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今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には、どうやらメジャーのすごい選手がたくさん出るらしい。野球ファンの方々は、ざっくりとそんな捉え方をしているでしょう。
では、なんで?
どうして一流選手たちが、今までは出場しなくて、だんだんと出場するようになったのか?
ちなみに過去の大会で一流選手がいなかったわけではない。実際、第1、2回大会では当時、メジャーの“顏”でもあるデレク・ジーター(ヤンキース)が参加しているし、A・ロッドことアレックス・ロドリゲスは第1回大会に出場している。ただ、2006年の第1回から16年。第5回を迎える今回は、一流どころがより多く参戦表明している。
「楽しそう」。そんなシンプルで重要な理由が根本にある。実際にアメリカ代表のキャプテンを務めるエンゼルスのマイク・トラウト外野手(31)は、WBC初参加の理由を次のように語っている。
「(前回大会でアメリカ代表は)雰囲気も良くて、みんな楽しそうだった。自分はいつもフィールドで楽しくプレーすることを心がけているから、あの場にいたい、と思った」
野球、そしてチームスポーツの原点を選手たちは求めているのかもしれない。一致団結して、勝利を目指し、喜びを共有する。代表に選出されるプレーヤーはむろん、各所属チームでは主力のはず。メジャー契約を保持し、ある程度の地位や名誉、所属チーム内での立場、そしてお金も手にした選手たちだ。ある程度“満たされた”彼らが一体感や結束を感じながら、楽しく勝利を目指すWBCでの代表戦に魅力を感じているのだろう。
例年2月中旬から3月の終わりまで行われる春季キャンプとオープン戦は長く感じるもの。メジャー経験が長期間の選手なら、なおさらだ。だから、WBCのチームで新鮮な気持ちでエキサイティングな試合に出場すれば、結果としてレギュラーシーズンに向けたいい調整になる、というわけだ。故郷やルーツを同じくする選手たちと一丸になってチャンピオンを目指そうぜ!ってな空気。レギュラーシーズンでは満たされない、あるいは別物の充実感や達成感を望んでいるのかもしれない。
だから、アメリカ代表やドミニカ共和国代表、プエルトリコ代表の選手たちには、国を背負う喜びを感じていても、いわゆる悲壮感みたいなものはない。極端にいえば、チームが劣勢になっても個人的に切羽詰まったり、精神的に追い込まれることもない(たぶん)。そこはある種、日本との温度差かもしれない。
アメリカ代表は打者で超一流をそろえる一方で、投手はレンジャーズのジェイコブ・デグロム投手(34)、マックス・シャーザー投手(38)、ヤンキースのゲリット・コール投手(32)らが代表入りしていない。投手に参加への慎重派がいたり、球団が派遣に難色を示すケースは相変わらずあるようだ。それでも第5回を迎え、日本代表は過去最強メンバーと評判が高く、それと同時に他の国・地域もまた歴代最強になりつつある。
3大会ぶりの世界一を目指す侍ジャパン。ライバルもまた、バリバリのメジャーリーガーをたくさんそろえて超手ごわい、ということを日本のファンのみなさも知りつつ応援すれば、そこで戦う日本選手のすごさも分かり、楽しみも倍増するのではないでしょうか。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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