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野球 コラム 2018年6月14日

【大学野球選手権】記録的大敗を喫してしまう(東洋大学 vs. 九州産業大学)

野球好きコラム by 岩瀬 孝文
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大学野球選手権第3日
第2試合 東京ドーム
『記録的大敗を喫してしまう』
東洋大学●3-10〇九州産業大学

昼下がりの東京ドームは、一種、異様な雰囲気に包まれていた。
喧騒ではない、なんというのだろう圧迫感にまとまりつかれた静けさ、それはため息でもなく。人々の吐息が、薄くそこらに積み重なり、ずっしりと肩に重荷になっていくような。

この点差はありえなかった。

東洋大 梅津

戦国東都を制したあの球速150km投手3本柱で、他を圧倒する威力にあふれた東洋大のエース上茶谷(京都学園)が次々に打ち込まれて序盤で1-7という大差がついた。
そのものマウンドでうなだれかけ、あとを足の故障から復帰した梅津(仙台育英)に託した。
7回裏には2本目のホームランで、ついには3-10のコールド負けとなった。
最速で150㎞後半を記録する快速甲斐野(東洋大姫路)の出番もなく。

「調子が良くなかったんです、体調もそのようであり…」
言葉を濁すわけでもなく、事実を淡々と述べた東洋大の杉本監督。この4月から就任した新監督ならではの現実なのか、ベンチの策は? あのしぶとく粘りある東洋大の野球はどこへ行ったのだろうか。じつにあっけない敗戦であった。

『終盤に逆転するから、きっと大丈夫だよ』
ある意味、そうだよ、あの東洋大だからと自分を納得させている東都ファンの皆さんがいた。その希望を乗せる気持ちがバックネット裏にうずまいていた。

九産大 横田

九産大 岩田

初戦で強者東海大に3-2と競り勝ち、その勢いは充分にあった九州産業大だ。
左バッターボックスに悠然と入る快打の横田(大牟田)が轟音一発、ライトスタンドへソロ本塁打を放ったのが5回裏。それは東洋大の気勢を砕き、さらに横田による2打席連続のホームランで決着がついた。

戦国東都の春季リーグ戦において、過去2009年に東都初優勝を遂げ、明治神宮大会で初出場初優勝した立正大に2連敗を喫していた。そこに油断はなかったのだろうか、もしかすると、今日の試合もそれとよく似た状況になのであろうか。

なによりも九産大にはひたむきさがあった。
勝ちたいという意欲にあふれ、九州勢でもできるんだという自信、これは東海大に勝利したことで倍増され、強打に堅守と機動力、すべてがプラスに回転していった。
本塁打でベンチに帰ってくる横田の表情は、心を引き締めての笑顔である。ベンチもそれに呼応して、よし、もっと点を取ろう、取れるんだという攻めの意欲に満ちていた。

初戦敗退した東洋大。
東都の優勝校はいつまでも勝ち続けなければならない。
そんな宿命は、ノスタルジックなイメージとともに、もはやいらないのだろうか。
他の学生スポーツ同様、大学野球においても変化の嵐に見舞われてきている。

さて神宮球場の第3試合は、東京六大学ならではの大応援団を繰り出した慶大が10-0と北海道のフレッシュな香りいっぱいの苫小牧駒大にコールドゲームで圧勝を遂げていた。これで前年の大学選手権に優勝した立大に続けと、なおいっそう意気上がる。
前日第4試合において球速150㎞でインコース低めにストレートを決め、完投勝利した道産子快腕エース伊藤(駒大苫小牧)は、ついに5回で力尽きてしまった。

部員数わずか42人の北海道の精鋭チーム苫小牧駒大は、大学野球の聖地明治神宮球場で、それこそ、終始うれしそうに野球をしていた。
これもひとつの学生野球だった。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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