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明るい表情が印象的な桃田
崖っぷちでも悲壮感を持たず、努めてポジティブに臨んでいる。バドミントン日本代表、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)は、6月下旬、名古屋で行われた全日本実業団選手権に出場。シングルスで2勝してチームの9年ぶりの優勝に貢献した。大会中は「もう、ネガティブなことを考えても仕方がない。今日もバドミントンをして楽しかった。練習では自分に厳しくやって、試合は楽しみながらできたらいいかなと思います」と話し、明るい表情が印象的だった。
ただし、プレーにキレが戻ったとは言い難い。スピードを抑えたフットワークから、持ち前のコントロール力で主導権を掌握。相手が下から打ち上げればスマッシュを決めたが、脱力して打っているのは明らか。身体の負担を軽減しながらプレーしている様子だった。桃田は「動けるようになってから全面フリーの練習などができていなかった。球の感覚は悪くないですけど、ケガをして練習ができていなかった分、体が重いかなという感じがしました。相手にリードされていたら、しんどかったと思います」と感触を話した。
■腰痛で2大会欠場「10分以上歩くのがしんどかった」
5月にパリ五輪の出場権獲得レースが開幕したが、初戦となったマレーシアマスターズは初戦敗退。続いてタイOP(スーパー500)、シンガポールOP(スーパー750)の出場を予定していたが、マレーシアで敗れた直後、練習を再開した際に腰痛を発症したため欠場した。ワールドツアーで最も格付けが高いスーパー1000のインドネシアOPには出場したが、コンディションは回復しておらず、初戦敗退。腰痛の症状は重く「長時間座っていたり、10分以上歩くのがしんどかったり。ずっと、腰が引けている感じでした」と明かした。インドネシアOPと全日本実業団の直前に数回練習する程度しか動けていないという。
レース開幕時点(4月25日更新時)で世界ランク21位。パリ五輪に出場するためには、同一国から出場できる最大2枠が活用できたとしても、16位以内が必須条件で、なおかつ日本勢で2番手に入らなければならないが、4番手からのスタート。レース開幕時点で、追いかける立場にあるにもかかわらず、腰痛によって追撃の機会を失った。桃田は「それは、めちゃくちゃ、しんどいですね。(試合に)出たいですし、腰が痛くなる前は(プレーの感触が)悪くなかったので、ここでケガをするかと……」とショックは隠さなかった。
ジャパンOPでのプレーに期待がかかる桃田
■ジャパンOPの出場権確保「ギリギリ救われた分、思い切りプレーしたい」
レース開幕後、国際大会の勝利がない状況だ。大きな期待に応え続けた日々とは、戦いの様相は異なっている。桃田は、世界選手権を連覇した19年にギネス記録となる主要国際大会11勝をマーク。21年12月まで世界ランク1位を3年以上堅持した。しかし、20年1月にマレーシアで交通事故に見舞われ、21年3月に復帰してからは、東京五輪で予選リーグ敗退を喫するなど国際大会で思うように勝てない状況が続いている。最近では、競技キャリアをいつまで続けられるか分からないといった趣旨の発言も目立つ。主要国際大会の出場枠は32だが、6月27日更新時の世界ランクは34位。7月下旬に控えるダイハツジャパンOPは、ランク上位者に出場しない選手がいたため、他力本願ながら出場権を得ることができた。「ギリギリ救われた分、思い切りプレーしたい。自分が大好きな大会。そこで良いプレーをできるように調整していきたい」と話した桃田に、競技キャリアの中で最後のジャパンOPになる可能性を感じているのかと聞くと「その感覚も、なきにしもあらず。そういう感じですね。いつまでやるか分からないですけど、気持ちを入れてジャパンOPを戦いたい」と否定はしなかった。
決して悲観せずポジティブな桃田
■「レースとは関係なく、自分の強い思いを持って」
今後は、7月4日開幕のカナダOP(スーパー500)、18日開幕の韓国OP、そして25日開幕のジャパンOPと連戦に挑む予定だ。腰痛からの復調具合が気がかり。桃田は「カナダOPは、復帰戦のような感じなので、まずはケガを再発させないように注意しながら。ジャパンOPは、レースとは関係なく、自分の強い思いを持ってプレーしたい」と尻上がりに調子を上げるイメージを描いていた。
国際大会で苦しみ、世界のトップ争いから後退していることは、事実として受け止めてはいる。一方で、昨年末に全日本総合選手権を優勝した際には、場内インタビューで「やっている本人は終わりたくないですし、まだまだ強くありたい」と再浮上への意欲が消えているわけではないことをアピールした。ジャパンOPでは、2018年、19年に連覇を果たしている。思い入れの強い大会で、苦境でも前向きにプレーする姿を見せた先に、どんな未来が待っているのか。決して悲観せず、ポジティブに。ファンが見守る中、桃田は楽しみを求めてコートに立つ。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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