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連勝中のイリア・マリニンに死角なし!鍵山優真、佐藤駿、壷井達也の日本勢にも注目 | ISU世界フィギュアスケート選手権2025 男子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部日本からは鍵山優真、佐藤駿、壷井達也の三名が参戦。
長く熱かったシーズンのクライマックス。米国ボストンにて、2025年フィギュアスケート世界選手権が繰り広げられる!
例年通り世界一の座をめぐる戦いであると同時に、今年のワールドは、すべての参加選手・国にとってひときわ特別な意味を持つ。1年後に控えたミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の各国出場枠の大部分が、今大会の結果により決まるからだ。
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何種類入れるか?何本飛ぶか?果たしてどの組み合わせで??今季の男子シングルは、クレイジーなまでに、4回転ジャンプの話題で沸騰してきた。ご存知、中心人物はイリア・マリニン(アメリカ)であり、とうとう頭角を現したミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)だ!
一昨季に史上初めて4回転アクセルを成功させ、昨季はフリースケーティング(FS)で4回転全6種類を飛んだ「クワッド・ゴッド(4回転の神)」マリニンの今季最大のテーマは、FSのジャンプ要素7つ全部に4回転を入れること。
いかにマリニンでも、体力面を考えると、簡単なことではない。2連覇を決めたGPファイナルでは、7本すべてが「q(4分の1回転不足)」や「<(2分の1回転不足)」と判定された。3連覇の全米選手権では、冒頭3つのジャンプは完璧だったが、その後「<」と「q」が1つずつつき、転倒さえあった。
若く理想に燃えるマリニンの凄さは、ジャンプだけに留まらない。スピンやステップのレベル取りや出来栄え点(GOE)の向上にも真正面から取り組み、昨ワールドでは初めて演技構成点(PCS)が9点台に乗った。今季のショートプログラム(SP)「ランニング」がISUアワード「最優秀プログラム賞」に、FS「I'm Not a Vampire」が同「最優秀衣装賞」にそれぞれノミネートされたことからも分かるように、魅せる演技作りにも強くこだわる。
とにかく今季ここまで負けなしで、昨季も含めると8試合連勝中のマリニンに、もはや死角はない。母国アメリカの、大歓声の中で、2年連続の金メダルをつかみ取りたい。
4回転の数や種類で圧倒するマリニンに対して、今季のシャイドロフは、いまだかつて誰も見たことのないような組み合わせ――トリプルアクセルから続く4回転コンビネーション――で世界中を騒然とさせている。
今季GPフランス杯FSでいきなり3A+4Tを飛んだ。2月の四大陸選手権では3A+1Eu+4Sをプログラム冒頭で完璧に決め、GOE含め21.11点を稼ぎ出してしまった。あのマリニンでさえ、1要素で21点を超えられるのは、得点が1.1倍になるプログラム後半だけだというのに!
