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奈良岡功大選手
新世代の旗頭は、世界の舞台で確実に経験を積んでいる。バドミントン日本代表、男子シングルスの奈良岡功大(FWDグループ)は、世界ランクを3位まで上昇させた(7月11日更新時)。昨年6月に日本A代表に昇格した時点では、42位だったが、国際大会へ派遣されるようになると、好成績を続けて急上昇。同種目で日本最上位に立ってエースの役割を担うようになった今季は、24年パリ五輪の出場権獲得レースをシード選手として戦っている。25日に開幕するダイハツジャパンオープン(BWFワールドツアースーパー750)でも上位進出が期待される中、五輪レース序盤の戦いを振り返ってもらった。
■団体戦は、緊張した
――五輪レースが始まって5大会を終えましたが、手応えはいかがですか?
今のところ、順調に来ているかなと思います。シンガポールオープン(スーパー750、ベスト4)、インドネシアオープン(スーパー1000、ベスト8)で、もう一つ上に行けたなと思いながらも6000~7000点のランキングポイントを取れているので、いいかなと思います。
――初の五輪に向けて「みんな、レースに向けて体力を温存しているのかなとか、まだ本気じゃない選手もいるのかなとか思う」と話していましたが、変化を感じますか?
うーん、あまり関係ないのかなと。中国の選手は気合いが入っているなと感じましたけど、ほかはあまり変わらず、まだレース序盤だからなのかなと思っています。
――レースの開幕は、男女混合国別対抗戦のスディルマン杯でした。男子シングルスのエースとして出場。タイ戦、中国戦では負けましたが、昨年のトマス杯と比べると団体戦でも落ち着いて試合をできるようになっている印象を受けました
緊張しました。団体戦は、得意ではないですね。ゆっくり(自分のペースで試合を)やりたいので。それでも、少しずつ自分らしいプレーができているかなと思います。(自分が)エースかどうかは分かりませんが、日本でランキングが一番高くなっているので、その辺は自覚を持って臨んでいきたいです。
バドミントン 奈良岡功大選手インタビュー動画
新たなフェイントショット誕生!?
■同じ相手と何度も戦いながら対策を積み重ねる
――個人戦は、マレーシアM(スーパー500)からスタートしてベスト8でした
いつも勝っている相手(リン・チュンイ=台湾)だったので、大丈夫かなと思っていたのですが、シャトルがよく飛ぶ会場で(粘って)長い試合になったことで疲れてしまいましたね。
――個人戦の第2戦となったシンガポールオープン(スーパー750)は、準決勝でアンダース・アントンセン選手(デンマーク)に敗れましたが、第1Gはずっと5点ほどの差を追いかける展開から、終盤にロングサービスを連続する戦い方に切り替えて逆転でゲームを奪う戦い方が印象的でした
点数が離れても諦めずに戦えたところは、ちょっと成長できているのかなと感じています。アントンセン選手は身長が大きいけど、テクニシャン。ショートサービスに対しては(ネット前からの)プッシュ、ヘアピンですごい球が来るので、ロングを打って上から打たせてレシーブで取ろうと切り替えたのが、うまくいきました。
――しかし、ファイナルゲームではコート前方に立たれて、得意とするネット前へ落とす球をかなり警戒されてしまいましたね
そうですね。でも、この試合があったから、次のインドネシアオープンの1回戦で再戦したときは、前に落とすのではなく、相手を奥に追いやる戦い方に変えて、うまく勝つことができました。今後もうまく戦い方を選んでいきたいです。
――5大会の中で、アントンセン選手、シー・ユーチ選手(中国)、プラノイ選手(インド)と複数対戦しています
今年、来年は、大会数がすごく多いので、勝ち進めば同じ相手と何度も戦うことになりますので、どう対策をしていくかはとても大事になると思います。
■ハードな連戦、体調管理の難しさ
奈良岡功大選手
――第3戦は、インドネシアオープンでベスト8。2回戦でシー・ユーチ選手(中国)に逆転勝ちしましたが、しっかりと相手を動かしていて、やりやすそうに見えました
やりやすいことはないですけど、シー・ユーチ選手とは(スディルマン杯、シンガポールオープン、インドネシアオープンと)何回も対戦したので、エースショットに慣れてきました。あと、インドネシアの会場は風があって独特なので、わざとアウトを狙って打って風でインに入って来る軌道の球を狙いました。ただ、あの試合は良かったのですが、試合の後に腹痛が起きて体調を崩してしまい、次の試合で負けてしまいました。すぐには回復しなくて、ほとんど練習ができないまま臨んだカナダオープン(スーパー500)も調子が上がりませんでした。それでもカナダでベスト4まで行けたのは、自分の中では良かったと思います。
――1月のインドオープンでも体調不良に悩まされたと話していましたよね。ハードスケジュールなので、体調管理は非常に重要な要素になっていると思います。
食欲が落ちるわけではないですし、食べる物も気をつけてはいるのですが、連戦だと胃が疲れているのか、免疫力が落ちているのか……。海外遠征が続くと、体重が増えてしまう部分もあります。今回もインドネシアで調子を崩した後(思うように練習ができず)4キロくらい増えていました。遠征中は、たくさん食べないと足を攣ったりするので食べるのですが、その分、増えてしまうことがあります。体重計は持って行って毎日測っています。体重が増えてプレーのパフォーマンスに影響が出ているとは感じないのですが、重いままプレーをすると身体を痛めてしまう可能性があると思うので、体重は気にしていて、調整しています。睡眠もしっかりとりますね。寝ないと体調悪くなるので。
■コートの風に応じた戦略に手応え
――レースの中での収穫は?
環境、状況に適した戦い方ができるようになって来ているのかなと感じる部分はあります。シャトルがよく飛ぶ会場では攻めていかなければいけませんし、逆に飛ばない会場ではうまく守りながら戦わないといけません。シンガポールオープンでシー・ユーチ選手に初めて勝った試合は、1ゲームが飛ぶ方のコートで(コート奥へ打つ)ロブが使いにくい環境でした。前に引き付けてから甘めのロブを打つくらいが丁度良かったです。あとは、甘めの球でネット前へ落とす球を見せて、プッシュを狙わせておいて(慌てて反応するとミスになりやすい、速さのあるアタックロブを)奥に打つとか。
トップレベルの戦いに参加するようになって、ようやく1年が経った。ハードな連戦の中で、力のある選手たちと戦い続ける中、奈良岡は、その中での自分のプレースタイルを確立し始めている。一方、まだ大きなタイトルは手にしていない。後編では、タイトルへのこだわり、7/25(火)より開幕するジャパンオープンに向けた意気込みを聞いた。(後編へ続く)
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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