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バドミントン コラム 2022年7月1日

バドミントン齋藤駿、インターハイで春夏連続の3冠に挑戦

バド×レポ by 平野 貴也
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春夏3冠の偉業に挑戦する。7月24日に開幕する全国高校総体(インターハイ)のバドミントン競技は、男女の団体戦および個人戦(シングルス、ダブルス)が行われるが、男子の齋藤駿(ふたば未来学園高校=福島県、3年)は、すべてのタイトル奪取に挑む。3月に行われた全国高校選抜大会では3冠を達成。ただし、最大のライバルとなる埼玉栄高校(埼玉県)が欠場していた。相手が勢ぞろいする夏、再び3つのメダルを獲得できるか注目される。

齋藤駿選手

齋藤は、身長176センチで国内では体格に恵まれている。ジュニアナショナル(U19)のメンバーで、日本バドミントン協会が日本スポーツ振興センター競技力向上事業助成を受けて実施している「次世代ターゲットスポーツの育成支援事業」の対象選手にも選出されている、期待の星だ。中学時代に170センチを超える長身だったため、高さを生かした強打を武器に頭角を現してきたが、現在は将来的に国際大会で活躍することを目指し、攻撃一辺倒だったスタイルから変化の最中。ラリー力や試合運びの向上に努めている。

5月には、シニアの実業団選手が主軸となる日本ランキングサーキットに出場。初戦で元日本A代表の五十嵐優(BIPROGY)と対戦して、0-2(16-21、6-21)で敗れた。序盤は勢いよくリードを奪ったが、途中から相手に振り回され、ペースを失った。

齋藤駿選手

「大人に対しての戦い方がまだまだ。一度、相手のペースになってしまうと抜けきれない。自分のプレースタイルだと勢いがあるうちは良いけど、それがなくなると、まだまだ。もっと経験を積んで、戦い方を学びたい。今日の相手ぐらいのレベルの選手が、海外では僕と同世代にいる。そういう選手に勝っていかないといけない」(齋藤)

苦境で生きる、社会人大会や国際大会の経験

齋藤駿選手

試合の中での駆け引きが巧みな大人の選手には、長所を消されてしまう。得意なプレーにトライするだけでなく、ミスをしないプレーで我慢をしたり、自分の長所が消されても相手の長所を消しに行ったりする戦い方も時には必要だ。春の高校選抜で3冠を達成した齋藤は、インターハイでは間違いなく狙われる立場になる。また、連戦で体力を失う可能性も十分にある。そんなときには、社会人を相手に戦った経験が生きるはずだ。
春の高校選抜を優勝した段階では「まだアジアしか行ったことがない。ヨーロッパには身長が高くてパワーのある選手が多いと思うし、まだ経験していないので、やってみたい」と話していたが、6月には、クロアチアとブルガリアでジュニア世代の国際大会を連続優勝。クロアチアでは競った試合が多く、7試合中3試合がファイナルゲームにもつれたが、粘り強く勝利。ブルガリアでは6試合すべてストレートで圧勝した。積極的に強打を狙う攻撃的なスタイルからプレーの幅を広げつつある。

そうは言っても、高校世代の中でも毎回圧勝できるほどの力の差はない。個人戦では、ライバル校だけでなく、同校対決でも気が抜けない。1学年下の谷岡大后には、春の高校選抜の東北地区予選会決勝で敗れている。しかし、高校世代の争いから抜け出して、先に進みたいという意欲が齋藤にはある。追いかけているのは、先輩にあたる桃田賢斗(NTT東日本)ら世界の頂点を争っている日本A代表の背中だ。だからこそ、日本ランキングサーキットで初戦敗退を喫した際には「高校3年生で、この結果。世界で戦っている選手は、優勝したり上位に入ったりしていたということは、自分でも分かっている。その人たちには、全然、及んでいない。これから少しでも差を縮められるように、結果にもこだわってやっていきたい」と偉大な先輩たちとの比較から、結果を厳しく見つめていた。

春夏6冠なら06年の田児賢一以来16年ぶり2人目の快挙

齋藤駿選手

打倒・齋藤に燃えるライバルとの戦いは、決して楽ではない。しかし、もっと上の世界に突き進むために、負けてはいられない。春の高校選抜を優勝した際、齋藤は「もっと自分を強くするために、どうするか突き詰めたい。インターハイでは圧勝の3冠を目標に頑張りたい」と力強く語った。強打だけでは通用しないことは、百も承知。ペースを乱しに来る相手との駆け引きに勝って、勝利を手繰り寄せなければ、春夏連続の3冠は成し得ない。男子で同一年の全国高校選抜、インターハイで6冠を達成したのは、2006年の田児賢一(当時、埼玉栄高校1、2年生)のみ(※)。大人のプレースタイルを学び、一段階成長した姿をインターハイで証明し、再び3つの金メダルを手中に収めるか、注目だ。

※全国高校選抜は、個人戦が行われない年がある。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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