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野球 コラム 2024年6月18日

全日本大学野球選手権で活躍したプロ注目の選手たち

野球好きコラム by 大島 和人
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大会MVPの佐々木泰(青山学院大学)

第73回全日本大学野球選手権大会は、6月16日に明治神宮野球場で決勝戦を行った。青山学院大学(東都大学野球連盟)が早稲田大学(東京六大学野球連盟)を2-1で下し、2年連続6回目の優勝を決めている。

大会の最高殊勲選手賞に輝いたのが青山学院の佐々木泰主将(4年)。4試合で15打数5安打8打点と勝負強さを見せ、特に準決勝の天理大学戦は5打数4安打6打点の猛打を披露した。入学直後から三塁手としてレギュラーの座を掴みつつ、春のリーグ戦は打率1割台と苦しんでいた。しかし、大一番で完全な復調、復活に成功した。

青山学院は4試合すべてを継投で乗り切った。常廣羽也斗(広島)、下村海翔(阪神)といった昨年の主戦級が卒業した中で、経験のある投手は明らかに不足していた。しかし、大型左腕ヴァデルナ ファルガス(3年)、大型右腕の鈴木泰成(2年)が勝負どころで粘りを見せ、優勝に貢献した。

早大は9年ぶりの出場だった。2回戦(大阪商業大学戦)、準決勝(東日本国際大学戦)はいずれもタイブレークにもつれ込む展開を制している。ただ、決勝戦は終盤に同点、逆転のチャンスを作りつつ「あと一打」が出なかった。

早大で印象的だったのはショート山縣秀(4年)の好守だ。身体の動き、送球動作が柔らかく、捕球から送球までの一連の動作が抜群に速い。春季リーグ戦のベストナインにも選出されていた注目株だが、守備については特別なレベルにある。

大学選手権は全国26連盟の代表が揃うトーナメントで、地方の逸材がアピールを見せる場でもある。東日本国際大(南東北大学野球連盟)は準決勝で早大に敗れたものの、エースの藤井優矢(4年)が最優秀投手賞にふさわしい活躍をしていた。4試合すべてに登板した藤井は、準決勝こそタイブレークで散ったものの、計3勝を記録。23イニングを投げ、防御率も0.78と抜群だった。

藤井は大山凌(福岡ソフトバンク)の存在や自身のケガもあり、チームの主戦になったのは4年春からと「遅咲き」の右腕だ。175センチ・75キロと決して大型投手でもない。ただ、常時で140キロ台中盤を記録する速球の球威があり、変化球もスライダー、チェンジ、カーブと抜群だった。

第73回 全日本大学野球選手権大会 決勝

【ハイライト動画】早稲田大学vs.東日本国際大学|青学、接戦を制し連覇達成

投手でもう1人評価を上げたのが、中京大学(愛知大学野球連盟)の右腕・高木快大(3年)だ。春季リーグ戦の名城大学戦で完全試合を達成するなど、既に名は伝わっていたが、大学選手権で評価を確立したと言っていい。

高木は1回戦で日本文理大学を完封。中2日の青山学院戦は8回に崩れて降板したが、7回0/3で10奪三振を記録するなど優勝校に渡り合っていた。速球の球速が140キロ台中盤と今の大学生としては、そこまで「速い」部類には入らない。しかし、上下の角度や「伸び」のある球質で、打者に面白いようにフライを打ち上げさせていた。そこは他の投手にない個性だろう。

天理大学(阪神大学野球連盟)は1回戦、2回戦をコールドで勝利するなど、強烈な打撃が印象的だった。4番・ライトの石飛智洋(4年)は1回戦と2回戦で「7打席連続安打」を記録し、そのうち4本は2塁打。準決勝進出に大きく貢献し、「特別賞」に輝いている。

山縣、藤井、高木、石飛の4選手はチームのベスト4入りに貢献しつつ、「個」としても際立っていた。実際に大学選手権の活躍を受けて、侍ジャパン大学代表の平塚合宿に追加招集されている。

侍ジャパン大学代表に招集はされていないが、インパクトの面で強烈だったのが東海大学九州キャンパス(九州地区大学野球連盟 南部)の右腕・廣池康志郎(4年)だ。185センチ・85キロの大型で四肢の柔軟性、身体能力も明らか。分かりやすく「ポテンシャルのある」大器だった。

春のリーグ戦は体調不良の影響で「1回1/3」しか登板していない。しかし大学選手権の1回戦で先発し、最速151キロの速球を投げ込んでいた。中部学院大学(東海地区大学野球連盟)を相手に5回2失点で降板し、結果としては負け投手になったが、フォームとボールで我々を魅了した。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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