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2022年5月17日。三塁ベース上で「67」番はやや控えめなガッツポーズで自身の先制打を称えてみせた。北海道日本ハムファイターズ・加藤貴之の外寄り低めのボールを捉えた打球は、センター・松本剛の遥か頭上を越えていった。「無心で喰らいついていった結果のヒットでした。ガムシャラな感じの僕らしいヒットでした」確かな手応えを感じたその一打こそ、“無敵の圭太”復活のプロローグとなる。
2019年のルーキーイヤーは交流戦で首位打者に輝くなど、勝負強い打撃でチームの大きな戦力となり得たものの、更なる飛躍を期待された2年目以降は不調に故障も重なって苦しい時を過ごすことになった。「昨年は(左手有鈎骨)骨折の手術もありましたし・・・。チームは優勝しましたが、自分は何もできなかった。悔しい気持ちが強かった」と、苦しい胸の内を吐露。それでも、一軍で活躍する自らの姿をイメージしながら、その時々の課題と向き合いながら、集中力だけは切らさないよう心を砕いてきたという。
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J SPORTS STADIUM2022オリックス vs. 楽天(06/29)
放送日:2022年6月29日(水) 放送時間:午後 5時 30分~
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J SPORTS STADIUM2022オリックス vs. 埼玉西武(07/05)
放送日:2022年7月5日(火) 放送時間:午後 5時 30分~
今季の開幕はファームで迎えた。「手術後のリハビリ段階で、なかなか以前の感覚が掴めずにいましたから、開幕一軍は無理だとは思っていました。ただ、いつ呼ばれてもいいように準備だけはしっかりやろうと」本来の打撃の感覚を取り戻すべく、取り組んだのはウエイトトレーニングだった。「下半身の筋力アップです。打つ際のインパクトをより強くすることが目的でした」その成果はファームでの実戦の中で現れはじめた。「4月中旬ごろからでしょうか・・・。右中間方向にライナー性の強い打球が出始めてきたのです。『これだ!』って感じで・・・」
今季2度目の昇格は5月初旬。そこから、“無敵の圭太”の復活ロードは始まった。前述の手応えを感じたというセンターオーバーの長打もあれば、ヒットゾーンにボールを上手く運ぶ“渋い”ヒットも彼の持ち味だ。評論家諸氏が中川圭太を評する時、口を揃えて、彼の“渋さ”に言及する。「以前、風岡(尚幸)コーチから言われたことがあって・・・。フリー打撃で気持ちよく打つのもいいけれど、野手のいないゾーンを狙って打つのも練習だと言われて。確かに、どんなに悪い当たりでも誰もいないところに打球が飛べばヒットですからね(苦笑)。でも、そんなヒットも僕の持ち味かもしれませんね」長打もあれば、相手に大きなショックを与える渋めの一打もある。中川圭太の真骨頂なのだ。
中川圭太の強みは彼が持つ“渋さ”だけではない。内外野の複数ポジションを守れ、いかなる打順にでも適応できるユーティリティー性もまた、彼の大きな魅力である。今季、ここまで(6月27現在)、2番、8番、9番以外の打順を任され、守ってもレフトとファーストを高いレベルの守備力で無難にこなす。「はっきり言って、打順にはこだわりはないですね。走者がいなければチャンスメイクに徹し、ランナーがいれば塁を進め、ホームに還すことを考える。とにかく、後ろにつなぐ意識でいますから打順は関係ないですね。守備では、毎試合、外野用とファーストミットを2つずつ。グラブをたくさん用意しないといけない(笑)」
中川圭太を語る際、中嶋聡監督との関係性に触れないわけにはいかないだろう。「中嶋監督は厳しくもあり、優しい人。選手に愛情を向けてくださる監督ですね」昨年、一昨年とファームを主戦場としていた中川圭太にとって、中嶋監督と共にした時間は長い。二軍でもがいていた中川だが、中嶋監督からの言葉に救われ、目の前が大きく開けたと言う。「監督から『とにかく思い切りやればいいんだよ』って言われて。結果を追い求め過ぎていた自分に、この言葉は響きましたね。結果よりも、まず悔いのないように思い切ってプレーしようと思った時、気持ちが楽になりました」シンプルだが、物事の本質を射抜く指揮官のひと言で、中川圭太は覚悟を決めたのだ。
ファームで若い戦力の育成に力を注いでいた中嶋二軍監督が監督代行として一軍に呼ばれたのが2020年夏。当時、ファームで4番を張って好調だった中川を、中嶋監督は“無敵の圭太”と称して、一軍でも4番に抜擢した。このことはオリックスファンなら誰もが知るエピソードだ。「僕は“無敵”ではないですが、監督がそう表現してくださるのも、期待の表れだと考えれば有難いですね」と中川は笑う。2年の苦しみを経て、得たものは何物にも替えがたい財産。苦しい時を過ごしてきたからこそ、見えてきたものもあるはず。2022年シーズンも中盤。チームの大きな戦力として存在感を示しつつ、再び輝きを放ち始めたのは確かなこと。“無敵”の境地を目指して・・・。中川圭太の歩みが止まることはない。
取材・文:大前一樹
大前 一樹
1961年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業。 放送局アナウンサーを経て独立。今は、フリーアナウンサー、ライターとして活動中。 有限会社オールコレクト代表取締役、アナウンサー講座「関西メディアアカデミー代表」。 「J SPORTS STADIUM2022」オリックス・バファローズ主催試合の実況を担当。
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