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野球 コラム 2024年11月13日

【横浜好き】ベイスターズ、26年ぶりの日本一達成。『史上最大の下剋上シリーズ』を振り返る

野球好きコラム by 大久保泰伸
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胴上げされる三浦大輔監督

レギュラーシーズン3位からの日本シリーズ進出で、26年ぶりの日本一達成。7年前と同じ状況で敗れた福岡ソフトバンクに、見事リベンジを果たしての栄冠は、まさしく(横浜)「進化」に相応しい結果となりました。

日本一を決めた試合では、横浜スタジアム周辺の公園をファンが埋め尽くし、試合後には、最寄駅につながる歩道橋で、誰彼構わずハイタッチで喜びを表現しました。貯金42の優勝チームを貯金2の3位が打ち破った『史上最大の下剋上シリーズ』を振り返っていきましょう。

◆攻守に加え、グラウンド外でも貢献したリードオフマン

シリーズ全6試合に1番・センターでスタメン出場して打率.444、1本塁打、9打点。シリーズ新記録となる、5試合連続打点も記録してMVPに輝いた桑原将志。

第2戦で0-6と劣勢の展開から反撃の2点タイムリー二塁打を放つと、第3戦では初回に二塁打を放って先制点の起点となり、5回には決勝点となる勝ち越しソロ本塁打。第4戦では満塁の場面で相手を突き放す2点タイムリー二塁打、第5戦は押し出し死球で1打点の後、日本一を決めた試合では3安打3打点の大活躍だった。

守備では代名詞となっているダイビングキャッチを2試合で披露し、グラウンド外でも、1・2戦で連敗を喫した後の選手ミーティングで、ナインを鼓舞するなど、ムードメーカーとしての役割も果たした。

◆復帰登板で流れを変えた左腕エース

横浜スタジアムで2連敗と最悪のスタートとなる中、第3戦に先発した東克樹が7回1失点の好投で勝利投手となった。

左太もも肉離れを発症した10月12日のクライマックスシリーズ ファーストステージ初戦以来のマウンドは、初回から先取点を与えるなど万全の状態ではなく、10安打されながらも2回以降は得点を許さず、福岡ソフトバンクの日本シリーズ連勝記録を14で止めた。この東から投手陣は29イニング連続無失点と、エースの熱投がシリーズの流れを変えた。

◆外国人投手2人が『来季へアピール』の快投

東の離脱で苦しくなった先発陣を外国人2人が救った。

初戦の先発を任されたジャクソンは5回途中2失点で負け投手となったが、第5戦に来日初となる中4日で先発マウンドに上がると、初回から三者連続三振を奪うなど7回を投げて被安打3、8奪三振、無失点の快投。2試合11回2/3で17奪三振と持ち味を生かした投球で優秀選手賞に選ばれた。

第4戦に先発したケイも、3回まで6奪三振のパーフェクト投球から7回被安打4、無失点で球団史上初の、日本シリーズでの外国人勝利投手となった。ケイはレギュラーシーズンでは6勝9敗と、来季の再契約には微妙な成績だったが、クライマックスシリーズ ファイナル初戦に続く好投で残留をアピールした。

◆主砲の『効果的な一発』

『新マシンガン打線』とも呼ばれるベイスターズだが、短期決戦の日本シリーズで試合の流れを決めたのはホームランだった。

第4戦では4番のオースティンが先制点となるソロ本塁打、第5戦は1点リードから牧秀悟が勝利を決定付ける3ラン本塁打、日本一を決めた第6戦は筒香嘉智の先制本塁打が大量得点の起点となった。

筒香は第5戦でも先制タイムリーを放ち、第6戦も初回に無死1・2塁のチャンスを逃した後の2回に先制弾、さらに5回にはダメ押し点となる満塁走者一掃のタイムリー二塁打。大舞台で完全復活を果たした『ハマの大砲』が優秀選手賞に輝いた。

◆緊急事態で頼れる好女房と鉄壁のリリーフ陣

クライマックスシリーズでも存在感を発揮した戸柱恭孝が、全6戦でスタメンマスクを被り、好リードで投手陣を牽引した。

レギュラーシーズン終盤戦に山本祐大、クライマックスシリーズでは伊藤光と、両捕手が離脱と危機的状況の中、7年前のシリーズでもマスクを被ったベテランがリベンジの日本一に貢献した。

その戸柱に導かれた投手陣は、第3戦の2回以降、日本シリーズ新記録となる29イニング連続無失点を記録。特に伊勢大夢と坂本裕哉が4試合、中川颯が3試合、佐々木千隼と森原康平が2試合で防御率0.00と、鉄壁のリリーフ陣が史上最大の下剋上の原動力となった。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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