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バドミントン熊本マスターズ、「シダマツ」出場の女子複は注目ペア多数 | バドミントン ワールドツアー 熊本マスターズジャパン 2024 プレビュー
バド×レポ by 平野 貴也パリ五輪で銅メダルを獲得した志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)
BWF(世界バドミントン連盟)ワールドツアーの熊本マスターズジャパンが、11月12日から17日まで熊本県立総合体育館で行われる。夏のパリ五輪で銅メダルを獲得した志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)は、活動拠点である熊本での凱旋試合に臨む。2人が出場する女子ダブルスは、特に注目ペアが多い種目となる。
志田/松山は世界ランク4位、昨年の初戦敗退を糧に上位へ
志田/松山は、世界ランク4位(以下、世界ランクは、すべて11月5日付)。パリ五輪後は、直後のダイハツジャパンオープンこそベスト8に入ったが、その後は、2大会連続の初戦敗退。調子を崩したように思われたが、10月のデンマークオープンでは、ベスト4入りを果たし、復調の兆しが見えた。年間の成績上位者が集うBWFワールドツアーファイナルズ(12月、中国・杭州)の出場もほぼ確実。11月には、国内のS/Jリーグで開幕2連戦に正規ペアで出場し、連勝でチームの勝利に貢献した。初開催だった昨年の熊本マスターズジャパンでは、まさかの初戦敗退を喫したが、今度こそ実力を発揮し、上位に入りたいところ。五輪での銅メダル獲得を経て注目度を高めた2人が、この種目の盛り上がりを左右しそうだ。
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絶好調の中西/岩永は、ファイナルズ出場が確実
ただ、現在の日本の女子ダブルスでは、志田/松山よりも勢いのあるペアも存在する。中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)は、パリ五輪の出場権は獲得できなかったが、4月に出場権獲得レースが終わってから、目覚ましい活躍を見せている。5月以降は8つの国際大会に出場し、4つの大会で優勝。ベスト4を逃したのは一度だけだ。
直近では、10月のデンマークオープン(スーパー750)で優勝。世界ランクは、5位に浮上した。年間の総合成績を競うBWFワールドツアーランキングでは、2位。こちらも、12月のツアーファイナルズ出場は確実だ。ファイナルズは、4ペアずつ2組に分かれてグループリーグを行い、上位2位が決勝トーナメントに進出する。岩永は「ツアーランクは、ファイナルズの組み分けに影響するので、抜かれないように、3位、4位の選手より上の成績を出したい。優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語った。
大目標として2028年ロサンゼルス五輪を目指すペア。課題となっていた守備が改善され、次世代勢力の台頭を印象付ける活躍を見せている。岩永は「以前は、押し込まれたら返せなかったけど、球際でも返球できるようになってきた。デンマークオープンは、自分たちがすごく良かったというよりは、相手が崩れてくれた印象だけど、見てくれた人たちからは良いプレーだったと言ってもらえて、少しは自信になりました」と進化の手ごたえを話した。
大会直前の11月10日にS/Jリーグ秋田大会があるため、出場すれば過密日程となるが、熊本マスターズでは、ワールドツアー2大会連続優勝を狙う。
組み替え初戦の福島/松本ペアも注目
さらに、今大会で注目されるペアとして、福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/北都銀行)が挙げられる。福島は廣田彩花との「フクヒロ」ペア、松本は永原和可那との「ナガマツ」ペアで、ともに日本A代表として活躍してきたが、9月に両ペアとも解消。今大会から福島/松本のペアでの活動に入る。過去にペアを組んで国際大会に出場したことはあるが、継続するペアとしては初戦で注目される。福島は、開催地である熊本県の出身。「まずは、初戦を乗り越えたい。昨年の大会では(廣田とのペアで)1回戦負け。今回は1回でも多く地元の方に見てもらいたいし、1試合でも多く勝ちたい」と意気込みを語った。
新ペアのプランが浮上したのは、パリ五輪の直前。来季以降を見据え、世界トップレベルでの戦いを続けようとするのであれば、今季終盤は準備期間となる。特に、12月の全日本総合選手権は、来季の日本代表選出を大きく左右する大会。その出場権を獲得する、あるいは全日本に向けた準備をするためには、五輪後のリスタートを考えておかなければならなかった。新ペア結成を提案した松本は「新しいペアでやるとなったときに、若い選手との組み替えだと(ペアとして力をつけるのに)時間がかかると思った。すぐに世界で戦おうと考えたら、福島さんしかいない。以前に国際大会の団体戦で組んだ経験も大きかった。ペアとしての練習ができていない中でも、各々の強みを引き出す良い形で試合をできて、組みやすいなと思った」と経緯を説明した。
福島と松本は、ともに、以前のペアでは主に後衛を務めた。役割が重なるが、福島は「以前に組んだ時は、自分が前衛に入らないといけないと意識したけど、松本選手は永原選手と組んでいる試合で前に入る場面も多かった。今は、逆でもいいのかなと思っている。まだあまり練習できていないし、組みながら分かっていけばいいけど、固定するより、両方やることになるかなとも思う。私より(長身の)松本選手が前の方が、相手にプレッシャーがかかる場面もあると思う」と、前後を固定せずに戦うスタイルをイメージしていた。
国際大会デビュー待ちの櫻本/五十嵐は、リザーブ1番手
パリ五輪後に組み替えた注目ペアは、もう1組いる。渡辺勇大との混合ダブルスで五輪2大会連続銅メダルを獲得した五十嵐(旧姓:東野)有紗(ともにBIPROGY)と、宮浦玲奈と組んでいた櫻本絢子(ともにヨネックス)のペアだ。10月に国際大会デビューを予定していたが、日本バドミントン協会の登録ミスがあり、実現しなかった。現在は国際大会での実績がなく、今大会は、リザーブ登録の1番手。出場できれば、国際大会デビュー戦を迎える。9月の全日本社会人選手権で初めてペアを組んで準優勝。当時よりは練習を積んでいるが、所属チームが異なり、11月2、3日にS/Jリーグ開幕戦を控えていたため、リーグ直前は練習できず。異なる所属のままペアを組んで活動する難しさも感じたという。それでも五十嵐は「練習では、コミュニケーションを取って、ローテーションがかみ合って来ているけど、試合をやってみないと分からない。だから、熊本マスターズは日本開催というのもあるけど、今は、とにかく試合がしたい」と話し、国際大会でのステップアップの機会を求めていた。
五輪で銅メダルの志田/松山、五輪後に台頭した中西/岩永。そして組み替えペアの福島/松本、櫻本/五十嵐。世界のトップを目指す日本女子ダブルスは、新たな戦国時代を迎える。熊本マスターズで、どのペアがどのような輝きを放つのか、楽しみだ。
文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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