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バドミントン コラム 2023年4月3日

バドミントン高校選抜で輝いた才能! 世界ジュニア女王の宮崎が初V、男子は沖本が3冠

バド×レポ by 平野 貴也
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世界ジュニア女王の宮崎友花は、団体とシングルスで2冠

3月28日まで岩手県の花巻市総合体育館で行われていたバドミントンの全国高校選抜大会で、有望株が輝きを放った。女子では、昨年の世界ジュニア選手権を優勝した宮崎友花(柳井商工=山口、1年)が、団体戦とシングルスで2冠に輝いた。シングルスは、決勝戦の第1ゲームで初めて相手に先行される展開。優勝候補のプレッシャーに苦しむかと思われたが「思ったよりも相手がダブルスという感じの(テンポの速い)プレーでやり辛かった。無理にでも打って来る球に対応できずに最初は点差を離された。でも、相手はダブルスで決勝までやって疲れがあったと思うので、第3ゲームで取ろうと切り替えた」と冷静に対処。相手を大きく揺さぶり、しっかりと狙ったコースに強打し、2-1で逆転勝利を収めた。重圧の中で2冠を達成した宮崎は「自分のプレーができずに嫌になる部分もあったけど、ここ(最終日)まで自分のプレーを出して行けたのは、自分に負けずに最後まで頑張れたかなと。そこは、良かったと思う」と手応えを語った。昨冬の全日本総合選手権で16強入りし、2023年の日本B代表に選出。狙われる立場となったが、重圧を跳ね除けて実力を示した。

昨夏のダブルス女王・田口真彩が復活、団体戦で優勝に貢献

彼女の隣では、見劣りしない才能が輝きを取り戻しつつあった。団体戦のダブルスで宮崎と組んでいた田口真彩(2年)だ。スピーディーな動きを見せる左利き。1年生だった21年に、1学年上の明地陽菜(※23年4月から再春館製薬所)とのペアでインターハイの女子ダブルスを制したが、負傷が続いて不調に陥っていた。複数の亀裂が入っていたという左ひざの半月板を昨年12月に手術。2月に復帰したばかりだが、青森山田(青森)と対戦した団体戦の準決勝では、2日後に個人種目のダブルスで優勝する清瀬璃子(2年)/平本梨々菜(1年)を2-0(21-18、21-19)で撃破。竹光監督は「負傷で個人戦に出られず、他校の同学年の選手は日本B代表入り。悔しさもあると思う。『自分がナンバーワンプレーヤーなんだと証明して来い』と送り出したが、期待に応えてくれた」と重責を果たした主将を称えた。

女子複の清瀬/平本、須藤/山北が示した可能性と底力

女子ダブルスを優勝した青森山田の長身ペア、清瀬(右)/平本(左)

女子では、ほかに清瀬/平本が高いポテンシャルを示した。169/171センチの長身ペアで、高さを生かした攻撃力は、抜群。清瀬は「2人とも強打で決める後衛タイプ。一発で決まれば良いけど、前に返されるといつも上げて(主導権を渡して)しまっていた。個人戦は、1回戦から藤田(真人)先生に『レシーブで(球を沈めて)前に出て、ドライブで攻めよう』と言われ続けて、少しずつできて結果につながったと思う」と守備の改善を勝因に挙げた。女子ダブルスで準優勝の須藤海妃/山北奈緒(ふたば未来学園=福島、ともに2年)は、昨夏の全日本ジュニア選手権で優勝。全日本総合でも3位のペアに勝利目前まで迫る健闘を見せ、23年から日本B代表入り。堅実なプレーの中で技術を発揮する須藤と組み、エネルギッシュなプレーを見せた山北は、団体、個人の単・複で3つの銀メダル。ダブルスに関しては「個々で決めに行くのでなく、2人で決めに行く部分がまだ足りない」と課題を挙げていた。2人とも団体戦で単・複を兼ね、個人種目も単・複で最終日に進出。連戦の疲労の中で非凡な底力を示した。シングルスで優勝候補の一角だった遠藤美羽(作新学院=栃木、2年)は、準々決勝で敗退。左の強打をベースとする逸材だが、疲労と重圧で足が動かず。相手に打球を読まれてペースを奪われ、1-2の逆転負け。試合や自信の状況を冷静に把握する力、対策を講じて実施する対応力を課題に持ち帰った。

