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広島好きコラム
開幕まであと1週間となりましたが、カープは今季の4番打者がまだ確定していない、というのが現状です。MLBのシカゴ・カブス入団が決まった鈴木誠也の抜けた4番が誰になるかは、今季最大のテーマです。そこで今回は「4番・鈴木誠也」の5年間を振り返ってみます。
◆2017年:4番での成績は98試合、打率.300、24本塁打、80打点
2016年の交流戦で2試合連続サヨナラ本塁打を放ってブレイクした鈴木が、初めて4番に抜擢されたのが、翌年の2017年でした。とは言え、その年の開幕4番は新井貴浩で、鈴木が初めて4番に入ったのは、開幕から10試合目の巨人戦。その後は8月後半まで4番に定着しましたが、8月23日に横浜スタジアムでのDeNA戦でフェンス側の打球を追った際に足首を骨折し、無念の戦線離脱となってしまいました。
この年の鈴木の4番での成績は、98試合で打率.300、24本塁打、80打点。その他の4番に入った選手では、松山が23試合で打率.395、5本塁打、25打点と高打率をマークし、新井が21試合で.312、3本塁打、15打点、1試合のみのバティスタはノーヒットに終わっています。
◆2018年:115試合、打率.322、30本塁打、93打点
2018年は開幕4番でスタートした鈴木ですが、手術した足首の不安もあり、わずか2試合でスタメン落ち。代役の4番はエルドレッド、松山、バティスタ、メヒアが務めました。4月中旬から4番に復帰し、シーズン終了までその座を守ったこの年は4番以外の打順での先発出場は1試合のみで、4番成績は115試合で打率.322、30本塁打、93打点。
それ以外の選手の4番での成績は、松山が14試合で打率.278、2本塁打、14打点、エルドレッドが6試合で打率.167、2本塁打、7打点、バティスタが6試合で打率.150、1本塁打、4打点、1試合のみのメヒアは4打数1安打(二塁打)でした。
◆2019年:108試合、打率.336、22本塁打、77打点
背番号が1となり、開幕から4番を務めた2019年は、打率.335で初タイトルとなる首位打者を獲得。それでも8月中旬以降は3番に回り、4番での成績は108試合で打率.336、22本塁打、77打点でした。
鈴木に代わって主に4番に入った松山が23試合で打率.286、2本塁打、18打点、バティスタが4試合で打率.143で本塁打、打点は0でしたが、シーズン後半に左投手が先発の際に起用された長野久義が、8試合で打率.400、1本塁打、7打点をマークしています。
◆2020年:82試合、打率.300、18本塁打、49打点
シーズン短縮となった2020年も開幕4番でスタートしましたが、9月下旬から3番となり、4番成績は82試合で打率.300、18本塁打,49打点でした。鈴木に代わって4番に入った松山は29試合で打率.239、5本塁打、19打点。シーズン終盤には西川龍馬も4番で起用され、8試合で打率.250、0本塁打、4打点、1試合のみの長野は3打数2安打の活躍を見せています。
◆2021年:110試合、打率.316、35本塁打、79打点
そして、日本最後のシーズンとなった昨季は、途中で打順変更がありながらも1年間4番として起用され、4番成績は110試合で打率.316、35本塁打、79打点と、4番打者としての数字ではキャリアハイとも言える成績を残しました。
鈴木以外、最多の25試合で4番に入った西川は25試合で打率.291、2本塁打、14打点。松山が4試合で打率.067、0本塁打、2打点。6月中旬に初めて4番に抜擢された林は4試合で打率.118、0本塁打、1打点に終わっています。
調べてみると、やはり4番・鈴木誠也の偉大さが際立つことになりました。オープン戦で抜擢された末包昇大は、まだ実力不足の感が否めず、昨季10本塁打で期待された林晃汰も結果を残せていません。故障で出遅れた坂倉翔吾やベテランの松山竜平、12日に来日したマクブルームなどが候補となりそうですが、予想されていたこととは言え、やはり“誠也の穴”はとてつもなく大きいようです。
ただ、もう少し詳しくデータを見てみると、誠也以外の選手が4番を打った試合の勝敗は、91勝67敗8分という数字もありました。25年ぶりのリーグ制覇を果たした2017年は、誠也が故障離脱した後の9・10月に16勝5敗と驚異的な勝率を残したように、大黒柱の離脱がチームに一体感をもたらすケースも多く見られます。
いなくなってしまった人のことを惜しむだけでは、前に進むことはできません。これまでのチームの歴史を見ても、江藤智が移籍した際には金本知憲が、金本が移籍した際には新井が、新井が移籍した際には栗原健太が新しい4番打者として台頭しています。誠也の後には、一体誰が出てくるのか。SEIYA SUZUKIのMLBでの大活躍を願いつつ、今季はカープ伝統の“育成力”に期待しましょう。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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