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バドミントン コラム 2021年1月4日

バドミントン国際大会、新たな開催方式の注目点は?

バド×レポ by 平野 貴也
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桃田賢斗(NTT東日本)

10カ月ぶりに世界のトップ選手が覇を競う。バドミントンのBWFワールドツアー3大会が、2021年1月12日から3週間にわたってタイで開催される。12日開幕のヨネックスタイオープン、19日開幕のトヨタタイオープン、そして27日開幕のワールドツアー・ファイナルズだ。全5種目で有力選手を抱える日本A代表は、1月3日にタイへ渡り、現地での1週間の隔離合宿(行動範囲を限定した調整期間)を経て大会に臨む予定だったが、出国時のPCR検査において、男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)が陽性と判定を受けたため(他選手、スタッフは陰性)、日本バドミントン協会は、選手団の派遣中止を決定した。中国勢も参加を辞退しており、強豪選手を多く擁する2つの強国が不参加となった。あらためて、コロナ禍における国際大会の難しさを痛感する。

ただし、タイで行われる3つの大会は、それでも注目すべきポイントがある。世界トップクラスの強豪が出場するBWFワールドツアーは、2020年3月の全英オープン後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、BWFワールドツアーは中断。同年秋にデンマークで2大会を連続で行う案で再開を模索したが、最終的には1大会のみの開催となり、アジア勢はほとんどが不参加。日本も6選手のみの出場に留まった。12日に開幕するタイオープンは、欧州とアジアの強豪が、19年3月の全英オープン以来10カ月に顔を合わせる場となる。

タイで開催される国際大会の注目点は、主に2つある。1つは、日本勢のライバルとなる他国のトップ選手の状況確認だ。アジアの強豪選手の多くが、20年3月の全英オープン以来、国際大会に出場していない。2024年のパリ五輪シーズンまで契約が延長された朴ヘッドコーチは「海外の選手が全英オープン以降、どうなっているか分かっていない。本当に久しぶりに見るので、どれくらい変わっているかチェックができると思っている」と話した。男子シングルスで桃田のライバルの一人となるビクター・アクセルセン(デンマーク)はコロナ禍でのワールドツアー中断中に足首の手術を行っている。負傷からの回復、フィジカル強化、ダブルスの戦術強化などを行っている可能性があり、各選手がどのような変化を見せるのかが注目される。

もう1つの注目点は、今後のコンディション調整方法に与える影響だ。1つの開催地で3大会を連続開催するのは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策。大会関係者を現地に集めて検査を行った後、陰性者のみのグループとして「バブル」と呼ばれる限定された行動範囲で他のグループとの接触を断つ方法が採用される。20年10月のデンマークオープンがテストケースで、今回は複数大会の連続開催に臨む。

奥原希望(太陽ホールディングス)

気になるのは、選手の調整方法が変わっていく点で、コンディションへの影響だ。女子シングルスの奥原希望(太陽ホールディングス)は、3月の全英オープンでベスト4に入り、10月のデンマークオープンで優勝し、12月の全日本総合選手権で2連覇を達成。コンスタントに成績を残しているが、帰国後に活動自粛期間を置いてトレーニングを再開するという2度の経験から、コンディションをもう一度上げる必要があったことに言及。「デンマークオープンまでは(3月から10月まで)練習時間がすごく長くて自信を持って臨めました」と話す一方、デンマークから帰国して活動自粛を経て2カ月ほどの調整で臨んだ全日本総合では「デンマークの時のコンディションには戻っていない」と繰り返した。海外渡航と活動自粛を繰り返すだけでも、従来より調整への気遣いが必要になる。その難しさを感じたからこそ、出場を予定していたタイでの国際大会に向けては「4週間、ずっとタイにいる生活に耐えられるかという不安もある」と苦笑いを浮かべ、新たな対応を強いられる可能性に触れた。バブルで活動が制限される中、心身のコンディションをどう保つかという、今までにはなかった工夫が必要になることが予想される。

BWFは、タイオープン後もバブルを用いた同一都市での連続開催を行っていく方針を示している。今後の大会日程が流動的である状況を考えると言い切れない部分もあるが、3月のスイスオープンから再開予定の東京五輪出場権獲得レースや、日本A代表の当面の大目標である21年夏の東京五輪に向けて、新たな大会方式におけるコンディション調整法を確立していくことも必要になる可能性がある。バブルによるコロナ対策の下、3週連続の大会でコンディション調整にどのような課題が出てくるのか、気がかりだ。20年11月に東京で行われた体操競技の国際親善大会では、選手たちがコロナ対策の制限に理解を示しながらも、ジムやプールなどで身体を自由に動かす時間を想うように取れなかったことに少なからずストレスを抱えていたことを明かしていた。事前入国から数えて約1カ月という期間を、選手たちがどのように感じるのか。

久々の国際大会で、トップ選手がどのようなコンディションで臨み、プレースタイルの変化を見せるのか。そして、以降の大会でグッドコンディションをキープしていくために必要な工夫とは何か。1月の国際大会は、終息の兆しが見えないコロナ禍における、新たな局面の入り口となる。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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