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中田璃士が悲願の世界ジュニアフィギュアスケート選手権初制覇!日本人男子として2年ぶり7度目の快挙 | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2025 男子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部悲願の世界ジュニアフィギュアスケート選手権初優勝を果たした中田璃士
強い意志でつかみとった勝利。日本の中田璃士が、ついに頂点に上り詰めた。日本男子としては2年ぶり7度目のジュニア世界制覇であり、日本の男女アベック優勝は史上4度目の快挙だった。
ショートプログラム(SP)は文字通りパーフェクト。3つのジャンプ要素は完璧に成功させ、しかも3つすべてで、国際大会で「自己最高」の高い出来栄え点(GOE)を勝ち取った。スピンやステップはすべてでレベル4の判定を得たし、特に情熱的に、ダイナミックに、フラメンコを舞うステップシークエンスは、これまでの自己ベストを0.67点も上回るほどの高い完成度を誇った。はじき出されたスコアは86.04点。パーソナルベスト(PB)を4.49点も塗り替える、凄まじい得点だ。
順位に関しては、この時点での中田は2位だった。SP1位のソ・ミンギュ(韓国)もまた、ノーミス&オールレベル4でプログラムを完璧にまとめ上げていたからだ。
ソがコンビネーションに3Lz+3T(基礎点10.10)を飛ぶ一方で、中田は3T+3T。得点が1.1倍になる後半に組み込んでいるとはいえ、それでも基礎点は9.24にとどまる。この0.86点差が、スコアに如実に反映された。1位ソと2位中田のSP得点差は、わずか0.64点だった。
「3Lzが得意ではないので、3T+3Tの構成にしました。ミンギュは僕にとっては良きライバルで、また今大会でこうして一緒に戦えることが本当に嬉しいです。FSも楽しみにしています」(中田)
ジュニアではFSだけで4回転ジャンプが認められているからこそ、いまだ4回転を持たないソに比べ、中田のほうが構成上は有利だった。しかも今大会の中田は、国際大会では初めて、4回転2本の構成で臨んだ。
ただ昨年末のJGPファイナルで、SPで1位につけながらも、総合3位に後退した思い出がある。FSでジャンプに苦しみ、3回転のみでより安定した演技を見せたジェイコブ・サンチェスとソに抜かれたのだ。
「ジュニアグランプリファイナルには本当にがっかりしました。でも、あれが、僕を強くしてくれましたし、おかげでより一層練習に励むことが出来ました」(中田)
冒頭の4回転トーループは、成功はさせられなかった。空中でバランスを崩し、着氷時にステップアウト。さらに片手と膝を軽く氷についた。ただ、ほんの、一瞬だけ。その手や膝に体重をかけることなく、中田は極めて素早く体勢を立て直した。「転倒」には絶対にしないという、毅然とした意志のあらわれようにも見えた。
そこからの中田は、鮮やかなスピードに乗って、次々とジャンプを決めていった。続く4T+3T……つまり国際大会で初めて挑んだ4回転コンビネーションを見事に飛び、GOE+3という高い評価さえ得た。JGPファイナルでも、シニアの全日本でも回避してきた苦手な3Lzも、過不足なく無事に成功させた。
キレのある、スケールの大きな滑りで、中田はFS「パイレーツ・オブ・カリビアン」を演じ上げた。体力的に厳しい最後のスピンだけは、レベル3にとどまったが、最後まで気力を振り絞った。そして音楽が鳴り止んだ瞬間、氷に突っ伏して、小さくガッツポーズ。これまでのPBを1.89点上回る、162.95点という高得点を叩き出した。
最終滑走のソも、負けじと素晴らしい演技を披露した。「雨に唄えば」の、あたたかく幸せな世界観を、氷の上であますところなく表現した。ただ残念ながら3回転のみの構成で、ジャンプで転倒(減点1)もあった。中田のFSスコアには、8点以上も及ばなかった。
PBを2本並べた中田は、トータルでもPBを15点以上も塗り替えた。総合248.99点で堂々たる世界ジュニアフィギュアスケート選手権制覇。ワールドジュニアの表彰台に2回上がるのは、日本人選手としては史上初の快挙であり、年齢制限により少なくともあと1シーズンはジュニアに残る必要があるため、中田璃士には日本人初の2連覇の可能性さえある!
また上位2人の順番は入れ替わったが、表彰台の顔ぶれは、昨大会とまったく同じだった。1年前に優勝を飾ったソ・ミンギュが、今回は銀メダルを持ち帰った。3位は2年連続でアダム・ハガラ(スロバキア)がつけた。
「リオとミンギュの隣に再び並ぶことができて、本当に嬉しいです。だって2人とも素晴らしいスケーターですから。それに今季最後のジュニア大会をこうして最高な形で終えられたことに、すごく満足しています」(ハガラ)
SP後の3位〜5位も、やはり1.99点差というかなりの接戦。最終的に表彰台に上がったのは、GPファイナル覇者のSP3位サンチェスでも、4回転を持つSP4位中村俊介でもなく、大一番でノーミスの演技をやり遂げたハガラだった。
しかも4年前からシニアとジュニアを掛け持ちしてきたハガラにとって、昨年10月のシニア大会で出したPBをFSで2点半以上、トータルで6点以上も上回ったほどの、完成度の高い大会となった。
そもそも総合上位7位までは、1人残らずトータルでPBをつけた、素晴らしい大会だった。サンチェスは総合4位後退も、持ち前の美しい表現力で演技構成点をさらに大きく伸ばした。FS後半のコンビネーションで、予定通りの回転数がつけられなかったことだけが痛かった。また中村は冒頭の4T転倒を筆頭に、ジャンプでいくつか乱れがあった。それでも力強さやスピードは決して衰えず、最後のコンビネーションスピンは参加者全体でもソに次ぎ2番目に高い評価。SP・FSともにPBという納得の結果で、大会6位で終えた。
今シーズン生まれて初めて国際大会を転戦し、初めてのJGPシリーズ参戦でファイナル出場さえ果たした高橋星名は、初挑戦の世界ジュニアを9位で締めくくった。今大会トップ10選手の中では最年少の15歳。すでに大きく花開きつつある才能にとっては、きっと来季以降につながる大切な経験となったはずだ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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