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バドミントン世界選手権(スイス、バーゼル)は、現地時間23日に各種目の準々決勝を行い、日本勢は女子シングルスの奥原希望(太陽ホールディングス)らが準決勝に進み、全種目のメダル獲得を決めた。女子ダブルスは、日本勢2組が4強入り。この日行われた女子種目の様子を伝える。
女子シングルス
2年ぶりの優勝を狙う奥原は、ホ・ビンジャオ(中国)をストレートで破った。序盤からスピードで圧倒して第1ゲームを21−12で先取。第2ゲームは終盤まで競ったが、最後はドロップショットを決めて21−18で勝ち切った。相手に長くペースを与えない強い勝ち方を見せた奥原は「終盤、相手が大事にきた場面で合わせてスピードを落としてしまったけど、最後は自分からスピードを上げて駆け引きできた」と手ごたえを示した。
同種目では、プサルラ・V.シンドゥ(インド)が2−1でタイ・ツーイン(台湾)を破ったゲームが白熱。タイ・ツーインが相手を動かすラリーが多かったが、シンドゥが時折鋭いアタックを見せて流れを断ち切り、勝利を収めた。
女子ダブルス
日本勢4組が出場したが、日本勢対決の1試合が残念な結末に終わった。世界ランク8位で2020年東京五輪の出場権争いでの台頭を狙っていた米元小春/田中志穂(北都銀行)は、米元が試合中に左足首を負傷して棄権。チームの後輩である松本麻佑/永原和可那が準決勝に進むことになった。松本は「こういう形になってしまって、本当に心苦しい。明日は、先輩たちの分まで戦えたらと思う」と沈痛な面持ちで話した。
勝ち上がったもう1組は、2年連続準優勝の福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ)。強打が持ち味のイ・ソヒ/シン・スンチャン(韓国)を相手に85分の消耗戦を展開して2−1(21−11、11−21、21−18)で勝利。7月以降、ダイハツヨネックスジャパンオープンとタイオープンで強打のペアに屈していたが、粘り強さで悪いイメージを払しょく。廣田は「(直近2大会は)押し切られて負けてしまったので、そういう負け方はしたくないと思ってやってきたし、気持ちでいくしかないと思って、吹っ切ってやり切れた」と手ごたえを示した。
2016年リオ五輪女王の高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)の試合は、この日、最も会場の注目を集めたが、2時間6分の死闘の末にドゥ・ユエ/リー・インフイ(中国)に1−2(25−23、18−21、23−25)で敗れた。試合開始から高い質の攻撃を繰り出したが、中国ペアが粘った。隣のコートの熱戦が先に終わり、全観衆の視線が注がれた中での激戦は、決勝戦のような雰囲気。ファイナルゲームの20オールのラリーで、審判が両コーチ席からの指導を指摘してノーカウントになるなど異様だった。相手ペアが何度も治療行為を行い、間合いを取られる嫌な展開の中、19−20のマッチポイントをしのいで、23−22としたが、痛恨のサーブミスで同点。ドロップがネットにかかって24点目を許すと、最後はドライブで逆を突かれて敗れた。
試合終了後、高橋は取材エリア手前まで来たが、座り込む状態で疲労困憊。松友だけが取材に応じ、涙で目を腫らしながら「悔しいけど、楽しかった。あそこまで行ったら、互いに攻める戦い。常にどちらも仕掛けようとしていた。中国ペアも多分、過去最高のプレー。また練習をたくさんやって、もっと強くなりたいし、本当に這い上がっていきたい」と気丈に話し、相手が治療のために何度も試合を中断したことについても「私も休めたので」と批判しなかった。
文/写真:平野 貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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