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バドミントン コラム 2023年7月18日

高橋礼華、初V狙う奈良岡に注目「日本で優勝すれば自信を持って五輪に挑める」

バド×レポ by 平野 貴也
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リオ金メダリスト 高橋礼華さん

バドミントンの国際大会「ダイハツジャパンオープン」が7月25日から30日まで代々木第一体育館で行われる。2024年パリ五輪の出場権を争うレースの中の注目大会だ。1982年に始まったジャパンオープンは、古くから世界の強豪を間近に見られる貴重な場で、年々グレードアップ。現在は、年間6大会しか開催されないBWFワールドツアーのスーパー750というハイレベルな位置付けとなっている。ジャパンオープンとは、いかなる大会か。松友美佐紀と組む女子ダブルスで2014、17年と2度の優勝を飾り、16年にリオデジャネイロ五輪の金メダルも獲得した高橋礼華さんに大会の思い出と見どころを語ってもらった。

――2度優勝しているジャパンOPの思い出は?
(2008年に)高校生で初出場して、藤井瑞希/垣岩令佳ペア(のちに12年ロンドン五輪で銀)に勝ったことは、すごく印象に残っています。カミラ・リターユール/クリスティーナ・ぺーダーセン(デンマーク)と初めて対戦したのも(2011年の)この大会。ボコボコにされて、松友と「いつになったら、どうやったら、こんな大きな人たちに勝てるんだろうね」と話したんですけど、その年に相手のホームのデンマークで勝てたんです(笑)。まさか、あの2人と五輪の決勝で戦うなんて思っていませんでしたけど、忘れない初対戦でした。ジャパンOPで嬉しかったのは、やっぱり(2014年の)初優勝。決勝戦は、互いにスーパーシリーズ(現ワールドツアー)初優勝がかかっていましたし、自分たちが(16年のリオデジャネイロ五輪で)金メダルを取る上でも重要な大会でした。自信を持ってプレーできるようになったのは、日本という地元で優勝できたことがすごく大きかったです(※この年のスーパーシリーズファイナルズで優勝するなど世界のトップに躍進)。2回目の優勝(17年)はあまり覚えていません。(前年に)リオ五輪の後だったので、私たちのことを知ってくださる方が増えた状況で、負けられない気持ちが強く、やり辛かった印象です。

高橋礼華、初V狙う奈良岡に注目「日本で優勝すれば自信を持って五輪に挑める」

――初優勝した14年の決勝戦は、垣岩/前田美順ペアとの日本勢対決でした
たくさんのお客さんの前で日本勢対決(の決勝戦)ができたのは、すごく嬉しかったです。日本の大会はリラックスして過ごせますし、お客さんが日本の選手を一番に応援してくれるのは、ジャパンオープンだけだったので、ありがたかったです。当時はコートのみライトアップする演出がなかったので、お客さんの顔が見えていて、名前を書いた団扇などの応援グッズが見えたり、拍手してくれたりするのに気付きましたし、嬉しかったです。

ジャパンオープンへの熱い想いを語る高橋礼華さん

――ほかに、ジャパンOPの思い出は?
五輪レース中(15年)の1回戦で松友が右足をねんざしたときです(※第2ゲーム途中で負傷。試合を続けて勝利したが、2回戦を棄権)。ここからもっとレースのポイントを取りたいと思っていた大会。まさか日本でケガをするなんてと思いましたし、松友が心配だったし、動揺しました。あれだけは、一生忘れないと思います。私がドクターを呼ぶねと言って(離れようとして)も、あの(気持ちの強い)松友が「ちょっと、歩けないから……」と私を止めたので、結構やばいなと思いました(※約1カ月後に復帰し、徐々に復調)。

――松友選手が車いすで会場を退出したときですね。今年の大会も五輪レースの中で行われます。どんなところに注目していますか?
日本の選手は、カナダOPから1週間空いて(2週連続で)韓国OP、ジャパンOPと連戦の疲れが心配。ジャパンOPを優勝したい気持ちは全員が持っていると思いますけど、照準を合わせるのが難しいのかなと感じています。見どころは、やはり五輪レース中であることがポイント。全員が優勝を狙って来るので、昨年より白熱した戦いが見られると思いますし、本当にたくさんの方に見ていただきたいです。特にダブルス種目は、8位以内に入らないと五輪に同国から2組出場できないので、日本勢同士の対決だけでなく、中国や韓国の同国対決も私は注目しています。

――注目選手は?
やっぱり、男子シングルスの奈良岡功大選手(FWDグループ)は、注目。昨年は日本B代表だったのに、昨夏にA代表に入って半年くらいで世界ランク1ケタになりました。でも、まだ主要大会で優勝がありません(ワールドツアーの優勝は、スーパー100の22年ベトナムOPのみ)。どこかで優勝して五輪に出てほしいですし、それが日本の大会であれば、もっと自信を持って五輪に挑めるのではないかと思うので、どういう戦い方をするか注目したいです。男子シングルスは桃田賢斗選手(NTT東日本)がずっと引っ張って来て(18、19年優勝)、昨年は西本拳太選手(ジェイテクト)が初優勝。(20年と21年はコロナ禍で開催されず、3大会連続で日本の選手が優勝しており)良い流れが来ていますし、西本選手が優勝した時点で、奈良岡選手は「自分も」という気持ちになっていると思うので、相乗効果が見られるといいと思います。アタック力は、世界王者のビクター・アクセルセン選手(デンマーク)らと比べると劣るのかもしれませんが、粘りで上回ることができている選手だと思います。ただ、毎回、試合時間が長いので、3週目となる大会で5日間を戦い切れる体力があるか。うまく体力を温存しながら勝てればいいなと思いますし、それができているのが彼の良さだと思います。

――注目の種目は?
今、面白くなっているのは、日本の女子ダブルスの戦い。昨季好調だった志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)がインドネシアOP(スーパー1000)で初戦敗退など五輪レースに入ってから調子を落としていますが、想定できた展開です。若いですし、初めての経験なので緊張やプレッシャーがあります。(昨季の調子で戦い続けたいと思うのではなく)ここでもう一度フレッシュな気持ちで戦えれば優勝もあると思います。(東京五輪に出場した)福島由紀/廣田彩花(丸杉)や松本麻佑/永原和可那(北都銀行)は、一度レースの経験がある分、ここを勝たなければいけないというポイントが分かっていると思います。ただ、全部勝てているわけでもありません。この3組に加え、櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)、中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)もトップ選手に勝つ活躍を見せているので、3+2ペアがどうやって上に立ち向かっていくか、すごく楽しみです。海外勢では、中国の1組がすごく強い(チェン・チンチェン/ジァ・イーファン)のと、韓国のベク・ハナ/イ・ソヒが手強いです。イ・ソヒ選手は、日本のライバルではありますけど、頑張ってほしい気持ちもあり、尊敬しています。リオからライバルでしたけど、(16年リオ五輪でチャン・イナと8強、21年東京五輪でシン・スンチャンと4位。現在のペアで世界ランク2位と活躍。五輪に3大会連続で)全部違うペアで出ることになりそうなのは、本当にすごいです。

――大会を楽しみにしているバドミントンファンに、メッセージをお願いします
五輪レース中の熱い戦いが、代々木第一体育館で行われます。ぜひ、みんなで応援しましょう! 私も会場のどこかにいるかもしれません。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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