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2019年最後のビッグタイトルを手にするのは、誰か。バドミントンBWFワールドツアーファイナルズが12月11日に中国、広州で開幕する。各種目、世界選手権の優勝者と、2019シーズンのツアー通算成績の上位選手の計8人(または8組)しか出場できない、頂上決戦だ。世界選手権に次いで高いランキングポイントが設定されているため、来年4月末まで行われる2020年東京五輪の出場権獲得争い(通称:五輪レース)においても、重要な大会となる。最低でもベスト8のポイントが獲得できるため、出場そのものに価値がある。
前回大会で全種目に出場し、全員がベスト4以上という大躍進を見せた日本は、今大会も全5種目に選手が出場する。2020年東京五輪金メダルの最有力候補として注目を浴びている男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)は、大会の前身であるBWFスーパーシリーズ・ファイナルズを制した2015年以来、4年ぶり2度目の優勝を狙う。
前回大会は、順当な勝ち上がりを見せたものの、決勝戦で中国の石宇奇(シー・ユーチ=中国)に序盤からハイペースな攻撃を受けて完敗した。しかし、今季は、世界選手権の連覇を含めて国際大会で10勝。62勝6敗(国際大会のみ。団体戦含む、試合前棄権は含まない)と91%以上の勝率を誇っており、本人も「以前は大丈夫かなと不安になる部分もあったが、今は自信を持ってコートに入れている」と自信を示す。ビクター・アクセルセン(デンマーク)や周天成(チョウ・ティエンチェン=台湾)、好敵手のアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)といったライバルたちは、皆、あと一歩のところで桃田に主要ツアー大会のタイトルを阻まれている。戦い方をどう変えてくるか気になるが、桃田がダントツの優勝候補。4年ぶりの優勝が期待される。
日本勢では、女子ダブルスも優勝候補と言える。世界選手権連覇の松本麻佑/永原和可那(北都銀行)と、同選手権で3年連続準優勝の福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)の2組が出場。前回優勝の高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)もツアーランク4位と好成績を挙げているが、同国から1種目2組までしか出場できず、国内3番手のために出場できない。超ハイレベルな国内順位争いも制して出場権を得た松本/永原、福島/廣田の両ペアは、世界選手権や全日本総合に続いて、決勝戦で戦う可能性も十分にある。また、今後、追い上げてくる可能性があるリオ五輪の女王ペア高橋/松友に五輪レースで差をつける絶好の機会でもあり、4強以上の成績を残したいところだろう。
松本麻佑/永原和可那
4強入り、優勝と段階を踏むためには、通常のツアー大会とは少し形式が異なる点に注意しなければならない。まず、4人(4組)ずつ2組に分かれて総当たり1回戦を行い、決勝トーナメントに進出する各組上位2位を決めるため、最低でもベスト8の成績が保証されるが、一方でベスト4入りを果たすためには、3試合を戦わなければならない。また、予選ラウンドは、勝利数が並んだ場合、当該選手同士の成績、取得ゲーム数、取得点の差によって順位が決まるため、勝敗だけでなく内容も重要になる。前回の混合ダブルスでは、渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)が戦ったグループBで3組が1勝2敗で並び、3組の中で唯一、敗れた試合の中で1ゲームを奪っていた渡辺/東野が総取得ゲーム数の差で2位となり、決勝トーナメントに進んだ。また、決勝トーナメントで予選ラウンドで戦った相手と再び対峙する可能性があることも、この大会の特徴だ。前回大会では、女子ダブルスの松本麻佑/永原和可那(北都銀行)が予選ラウンドで破った韓国ペアに、準決勝で敗れた。修正や対策をしてくる相手をもう一度破る戦術の幅が必要になる場面もあり、対応力も重要となる。
男子シングルス、女子ダブルス以外にも日本はメダル候補を送り込んでいる。女子シングルスに山口茜(再春館製薬所)、奥原希望(太陽ホールディングス)が出場。夏以降調子が上がらずに苦しんでいる山口が、どこまでパフォーマンスを上げられるか。奥原は、世界選手権を含めて準優勝6回と成績は安定しているが、2位止まりで国際大会の優勝がない。1年の締めくくりにタイトルを獲得できるかどうかが見どころだ。
奥原希望
男子ダブルスは、園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)、遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)の2ペアが出場。園田は、2週間前の全日本総合で脱水症状を起こしており、どこまで回復しているのか気がかりだ。遠藤/渡辺は、前回大会で準優勝。昨季からレシーブに手ごたえを得ており、強敵相手でも勝負できる力をつけている。
混合ダブルスは、渡辺/東野が出場する。渡辺は、前回に続き、2種目でメダルを狙う。この種目は、依然として中国の2強が圧倒的に強い。世界ランク1位のジェン・シーウェイ/ファン・ヤチョンは、世界選手権を含めて国際大会6勝。年間55勝7敗。世界ランク2位のワン・イルユ/ファン・ドンピンも国際大会6勝しており、52勝8敗と高い勝率を誇る(※いずれも試合前棄権は対象外)。全日本総合で連覇を飾り「東京五輪で金メダルを取れるように」と今後の目標を語った渡辺/東野が、中国2強に挑む試合は要注目だ。
写真・文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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