前代未聞のコンビネーションだけでなく、初優勝を遂げた四大陸FSでは、他3本の4回転もパーフェクトに着氷。ジャンプの安定感が恐ろしく増したことで、パーソナルベスト(PB)は今季だけで2度塗り替え、昨季から比べて20点以上も上昇した、まさに伸び盛り。20歳で挑む人生4度目の世界選手権で、シャイドロフは、とてつもなく大きな台風の目となりそうだ。
昨大会3位のアダム・シャオ・イム・ファ(フランス)は、果たして本調子を取り戻しているだろうか。足首の負傷で、GPファイナルも国内選手権も棄権に追い込まれた。復帰戦となった1月末の欧州選では、(トレードマークの「バックフリップ」は健在ながら)得点源の4Lz回避を余儀なくされ、3連覇を逃した。幸いにもシャオ・イム・ファには、プログラムを最後まで力強くまとめ上げる総合力がある。特にダイナミックなステップシークエンスやコレオシークエンスでは、限りなく満点に近いGOE加点が期待できる。その上、昨世界選でSP19位から総合3位に返り咲き、今季GPフランス杯でもSP8位から優勝をさらったように……逆境を跳ね返す底力の持ち主である。
フランスの同士ケヴィン・エイモズに関しては、まずなによりも、笑顔で大会を終えてほしい。欧州選手権では2年連続で心折れるような経験を味わってきたが、2年前の世界選では堂々4位に食い込んだ真の実力者。しかも今季のGPアメリカ大会では、FSでPBを更新し、27歳にしていまだ伸びしろがあることを証明した(マリニン、鍵山優真に次ぐ高いシーズンベスト!)。たとえ22位に終わった欧州選でさえ、SPではPCS2位と、そのスケーティング能力や表現力に対する評価は揺るがない。
五輪開催国でもあり、シーズンランキング上位に3選手が並ぶイタリア勢は、絶対に「直接出場枠2+9月の五輪最終予選チャレンジ枠1」を持ち帰りたい。ダニエル・グラッスルは今季前半戦にGP大会2大会連続表彰台・ファイナル進出、ニコライ・メモラは欧州選2位と、いずれも高いポテンシャルはアピール済み。両者ともに大技4回転ルッツが成功の鍵となる。
もちろん4回転など皆無でも、ジェイソン・ブラウン(アメリカ)は細部まで磨き上げられたプログラムと至高のスケーティングとで、必ずや我々の心を喜びで満たしてくれるだろう。デニス・ヴァシリエフス(ラトヴィア)もまた、高い芸術性と特別な存在感とを、遺憾なく発揮してくれるに違いない。
アジア冬季競技大会制覇・四大陸2位のチャ・ジュンファン(韓国)のFS「Balada para un loco」の、切なく、激しく、官能的な演技と、情熱の炎のようにゆらゆらとたなびくコスチュームを心ゆくまで堪能したいし、欧州選手権を制したルーカス・ブリッチギー(スイス)の、今季一番の問題作にして意欲作SP「Iron Sky」を最後にもう一度噛みしめる機会でもある。
つまり世界中から集結するこれほど強く、個性的なライバルたちに、日本の3人……鍵山優真、佐藤駿、壷井達也も全身全霊で立ち向かわねばならない!
21歳の鍵山は、これまで世界選手権も、オリンピックも、常に頼もしい先輩とともに大会入りしてきた。しかし今大会は鍵山こそが全日本チャンピオンであり、初出場の2人を導く先輩役。出場4大会連続メダルの期待と、日本男子3枠の責任とを背負うことになる。
日本のエースとしての器に、疑問の余地はあるまい。そもそもシニアとして戦った国際大会で、鍵山はこれまで一度も表彰台を逃したことはない。たしかに過去3度の世界選も、五輪も、さらには今季のGPファイナルでも銀メダルだったが、今年は手応えある「1位」を経験した。GPファイナルのFS単体では、マリニンを退け首位を獲得したのだ。
ただ鍵山本人は、「マリニンに勝つ」ことよりも、むしろ「自分が納得できるパフォーマンスがしたい」と公言する。そのためにSP「サウンド・オブ・サイレンス」ではステップシークエンスに改良を加え、一方ではFS「アメクサ」は年明けから試行錯誤を重ねてきたジャンプ構成を、確実性の高い前半戦のものに戻したという。
鍵山とともに世界ジュニアを戦い、昨季の四大陸や今季GPファイナルでは一緒に表彰台を楽しんだ佐藤駿は、いよいよ初めての世界選に挑む。今季世界最高のGOEを叩き出してきた4回転ルッツと、ここ2シーズン、ギヨーム・シゼロンのもとで磨き上げてきた表現力とで、間違いなくトップ5を狙える位置につけている。また3年前の世界ジュニアでマリニンとシャイドロフと揃って表彰台に上がった壷井は、四大陸初体験に続いて、世界選も初体験。目標は今季NHK杯で出したPBを上回る演技を披露し、上位8位以内に食い込むこと。今大会で日本男子がストレートに五輪3枠を勝ち取るためにも、3人全員の力が欠かせない。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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