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福島・廣田ペア/写真は2019年のもの
今年、念願の全英オープン優勝を果たした福島由紀/廣田彩花。ペアを組んだのは、廣田がルネサスに入社した2013年からだが、当時福島はシングルスにも重心を置いており、福島によると「(廣田とは)いきなり組んだので、どうしたらいいの? という感じでした」。ただ、北京五輪4位のルネサス(当時)・末綱聡子コーチは、「最初から、見ていて違和感はなかった。フィニッシュに持っていくのも早かったですし」と、2人の相性を見抜いている。13年は全日本社会人、全日本総合ともにベスト8と、廣田にとってはルーキーイヤーながら、まずは合格といえる成績だった。
成長は、順調だ。ナショナルB代表入りした翌14年、全日本社会人では、実績のある松尾静香/内藤真実に勝利寸前から逆転されて準優勝に終わったものの、全日本総合ではその松尾組との準々決勝を制して4強に進出。15年になると、3月中旬のベトナム・インターナショナルチャレンジでベスト4に入り、世界ランキングを48位まで上げていた。そうして迎えたこの大会、2人には、特別な思いがある。
「再春館製薬所としての、初めての大会。だから、なんとか優勝したいんです」(福島)
そう。所属のルネサスが、経営合理化の一環として前年度限りで休部。存続のピンチにチームごと受け継いでくれたのが、同じ熊本を地元とする再春館製薬所だった。年度が変わってすぐのこの大会は、その再春館での初試合にあたるわけだ。初戦で星千智/東野有紗(東野はのち、全英の混合複を制する)を撃破した福島/廣田は、日本勢のサバイバルを勝ち抜いていく。準決勝では、栗原文音/篠谷菜留が棄権して決勝進出。ペア結成3年目、「国際大会では初めて」(福島)のことだった。
相手は、陳清晨/賈一凡。満17歳という中国の若手だが、前年には世界ジュニアで優勝し、団体との二冠に輝いた実力は侮れない。そして……この対戦から5年がたつ現在、陳/賈は世界ランキング1位で、福島/廣田は僅差の2位につけている。対戦成績では、逆に福島組が9勝7敗とリードしており、絵に描いたようなライバル関係だ。記念すべき初対戦だったこの大阪、勝つのはどっち?ほかに男子単では大学生の西本拳太、女子単では高橋沙也加、社会人1年目の大堀彩、男子複では保木卓朗/小林優吾、古賀輝/齋藤太一と、現在のA代表がいずれもベスト4に進んでおり、こちらも楽しみだ。
文:楊 順行
楊 順行
1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し野球、バドミントンなどの専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆している。
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