男子は、沖本優大が3冠達成

男子で団体、個人(単・複)の3冠を達成した沖本(埼玉栄)

男子は、埼玉栄(埼玉)のエース沖本優大(2年)が、団体と個人の単・複を制して3冠を達成した。団体戦の3回戦、準決勝、決勝でもペアを組んだ角田洸介(2年)と挑んだダブルスは、決勝戦で先にゲームを奪われながらも逆転勝利を飾った。守備をベースにカウンターを狙って来る相手に対し、沖本は164センチと小柄ながら精力的にジャンピングスマッシュをたたき込んだ。終盤は、その返球に対して、相棒の角田が積極的にネット前へ入って連続攻撃。試合のペースを奪い返し、昨夏の全日本ジュニア選手権に続いて日本一に輝いた。シングルスの決勝戦では、180センチの佐藤瑠活(東大阪大学柏原=大阪、2年)と対戦。高い打点から角度をつけた球を打って来る相手には「上からの鋭いショットがあったので、それを出させないプレーを考えた」とジャンピングスマッシュと同じ体勢からネット前に沈めるドロップショットを多用した。 鋭く動き続けられる運動能力もさることながら、頭脳的なプレーで要所を押さえる能力に秀でる。昨冬の全日本総合選手権ではベスト16。4強入りした村本竜馬(ジェイテクト)との対戦では、ジャンピングスマッシュから前に出る連続攻撃で攻め合い、ファイナルゲーム18点の惜敗。シニア相手に存在感を示した。沖本は「僕は身長がなく、僕よりスマッシュが速い選手もいっぱいいる。ミスをせずにラリーするところが、自分の得意なところ。相手によってプレーは変える。(村本戦のように)相手がレシーブが苦手なら、スマッシュを使う」と技術の生かし方に自信を示した。冷静にプレーを使い分けるスタイルは、連戦の疲労と戦う今大会でも生きた。今後は、夏のインターハイで3冠再現を目標とするが、競技人生の最大目標は、五輪の金メダル。卒業後に実業団、大学のどちらをステップに選ぶかは悩んでいるという。また、シングルスとダブルスのどちらに軸を置くかも決めてはおらず、進路選択にどのような決断を下すか注目される。

谷岡は体調不良に苦しみ、ダブルス準優勝が精一杯

日本B代表の谷岡(右)は、ダブルスで準優勝

一方、沖本とともに23年の日本B代表に選出された谷岡大后(ふたば未来学園=福島、2年)は、松川健大(1年)とのペアでダブルスを準優勝したが、シングルスは準々決勝で敗退した。直前の欧州遠征から帰国後に高熱が出るなど体調不良に陥り、復調途上。「出るからには、最後までやろうと思っていたけど、練習をできていない分、動けなかった。ダブルスは、パートナーのおかげ。決勝まで行ったら勝ちたかったけど、最後は自分が壊れてしまった」と悔しがる表情にも、疲労感が漂っていた。リラックスした状態で相手を見て、時には意外なほど軽いタッチで試合を組み立てる谷岡の試合は、独特の面白さがある。今大会での3冠は、谷岡も目指していたところ。ライバルに先を越され「インターハイは3冠を取ろうと強く思う」と巻き返しを誓った。 男女とも日本B代表選手を筆頭に、多くの選手が4日間の連戦で輝きを放った。彼ら、彼女らの戦いは、夏のインターハイへと続いていく。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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