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バドミントン コラム 2024年11月6日

【S/Jリーグ 2024 秋田大会プレビュー】「ナマガツ」が地元の秋田でラストマッチへ、永原「特別な大会にしたい」

バド×レポ by 平野 貴也
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永原和可那

永原和可那「特別な大会にしたい」(写真左)

秋田が世界に送り出した名ペアが、ラストマッチを迎える。バドミントンの国内最高峰リーグ「S/Jリーグ」は、11月10日に秋田県立体育館で秋田大会を行う。男女とも2試合ずつ行われるが、最注目は女子の北都銀行と岐阜Bluvicの対戦だ。北都銀行は、長らく日本代表女子ダブルスで活躍し、世界選手権2連覇、五輪2大会連続出場など世界トップクラスの成績を収めた松本麻佑/永原和可那が、そろって戦う最後の大会となる。2人は、パリ五輪後の9月にペア解消を発表。松本は、この大会を最後にチームを離れる。永原は、チームに残るが、今シーズンのリーグ戦で現役を終える。2人がそろって戦う最後の機会。チームを率いる佐々木翔監督は「秋田の関係者、見に来てくださる方々は、自分が(2人を)育てた、応援してきたという気持ちで来てくださると思う。秋田の方々のための大会になる。そこに対して、2人がどう立ち振る舞うか。必ず、記憶に残る1日になる。私もその場に立ち会いたい」と、特別な一戦を迎える心境を語った。

S/Jリーグは、男女とも6チームずつ2ブロックで総当たり1回戦を行い、各ブロック上位2位が優勝を決めるTOP4に進出する。女子Sブロックを戦う北都銀行は、開幕から1勝1敗。相手の岐阜Bluvicと、連覇を狙うBIPROGYが2連勝を飾っているブロックで、北都銀行は2敗目を喫するとTOP4進出は遠のく。開幕からの2試合では、松本は長身の小松ゆいとペアを組んで第1ダブルスに出場。永原は、前衛タイプの曽根夏姫と組んで第2ダブルスに出場した。開幕戦では松本/小松が敗戦。第2日では、永原/曽根が敗戦。ともに悔しさを味わった。佐々木監督は「負傷や体調不良に陥る選手がいるかもしれない。そのときの状況によって判断するので、白紙」と第3戦に向けたオーダー案は明かさなかったが、最後のチャンスで「ナガマツ」ペアとしての起用があるかどうか、注目される。

チームを離れる松本「ナガマツで出れたら嬉しい」

2人がそろって戦う最後の大会を地元で迎える松本、永原は、それぞれどんな思いを抱えているのか。第2戦を終えたタイミングで話を聞いた。松本は「緊張はするのかなと思うけど、何とか、最後、笑って終われるように、悔いなくやりたい。今まで、秋田でたくさんの方が応援してくれたから、東京五輪で終わらずに最後(パリ五輪)まで挑戦できた。これからの(チームを離れる)ことも発表した後も、これからも応援しているよと言ってくれた人が多かった。嬉しかったし、応援してくれたみんなのためにも勝って終わりたい。オーダーは分からないけど、ナガマツで出れたら嬉しい」と胸中を明かした。

この大会を最後にチームを離れる松本(写真右)

この大会を最後にチームを離れる松本(写真右)

松本は、秋田大会を終えた後にチームを離れ、2日後に開幕する国際大会「熊本マスターズジャパン」から福島由紀(岐阜Bluvic)と新たなペアで戦うことが明らかになっている。シーズン途中でチームを離れることに悩みもあったが「最後はリーグを戦って……と思っていたけど、年齢が上がってきていて、時間がない。福島さんと組んで、これからどうなるかも、まだ分からない。出られる大会は出ておきたいと思った」と話した。新しいペアで再び世界のトップを目指すには、日本代表入りが必須条件。国際大会での実績や、12月の全日本総合選手権の結果が、2025年の代表入りを左右する。早めにペアを組むことを発表し、出場の意思を示さなければ、全日本への推薦出場の可能性も危うい。チームに所属したままでは身動きが取れないため、来春まで待てなかったというのが実情だ。

