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スキー コラム 2021年11月24日

複合エース渡部暁斗の心意気|ノルディック複合プレビュー2021/2022

ウィンタースポーツコラム by 岩瀬 孝文
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日本のエース渡部暁斗

いつもにこやかで心おおらかに、それでいてたまに眼光鋭く、自分の思うことをはっきりと言う。それはとても有難く、好調なときは雄弁になり記事にしきれないほどだ。

「今日は何かのついでに…ですか?僕なんかどうでも良いでしょう。あっちの方に有力なジャンプ選手がたくさん来ていますよ(笑)」
トレーニング中の白馬シャンツェでジョークを飛ばす彼の姿があった。

頭脳明晰な日本のエース渡部暁斗(北野建設)との会話では、ときに禅問答に近いやりとりをすることもあるが、いや、これは愛してやまないノルディック複合の素晴らしさを考え、しっかりと自分の言葉で伝えたいという彼の想いが根底にあると理解している。

渡部暁斗はW杯の複合ではこれまで個人総合優勝1回、2位を4回、3位を3回獲得している。欧州強豪チームの有力選手と競り合いながら確実に上位につけ、どの位置からでも表彰台を狙うことができる存在だ。
それも前半ジャンプで飛び抜けて逃げ切るスタイルもあり、さらには後半のランでの追い上げと駆け引きで前を追従、鮮やかに抜き去ることも可能なのが彼の持ち味である。

今シーズンの日本代表チームは、渡部暁斗に加えてこれまでの着実なトレーニングによりランに上昇機運が見られる渡部善斗(北野建設)、岩手の星として長年に渡り世界で培われてきた技術があるベテラン永井秀昭(岐阜日野自動車)、ジャンプが得意な山本涼太(長野日野自動車)、また新鋭では木村幸大(中大)と谷地宙(早大)が選出されている。遠征合宿では、インスブルックにある名門ベルグイーゼルシャンツェを飛びこなし、さらにはフィンランドのブオカッティを走り、天然雪のロバニエミで入念なジャンプ練習を行った。そこには地元・妙高高原のイカ帽をかぶって旗を振る北村隆コーチが、すこぶる良い存在感にあふれていた。

かつての例をあげれば、いまのフィンランド国立五輪トレーニングセンターとして名高いブオカッティにある合宿コテージで日本から持って行ったカレーを作り、マッカラ(美味な焼きソーセージ)とともにみんなで仲良く食するファミリー感が満載なのが日本ノルディック複合チーム。そういったまとまりと結束の高さは現在でも脈々と息づき、それがここ一番でものをいう。そして一気に複合団体戦の表彰台を狙うことができるのが日本チームだ。

海外勢では、ノルディック複合の伝統国ノルウェーはリーベルを筆頭にオフテブロ、グラーバグ、ビョルンスタッド、アンデルセンなど駒が豊富に揃い、その様々な仕掛けによって表彰台を占めることもできる最強のチームである。

ノルウェーを牽引するリーベル

その牙城を崩そうと奮闘を見せるドイツは、周りに迎合することなく己れの道を行くフレンツェルやリースル、ガイガー、リーゼック、ファイストらが、ときにまとまりにあふれたゲームメイクで、大勢が上位に名を連ねてくる。

立て直しに成功したオーストリアはジャンプが得意なザイドルがケガから復帰、さらに、快速ランで突っ走る新鋭ランパルタなどが主軸となり、そこに若手数名をバランスよく投入し選手育成を施している。

ようやく上位に帰ってきたフィンランドは、中心選手のヘロラを軸にして若い選手たちが切磋琢磨してさらに浮上しようと努力を重ねている。

今シーズンのW杯における見せ場は、開幕戦のクーサモ・ルカ(フィンランド)と人気レースとして定着をみせた1月後半のゼーフェルト(オーストリア)での3連戦。ここで表彰台に入ることこそが各国選手の目標となり、シーズンタイトルを大きく占っていくものとなる。ここでアキト選手が威勢よく日の丸を振りかざしてフィニッシュするシーンを観たいものだ。

文:岩瀬孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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