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全国高等学校総合体育大会(通称:インターハイ)のバドミントン競技大会は13日に最終日を迎え、男子個人戦のシングルスは第1シードの森口航士朗(埼玉栄高・3年)が優勝、ダブルスは荻原聖也/武井凛生(ふたば未来学園高・ともに3年)が優勝した。なお、10日まで行われた団体戦は、ふたば未来学園(福島)が4年ぶり4度目の優勝を飾っている。
森口航士朗(埼玉栄高・3年)
シングルスを制したのは、3月の全国高校選抜大会でも日本一に輝いている第1シードの森口だった。ダブルスでも準優勝。この日だけで4試合のハードなスケジュールを戦い抜いた。シングルス準決勝では、2013年の常山幹太(トナミ運輸)以来となる2年生優勝を狙った齋藤駿(ふたば未来学園・2年)と対戦。序盤は、リードを許したが「春は、気持ちに余裕がなく、自分のプレーが限られていた。スマッシュ、ネットだけみたいな。インターハイは、どちらかというと、大きな展開で回す、余裕のあるプレーができた」と大会を振り返ったように、次第にレシーブが安定してペースをばん回。相手のミスを誘い出し、終わってみれば2-0(21-13、21-15)のストレート勝ちと強さを示した。
もう一方の準決勝でチームメイトの宮下怜(埼玉栄高・3年)が岩野滉也(ふたば未来学園高・2年)を破って勝ち上がったため、決勝戦は、森口と宮下の同門対決。森口は、準決勝を戦う前に「最終日まで2人で残ったので、必ず同校決勝をしようと、先生たちとも話していた。それが実現したことが、まず一つ嬉しかった」とこの対決を喜んだ。試合は、持ち前の強打に頼ると体力面で厳しくなる森口が、相手に攻めさせながらも巧みな球回しで隙を突いた。第1ゲームを21-11で先取すると、第2ゲームは宮下が意地を見せて食らいついた。最大でも2点差という拮抗した勝負となったが、最後は「最後は、気持ち。攻め切った方が勝つと思いました」という森口が渾身の強打を決め、コートに倒れ込んだ。
栄冠を勝ち取るために、大会直前に行われていた東京五輪も参考にした。日本代表が大舞台の緊張から力を発揮できなかった部分を反面教師と捉え、リラックスして臨むことを重視。春の全国高校選抜大会でファイナルゲームまでもつれ込んだ平野莉久(九州国際大付属高・3年)との再戦となったシングルス4回戦では「自分でも硬くなっているのが分かった。山田(秀樹)先生が試合に付いていてくれて、ジャンプをして深呼吸をしてから次のラリーに入るように毎回言われていたので、しっかりリラックスできたかなと思います」と緊張感を克服。アップセットを許さず、ストレートで勝ち切った。将来の夢は、五輪メダリスト。冬に開催予定の全日本総合選手権の出場権を獲得し「ベスト8を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
荻原聖也/武井凛生(ふたば未来学園高・ともに3年)
ダブルスは、トップ4シードが準々決勝までに全滅する大混戦となったが、荻原/武井が優勝。春の全国高校選抜大会で小林倫太朗(3年)とペアを組んで3位だった武井は、シングルスでも期待されていたが、負傷で県予選を棄権。荻原とのペアで団体戦、ダブルスの2冠を狙い、目標を達成した。決勝では、団体戦の決勝でも対戦した森口/野口翔平(埼玉栄高・3年)に2-0のストレート勝ち。ネット前のスペースを使う配球で相手の守備を切り崩し、雪辱を狙った相手を返り討ちにした。気合い十分のプレーを見せた荻原は「気持ちの面で押し切った」と手ごたえを語った。チームの主将を務め、団体でも個人戦でも結果を残した武井は「自分は、シングルスで世界一を目指したい。(身体が)小さくてもやれる、見てもらえるという選手になりたい」と今回は挑戦がかなわなかったシングルスでも、さらなる飛躍を目指すことを宣言した。インターハイは、昨年は中止。今年は無観客だったが開催され、次世代選手に新たな手ごたえと目標を与えた。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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