぶれになっており、前田は当座、ブルペンに控えつつ、スイングマンとして不測の事態の折に先発登板するといった立ち位置になる見込みである。

そうした状況を踏まえた上で、AIの予測を見てみよう。

登板51.54 先発3.33 投球回68.16
防御率4.50 勝利2.61 敗戦3.30 セーブ0 奪三振65.24
与四球21.77 与死球3.63 自責点34.07 失点36.98 被安打64.08 被本塁打9.23
奪三振率8.61 与四球率2.87 被本塁打率1.22 被打率.245
BABIP.306 FIP4.22 WHIP1.26

AIの見立てによると、2025年の前田は引き続き、中継ぎに活躍の場を見出すことになるものの、パフォーマンス自体は上向くということになる。防御率はキャリア平均の水準（4.17）には至らないながらも、4点台には改善しており、奪三振率、被本塁打、被打率、WHIPも軒並み向上している。

与四球率は昨季と比較すると悪化しているが、キャリア平均が2.57であることを考慮すると、普段よりやや高めという数字に収まってはいる。押し並べて劇的要素のない数字ではあるが、こう言われると、今季の前田はこうなりそうな気のする数字ではある。

ただ、このスプリングトレーニングでベテラン右腕が残している数字には、ただならぬ気配が漂っていることは触れておくべきかもしれない。

今春、前田は6試合に登板（3先発）し、計14回2/3を投げ、0勝2敗、防御率4.91ながら、23奪三振をマークしつつ、与四球をわずか1に留めているのだ。奪三振と与四球の割合を示すK/BBは圧巻の23.00と凄いことになっているのである。

ただし、防御率が示す通り、4被弾を喫しており、被本塁打率も高く、重度の一発病に罹患したような数字になっている。この世にパフォーマンス計なるメーターがあるとすると、その針の振れ幅は、両方向へ振り切っているみたいなものだが、何かのきっかけで、それが片方のみへ振れることになれば、大々的な復活劇という展開もあり得そうな数字に思える。

もちろん、その針が別方向へ振れる可能性もあるわけで、今シーズン序盤の前田を観戦する際は、ある種のスリルが伴うかもしれない。