永原「2人で組んだら、ナガマツはすごかったと思ってもらえるように」

一方、永原は「松本と一緒に戦えるのも、私が秋田で戦えるのも、これが最後。たくさんの人が応援に来てくれるらしいという話を聞いていて、自分自身も本当に特別な大会になるんじゃないかと思う。そんな場で戦えるのは、幸せ。地元で最後を締めくくることなんて、なかなかできない。特別な大会にしたい」と意気込みを語った。松本/永原の「ナガマツ」ペアが、世界のトップ争いに急浮上したのは、2018年。日本勢4番手の繰り上げで出場した世界選手権で初優勝を飾り、一気に台頭した。当時は、2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した高橋礼華/松友美佐紀ペアを日本の若手が追いかける構図。仲間であり、先輩・後輩であり、ライバルでもある日本勢同士の激戦が繰り広げられる中で、松本/永原は急成長を遂げた。その道のりには、世界と戦う姿を秋田で見て学んだ時期もあった。先輩である米元小春(現在は藤本姓)/田中志穂ペアが、2017年には年間成績優秀選手のみが参加するBWF(世界バドミントン連盟)スーパーシリーズファイナルズ(現ワールドツアーファイナルズ)で初優勝を飾るなど、けん引役を担っていた。

永原は「国際大会で、日本代表の先輩たちが先陣を切って結果を残してきてくれて、そのおかげで、自分たちも(高い目標に向かって)頑張れたし、先輩方をずっと目標にして戦ってきた。特に、米元/田中ペアは、同じチームで一緒に戦って、先を走ってくれた存在。ずっと追いかけてきたのに、今では私たちが最年長になりましたけど(笑)、松本と組んできた11年は、本当に特別な時間だったと思う」と秋田での応援や経験を糧に世界のトップを目指した期間を振り返った。やりたいことがかみ合わない時期も乗り越え、一つの目標に向かって力を合わせて成し遂げた躍進は、秋田で応援する人たちの期待に応えるものだったはずだ。永原は「ナガマツとして、日本の女子ダブルスとして、歴史を一つ塗り替えられたと言ってもらえることも、最近は多かったし、嬉しかった。日本の女子ダブルスに、ナガマツというペアがいたと覚えてもらっていることだけでも嬉しい」と地元・秋田でかけてもらった言葉に感謝を示し「最後は、もし2人で組んだら、良い試合を見せて、ナガマツって、すごかったなって思ってもらいたい」と飛躍を支える基盤となった秋田での最後の一戦にかける気持ちを言葉にした。

永原は引退後、カナダに語学留学へ

秋田大会を終えると、松本は、チームを離れて新たなペアでの挑戦に臨む。永原は、リーグ戦を最後に競技を引退。来春には、カナダへ語学留学に行く予定だ。将来は、スポーツを通じた国際交流に関わりたい思いもあるという。それぞれに、次の動きの準備もあるが、今はリーグ戦に集中している。開幕からの2試合で、チームの一員として味わった悔しい気持ちも、秋田大会にぶつけるつもりだ。松本は「(敗れた)開幕戦は、いろいろな思いもあって、空回りした。(チームを離れるまでに)3戦できるので、なるべく勝って終えたくて、勝たなければいけないと(過剰に)思ってしまった」と悔しがり、第2日に敗れた永原も「松本と戦えるのは、3戦だけ。全部勝って終わりたかった」と肩に力が入った一戦を振り返った。秋田大会の相手は、松本が今後ペアを組む福島を擁する岐阜Bluvic。強豪相手に白星を狙う一戦となる。2人での戦い、秋田での戦いはラスト。秋田から世界へ。その挑戦の中で得てきたすべてを、ナガマツがぶつけに行く。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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