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バドミントンの国際大会「BWFワールドツアーファイナルズ」(中国、広州)は16日に最終日を迎え、男子シングルスの決勝戦は、石宇奇(シー・ユーチー=中国)が2-0(21-12、21-11)で桃田賢斗(NTT東日本)を破って初優勝を飾った。
世界選手権の決勝と同じカードとなった一戦は、まったく違う展開のゲームとなった。世界選手権では、桃田が、石宇奇の強打をネット前に返し、相手が下から拾う球を攻撃するというパターンで主導権を握った。しかし、この日の石宇奇は、ネット前に落とされる球に素早く反応。ネット前で攻撃のきっかけを作る桃田の戦術を完全に封じた。集中力も高く、桃田が相手の上体をあおるように相手コート奥へシャトルを送り込もうとしても、素早く跳び上がってクロスへ強打を打ち込み、主導権を渡さなかった。桃田は「相手のタッチがすごく早く、研究されているなと感じた。完敗だったと思う」と攻略法を見つけられなかったことを認めた。
桃田もネット前からネット前へ落とすヘアピンショットなどで技術の高さは見せたが、石宇奇の集中力の高さとショットのキレ味に押される展開を変えることはできず、一度も主導権を握れないまま、ストレート負けで圧倒された。石宇奇が前日の準決勝でファイナルゲームにもつれ込む激闘を繰り広げたのに対し、桃田は今大会4試合でストレート勝ち。疲労度の面でアドバンテージがあると思われたが、石宇奇は疲労感をまったく感じさせず、中国の観衆さえ驚くようなファインショットを連発。隙を見せなかった。
桃田は「前半に相手がペースを上げてきて、消極的になってしまった。相手の球が良かったのも、それが理由で、自信を持って踏み込んで(返球して)いけば良かったと思う」と力なく話した。返球の場所が悪かったわけではなかったが、球が弱く、相手が素早く落下点に入れたため、常に状態の良い相手の攻撃を受ける形になってしまった。桃田は「プレッシャーがかかる場面、自分が(どうしても)勝ちたい試合で、消極的にならず、自分のプレーを出せるような対策をしていきたい」と来季以降の改善のイメージを語った。
4度目の対戦で初めて勝った石宇奇は「今までは相手の戦略が分かっていなくて、相手のプレーに対応できなかったが、今回は自分のスタイル、戦略を徹底することができた。試合前から心の準備もできていた」と会心の勝利を振り返った。今季、世界選手権を制して世界ランクも1位になった桃田だが、シーズン最後の国際大会で課題を突きつけられた。来季は、さらに追われる立場での戦いで自身を磨くことになる。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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