人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

バドミントン コラム 2023年11月8日

波乱を呼ぶ「ジョーカー」東野有紗、中西貴映とのペアでフクヒロも撃破=バドミントンS/Jリーグ

バド×レポ by 平野 貴也
  • Line

日本A代表の「フクヒロ」ペアを破った中西(左)/東野

波乱を呼ぶ、ジョーカーペアの勢いが止まらない。バドミントンの国内最高峰S/Jリーグは11月5日に第2日を行い、女子Sブロックでは、BIPROGYが2-1で丸杉を破った。同ブロックは、昨季優勝の再春館製薬所を含めた3強の構成。上位2位が進出できるトップ4トーナメントの出場切符をかけた争いにおいて、直接対決は最も重要なカードだ。

■BIPROGYの組み替えペア「中西/東野」が猛威振るう

中西/東野は、過去に国際大会を戦った経験もあるが、現在は異なる種目が主戦場

注目を集めたのは、第1ダブルスだった。丸杉は、日本A代表で世界ランク4位の福島由紀廣田彩花(以下、世界ランクは10月31日付)。対するBIPROGYは、普段はペアを組んでいない中西貴映/東野有紗を当てた。中西は、岩永鈴とのペアで日本B代表に入っており、世界ランク15位。東野は、渡辺勇大との混合ダブルスで東京五輪・銅メダルや世界選手権・銀メダルなどを獲得しており、世界ランク2位。ともに実力者だが、国際大会では出場種目が異なり、ペアを組むことはない。国内大会でしか見られない組み合わせだ。

組んで練習している時間は長くないが、それでも6月の全日本実業団選手権で世界ランク14位の櫻本絢子宮浦玲奈(ヨネックス)、世界ランク5位の志田千陽松山奈未(再春館製薬所)といった各チームのエースペアを撃破してチームの優勝に貢献している。BIPROGY女子チームの平山優監督は「2人はスピードが合う。互いの良いところが出せる」と評価。混合ダブルスを主戦場としている東野は、トランプのジョーカーのように自在なペアで使えるワイルドカード。本来のペアではないため、ノープレッシャーで立ち向かえる強みも大きい。

■堅守の福島/廣田も撃破、先手必勝の中西/東野に軍配

持ち味を出し切れなかった福島/廣田。このカードの敗戦は、丸杉にとっては痛い誤算となった

試合は、立ち上がりからスピーディーな攻撃を仕掛けた中西/東野がペースを握った。東野は「相手は、ゆっくりとした展開が得意。それに付き合ったら絶対に勝てない」と狙いを明かした。長身サウスポーの中西が後衛に入り、強打やドロップで敵陣の低い位置に球を押し込むと、ネット前に上がって来る球に東野が飛びついた。第1ゲームを21-12で先取。得意の守備からペースをつかめなかった福島は「東野選手は、こっちから出る球を(予測で)読んで動いて来るので、やっぱり速い。少し迷いが出たし、引いてしまってレシーブできない場面もあった」と悔しがった。

第2ゲームに入ると福島も前に出て、11-6の折り返しとするなど攻撃の主導権を奪い返した。しかし、中西/東野は、1点を失う間に2得点するなど、じりじりと追い上げた。終盤、福島/廣田が18-16でリードしていたが、福島がつなぎ球のミスとドロップショットのミスで点を失い、同点。互いに攻撃を仕掛け合う展開の中、中西が「最終的に、レシーブで回すところとか、プレーのメリハリが大事と思って、そこが少しできたのが良かった」と振り返ったように、福島/廣田にミスが出る展開となり、最後は、東野がネット前でクロスへの球に飛びつき、ドライブで返した廣田の球がアウト。22-20で中西/東野が競り勝ち、ゲームカウント2-0で勝利を収めた。BIPROGYにとっては会心の勝利。丸杉にとっては痛恨の敗戦。廣田は「第2ゲームは攻めて点は取れていたけど、勝ち切れなくてチームとしての1本を取れず申し訳ない」と肩を落とした。

