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野球 コラム 2023年6月5日

明治大学、圧倒的な「個」の集合体で東京六大学を3連覇。全日本大学野球選手権で頂点を目指す

野球好きコラム by 明大スポーツ新聞部
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明治大学は戦後初のリーグ3連覇

「85年ぶり」「戦後初」―――。聞き慣れない枕言葉の数々はリーグ戦3連覇という偉業の価値を引き立てる。今季圧倒的な強さで東京六大学を制した明治大学。対戦した全チームから勝ち点を挙げ、さらにチーム打率・防御率はともにリーグ首位と他大学を全く寄せ付けなかった。

「個の力が強いのが今年のチーム」と話すのは今季7試合に登板し、胴上げ投手にもなった蒔田稔投手(商4=九州学院)。昨年度以上に個々の能力が際立つ圧巻の完全優勝は、黄金期の到来を予感させた。

攻撃のバリエーションが増えたことは今季の勝因の1つ。春・秋のリーグ戦を連覇した昨年度は、今年度も引き続き中軸に座る宗山塁内野手(商3=広陵)、上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)の『MU砲』が好調で、打点を量産した。この2人へのマークが厳しくなる中、新たな「個」を発揮して見せたのが飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)だ。

指定校推薦入学からレギュラーにまではい上がったこの男、最大の武器は驚異的な脚力。今季明大が記録したリーグトップの15盗塁の内、約半数となる7は飯森によるものだった。飯森というプレイヤーそのものが戦術へと昇華した印象的な試合がある。開幕戦の東京大学1回戦だ。

1点を追う8回裏。投手横への平凡なゴロを内野安打にして見せた先頭の飯森は続く3番・宗山の打席で、すかさず初球からスタート。勝利がちらつく相手バッテリーの動揺を誘った。捕手の送球がそれる間に3塁へ進塁。その後の暴投で本塁へ生還した。同点とした明大はその後10回裏に犠飛でサヨナラ勝利を収めた。

課題だった非力な打撃も今季は大幅に改善。昨季の打率.225に対し、今季は.426と飛躍を遂げ、首位打者のタイトルを獲得した。「まずは強く振ること。がむしゃらにプレーし続けた結果」(飯森)。持ち前の走力に打力を加えた新たな2番打者像『戦術飯森』の誕生は優勝への大きなエンジンとなった。三振数の増加は課題として残るものの、安易に小技に頼らず勇敢に強い打球を追い求めた飯森。かつての非力な走り屋の姿はもうそこにはない。

昨年度果たせなかった大学4冠を目指す

強いチームには日替わりのヒーローがいる。試合ごとに新戦力が躍動したのが今季の明大だ。慶應義塾大学との2回戦では、内海優太内野手(商1=広陵)がリーグ戦初安打となる代打本塁打で快勝。法政大学との1回戦は1点を勝ち越された直後に、木本圭一内野手(政経2=桐蔭学園)の逆転本塁打で勝利をもぎ取った。

天王山となる早稲田大学1回戦は、リーグ戦初スタメンの今井英寿外野手(政経2=松商学園)が5打数4安打4打点と神懸かり的な活躍を見せ大勝した。「全員生き残るために必死でやっている。1打席に対する準備力はどこにも負けないと思う」(今井)。1球への執着心は、結果となって現れた。

チーム防御率1.47と奮闘した投手陣の充実も忘れてはならない。今季は12人の投手が登板。中心はエースの村田賢一投手(商4=春日部共栄)だ。昨春から主戦として台頭した右腕は今季7試合に登板し、3勝0敗防御率0.80とエースの責務を全うした。ハイライトは今季初勝利となった法大2回戦だ。好調の法大打線に対してツーシーム、カットボールなど多彩な変化球を変幻自在に操り、完封勝利を達成した。

村田を始め、蒔田、石原勇輝投手(商4=広陵)ら軸として活躍する4年生。そこに浅利太門投手(商3=興国)、毛利海大投手(情コミ2=福岡大大濠)など、新戦力が加わる。充実の投手陣は従来の型に囚われない柔軟な起用を可能にした。

圧倒的な「個」の集合体。「実力のある選手が努力している環境だから、気を抜けることがない」(宗山)。屈指のエリートによる激しい競争が、このチームの強さを裏付ける。悲願の大学四冠達成に向け、舞台は新たなステージに突入した。

文:上瀬拓海/写真:伊藤香奈、中村謙吾(明大スポーツ新聞部)

◆全日本大学野球選手権大会 2回戦
・6月7日(水)14:00 神宮球場
・(東京農業大学北海道オホーツクvs.日本体育大学の勝者)vs.明治大学

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明大スポーツ新聞部

1953年(昭和28年)創部。現在明治大学において唯一の学生新聞部。明治大学体育会43部の競技成績や、学内外の話題を幅広く紙面・WEBサイト上にて掲載、発信。 現在の部員数は56名。

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