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山口茜選手/写真は2019年のもの
なんといっても見ものは、女子シングルスの決勝。勝山高校に入学したばかりの山口茜が、決勝に進むのだ。
もちろん、3年後にはリオデジャネイロ五輪代表になるのだから、ナミの15歳じゃない。前年には、中学3年生ながら世界ジュニア団体銀メダルのメンバーに名を連ねた。さらに全日本総合でも、中学生として史上初めて初戦を突破すると、この年にはこれまた史上最年少で日本代表に選ばれている。オトナの国際大会には3試合しか出ていないため、大会前の世界ランキングは238位に過ぎないが、2回戦で山口に敗れた楠瀬由佳は、
「試合をしながら、"オオ~、いまの球はすごい!"と茜ちゃんに見とれていました」
と、その力量を絶賛する。準決勝では世界62位と格上の打田しづかに快勝。前々週にポーランド国際を優勝しているその打田も、
「去年、ナショナルB代表の合宿でやったときとはイメージが全然違います。球は重くなっているし、スピードも別人」
と、山口の急成長に目を丸くしていた。なにしろ山口、この年9月のヨネックスオープン・ジャパンでは、史上最年少でスーパーシリーズ(現在のワールドツアーではスーパー700)の優勝を果たすことになるのだから、成長ぶりは手がつけられない。そして、山口が決勝で対戦する相手は、今別府香里。前年の全日本総合で2度目の優勝を果たしており、そのときは2回戦で山口を降している。
その再戦は第1ゲームから、今別府が「総合で対戦したときより、さらに速くなっていました」という山口のスピードに手こずり、追う展開になる。山口のスピードは、「地元のクラブでは男子選手と打ち合うので、予測して動く習慣がついている」(山口)ことで養われたもの。またチャンスと見れば、少々無理な体勢でも強打するのが山口の特長で、18―16とリードして1ゲームも終盤だ。年齢にして11歳上と、試合経験で勝る今別府はここから、サービスに変化をつけるなどあの手この手で山口の攻撃力に対抗するが、結果は果たして……。
男子ダブルスでは、この年からペアを組んだ数野健太/山田和司が優勝。数野は男子複でのリオ五輪出場はかなわなかったが、栗原文音との混合複でオリンピック8強入りした。またこの大会には男子単の西本拳太、女子単の大堀彩ら、いま世界ランキング上位をにぎわす日本代表も出場していた。
文:楊 順行
楊 順行
1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し野球、バドミントンなどの専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆している。
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