■シングルスは、全日本社会人女王の小西(丸杉)が勝利

丸杉は全日本社会人女王の小西がシングルスで取り返す活躍を見せた

看板のエースペアで第1ダブルスを落とした丸杉は、苦境に追い込まれたが、ただでは終わらなかった。シングルスは、小西春七が2-0(21-19、21-12)で香山未帆を破って、1-1に戻した。小西は、5月の日本ランキングサーキットで川添麻依子と組んで女子ダブルスを優勝したが、9月にはシングルスで全日本社会人選手権を優勝。今季、単複両方で結果が伴い、充実している。香山には昨年の全日本社会人で敗れているため「個人的にはリベンジの気持ちで臨んだ」という小西は、ネット前でプレッシャーをかけて香山の持ち味であるコントロールを狂わせた。ポイントとして意識したのは、ネット前。コートを大きく使った展開では、香山のゲームコントロールに振り回される。主導権争いのカギとなるネット前に集中し、先に落とす、落とされても落とし返すといったところで、相手から主導権を奪取。次第に、表情を変えずにネット前から仕掛ける小西と、必死の形相で走って展開する香山という対照的な互いの表情になっていった。川添と組んでダブルスを戦うようになったことで、前衛で速い球への対応に慣れ、以前よりコート前方で球を待ったり、ネット前に詰めて行けるようになった部分もあるようだ。

■第2ダブルスは、BIPROGYの大竹/高橋が意地見せる

BIPROGYの勝利を決めた第2ダブルスの大竹(右)/高橋

1-1で回った第2ダブルスは、実績面で見れば日本B代表を経験している大竹望月/高橋美優を起用したBIPROGYが優位。丸杉は、今井彰宏監督が「あわよくば、上2つで取りたかった」と話すのも無理はなかった。内山真希が負傷明けのため、矢崎月子のパートナーには、来季入団内定の清瀬璃子(青森山田高校3年)を起用したからだ。B代表経験ペアに対し、未知数の部分が多いペアで勝負せざるを得なかった。第1ゲームは、BIPROGYの大竹/高橋が力の差を見せつけて21-12。しかし、第2ゲームに入ると、ベンチ一体の応援に加えて、アリーナ席にいたチームスタッフの小川桂汰の力強い声に押された矢崎/清瀬が開き直ってばん回。2点差以内の展開が最初から最後まで続く大激戦となった。しかし、互いにプレッシャーとの戦いを迫られた終盤、矢崎/清瀬にミスが出たのに対してこらえきり、21-19とした大竹/高橋が2-0で勝利。BIPROGYが2-1で丸杉を破った。

■BIPROGYがトップ4進出に前進、丸杉は背水の陣

最初のヤマ場を切り抜けたBIPROGYは、トップ4トーナメント進出へ大きく前進した。平山監督は「大事な2戦を(2勝で)乗り越えてホッとしている。本当に選手たちが頑張ってくれた」と初日の七十七銀行戦に続く2連勝スタートを喜んだ。一方、丸杉は、後がなくなった。12月2日の広島ガス戦はもちろんだが、ブロック上位2位を狙うためには、12月10日の再春館製薬所との試合にも勝つ必要がある。12月13日にはBWFワールドツアーファイナルズが開幕するため、出場選手がS/Jリーグにも出場するかどうかは分からない。再春館製薬所の志田/松山、丸杉の福島/廣田という両チームのエースダブルスがファイナルズ出場権を得られるかどうかの影響も少なからず出てきそうだ。丸杉が勝てば、24年2月3日のブロック最終戦に控えるBIPROGYと再春館製薬所の試合が注目されそうだ。3強の争いはどうなるか。他のチームが割って入るのか。リーグは、まだ始まったばかり。どんな展開が待ち受けているのか、目が離せない。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
バドミントンを応援しよう!

バドミントンの放送・配信ページへ