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やはり、日本勢同士の対決は避けて通れない。5月に始まったバドミントンのパリ五輪出場権獲得レースにおいて、女子ダブルスでは日本勢同士の対決が早くも激しさを増している。日本A代表は、7月に3つの国際大会を戦う。4日開幕のカナダオープン(BWFワールドツアースーパー500)が第1戦。一時帰国した後、第3週の韓国OP(スーパー500)、第4週のダイハツジャパンOP(スーパー750)と連戦に挑む。一時帰国は、1週間弱。時差調整も含めると休養と言えるほどの期間はなく、実質的には3連戦に近い過酷な戦いとなる。第1戦のカナダOPは、女子ダブルスの日本勢による優勝争いが最大の見どころになりそうだ。強国である韓国、インドネシア、マレーシアの選手が出場せず、中国も上位ペアは回避。8つのシードの5つを日本が占めており、上位で日本勢対決が実現する可能性が高い。
インドネシアOPで準優勝した福島/廣田
■カナダOPに日本勢6組がエントリー
東京五輪でベスト8となった福島由紀/廣田彩花(丸杉)、松本麻佑/永原和可那(北都銀行)に加え、五輪後に台頭した志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)が現状では日本勢3強だが、今季から日本A代表に加わった櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)も世界ランクを14位(※以下、世界ランクは6月27日更新時)まで上げている。さらに、B代表の中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)が17位、廣上瑠依/加藤佑奈(再春館製薬所)が24位とハイレベルな国際大会に出場可能なランクを持っており、7月4日開幕のカナダOPにも6組がエントリーしている。
■避けて通れない、心理面の負担が大きい同国対決
五輪出場権は、直近1年間の成績が反映される24年4月30日更新の世界ランキングによって決まる。同一国から最大2組が出場するためには、8位以内に2組以上が入る必要がある。世界ランク上位ペアが多い日本は、国内勢同士でもしのぎを削る状況だ。6月のインドネシアOP(スーパー1000)では、1回戦で櫻本/宮浦が、シードの志田/松山を撃破。その櫻本/宮浦を破った松本/永原を準決勝で下した福島/廣田が準優勝。同国対決のサバイバルとなった。各大会で上位に入って世界ランキングポイントを稼ぐだけでなく、他の日本勢よりも多く獲得できているかまで意識せざるを得ないため、日本勢対決は心理面での負担が大きい。ただ、廣田が「6ペアも(レースを)回っているので、どこかで日本勢対決は絶対にありますし、それを乗り越える必要があると思う。日本勢対決になるのが当たり前だと思って、一つひとつ乗り越えて行ければいいかなと思います」と話したとおり、避けては通れない状況にある。
巻き返しをはかる志田/松山
■第1シードは巻き返しを図る志田/松山「少しでも収穫ある大会に」
カナダOPでは、誰が勝ち上がるのか。第1シードは、志田/松山。レースでは日本勢3番手につけているが、レース開始後の個人戦ではベスト8が最高。最も格付けが高いインドネシアOP(スーパー1000)では、前述のとおり1回戦で日本勢対決に敗れるなど苦しんでいる。志田は「結果が一番欲しいですけど、簡単ではない状況。状況が悪いときに同じプレーを繰り返さないようにして、少しでも収穫のある大会にしたいし、絶対にそこで優勝するという気持ちでやりたい」と内容改善の手応えをつかんで巻き返す意気込みを語った。
決勝進出への意欲を示す松本/永原
■松本「スーパー500はどこかで優勝してキーポイントに」
強国の選手も揃う大会では上位に入るだけでも良しとすべきところだが、カナダOPでは、日本勢は優勝を狙いたい。世界ランキングは、直近1年で獲得ポイントの大きい10大会分(団体戦は1大会のみ対象にできる)の合計で決まる。世界ランク1ケタでの争いになると、スーパー1000、スーパー750の上位ポイントを持つ選手が多くなるため、日本代表が派遣される大会の中では格付けが低いスーパー500では、より明確な好成績でなければ、10大会分に入らない可能性が出てくる。強敵不在で上位に入りやすい大会では、10大会分の1つとして計算できるポイントが欲しいところ。第4シードで臨む「ナガマツ」ペアの松本は「スーパー500の大会がいくつかある中で、ベスト8やベスト4だとあまり意味がない(形になる可能性がある)ので、どこかで優勝してキーポイントにしておく必要がある。まだ(スーパー500では)ベスト4の先に上がれていないので(※5月のマレーシアマスターズでベスト4)、そこを突破できるように、反省点などを生かして、持って行けたらと思います」とハッキリと決勝進出への意欲を示した。
3強追いかける櫻本/宮浦
■3強追いかける櫻本/宮浦は、格上げされた大会で連覇に挑戦
日本の上位3組は、互いを上回るポイントとタイトルの獲得が目標となるが、彼女たちにとって追いかけてくる同国の3組は厄介な相手となる。現在のペアを組み始めて昨年のカナダOP(※昨年はスーパー100)を制して以降、上位3組を猛追しているのが、櫻本/宮浦だ。本格的に組んでから約1年と日が浅い分、まだまだ成長の余地がある。宮浦は「伸びしろはあると思っている。私は五輪レースが初めて。毎回初めての大会の気持ちで挑んでいきたい。(五輪レースからの4大会で)自分たちの型にハマれば、上位ランクの選手にも勝てると分かった。カナダOPでは、昨年優勝しているので2連覇を狙っていきたい。2人で良いコンビネーションを出して行きたい」と抱負を語った。
ワールドツアーの主要大会の多くは、アジア開催。米国大陸への遠征は珍しい。女子シングルスに出場する山口茜(再春館製薬所)が「(長距離)移動や時差(対策)が勝負かなと思う」と話すなど、コンディション調整も大きなポイントになりそうだ。続く韓国OP、ダイハツジャパンOPへ勢いを得るのは、果たしてどのペアか。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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