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男女アベック優勝なるか!?中田璃士と島田麻央が表彰台の頂上に挑む | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2025 男子シングル&女子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部未来のチャンピオンとしてすでに頭角を現した神童や、才能の蕾を現在進行系でどんどんふくらませている若き逸材……。そんなフィギュアスケート界の「明日」を担う選手たちが、ハンガリーのデブレッツェンに集結し、2025年世界ジュニアフィギュアスケート選手権の熱戦を繰り広げた。
中田璃士はGPファイナルの無念を晴らせるか
◎男子シングル
今度こそ納得の演技がしたい。今年こそジュニア世界一になりたい。数々の悔しさをバネに、中田璃士(日本)は厳しい練習を積み、成長を重ねてきた。1年前の世界ジュニア初挑戦の銀メダルは、ユース五輪で苦い想いを味わった先のポティブな成果だった。今回のデブレッツェンには、GPファイナルの無念を晴らすために来た。中田はショートプログラム(SP)を1位で折り返しながらも、フリースケーティング(FS)でジャンプに苦しみ、最終的に銅メダルで終えている。
男子ジュニアのSPでは、4回転は許可されていない。シングルジャンプとしては、今季はフリップが必須課題。自ずとコンビネーションは3回転ルッツ+3回転トーループが大勢を占め、今大会でも参加41人中35人が同組み合わせを選択している。ただ優勝候補の中では唯一、中田だけが、「ルッツからのコンビは苦手」と3T+3Tを飛ぶ。
4回転をいまだ身につけていない選手も多いからこそ――今大会FS進出の24人中4回転を予定しているのは8人だけ――ジュニアにおける強豪とは、むしろ自分に出来るエレメンツを高い完成度でこなせる選手を指す。もちろんFSで4回転の有無が点数に及ぼす影響は、決して少なくない。ルッツ2本にフリップ1本という難構成にトライするゲンリフ・ガルトゥン(ドイツ)も存在する。今季GPファイナルの上位2選手……ジェイコブ・サンチェス(アメリカ)とソ・ミンギュ(韓国)は、いずれも4回転を持ってはいない。
そういう意味で、今の中田は飛び抜けて強い。悠々と着氷するジャンプは、ことごとく大きな出来栄え点を稼ぎ出すし、ステップやスピンでのレベルの取りこぼしは極めて少ない。なにより演技構成点(PCS)の高さは、もはやジュニアの域を超えている。その上、すでに3種の4回転ジャンプを飛びこなす中田は、FSに4T2本を用意している。16歳にして、完全に「トータルパッケージ」を身につけている。
もしも中田が今大会を制した場合、日本男子としては7人目の快挙となる。女子で無敵を誇る島田麻央と揃っての、男女アベック優勝にも期待が高まる!
中村俊介(日本)もやはり上質なジャンプを飛び、FSでは4Tを1本組み入れる。昨ワールドジュニアでは、その4Tを見事に成功させ、SP10位から総合4位への大浮上を成し遂げた。プログラム全体の完成度の高さも、19歳と、ほんの少し大人の中村だからこその魅力。つなぎ動作の濃密さや滑らかさ、ジャンプを全てこなした後のステップ/コレオシークエンスの見事なクライマックス感、ポージングの美しさ……等々、見応えはたっぷりだ。
この1月末に15歳になったばかりの高橋星名にとっては、初のワールドジュニア参戦となる。国際大会デビュー戦のジュニアGPラトビア大会で、ジャンプ全成功&オールレベル4で鮮やかな優勝ををさらい取り、PCSさえいきなりオール7点台という衝撃。しかもGPファイナル進出(FS3位)と、凄まじい快進撃を続けている。4回転挑戦はおそらく来年以降だが、伸びやかで壮大なスケーティングはすでに一級品。将来が楽しみなアーチストのひとりでもある。
中田にとって良きライバルであり、切磋琢磨しつつ高め合う仲間でもあるミンギュやサンチェス、アダム・ハガラ(スロバキア)が、美しい色のメダルを巡って競い合う。いずれもスケーティングの滑らかさやパフォーマンスの円熟度においては、群を抜いて評価が高い。また今大会で初めてFS4回転2本に挑戦する15歳ハビン・チョイ(韓国)にも注目したい。
大会史上初の女子シングル3連覇に挑戦する島田麻央
◎女子シングル
不動のチャンピオンであり、唯一絶対の優勝大本命。いまだ16歳の島田麻央(日本)が、大会史上初の女子シングル3連覇へと滑り出す。
2021年末以来、ジュニアとしては、国内でも国外でも無敗を貫いてきた。シニアとして戦った全日本選手権でも、3年連続の表彰台乗り。2年前の世界ジュニアで記録したFSの得点は、シニア・ジュニアを通してシーズンナンバーワンで、昨季の世界ジュニアでは、SP・FS・トータルすべてで世界トップ3に食い込む得点を叩き出してきた。おそらく今年の世界ジュニアでも、島田はまたしても称賛すべきスコアを勝ち取ってしまうに違いない。
全勝街道に飛び乗った3年前の時点で、すでに限りなく完成形に近かったはずだ。しかし島田が驚異的なのは、年々進化を遂げていること。今季のジュニア大会では、初めて全試合でSPもFSも1位を貫き通したし、SPはすべてノーミスだった。3回転アクセルと4回転トーループを含むFSのジャンプ構成は、ただでさえ現時点では誰ひとりとして肩を並べることなど不可能だというのに、今季はさらに難しいコンビネーションを選択。単純に基礎点だけで2.21点も上回る計算だ!
もちろんワールドジュニア初出場時に、FSでPCSオール8点台を叩き出した島田は、スケート技術も表現力もずば抜けている。レベルの取りこぼしは全体的に少なく、特にプログラムの締めのスピンは、常に満点に近いGOEで絶賛されている。フィギュアスケート界としては珍しく、今季FSで日本語歌詞の楽曲「窓から見える」を選んだのも、日本のファンとしては嬉しくもあり、誇らしくもある。
島田とともに昨年末のジュニアGPファイナル表彰台を独占した和田薫子と中井亜美も、揃って世界ジュニアへ出場する。
初めての国際大会であるジュニアGPチェコ大会で、15歳の和田はいきなり優勝をさらった。続くポーランド大会こそ島田に次ぐ2位に終わったものの、自己ベスト自体は大幅更新。あっさりとGPファイナル初出場を果たし、あっさり銀メダルさえもさらいとった!もちろん和田にとって、8月上旬から2月末まで9試合を戦い抜いたのも初体験。長く成功したシーズンの終わりに、初めての世界ジュニアで思い切った演技を見せられるか。
16歳の中井も、島田とともに、ジュニアトップとしての地位を確立してきた。ジュニアGPシリーズは3年連続で2戦ともきっちり表彰台に乗り、3年連続でGPファイナル進出も果たした。今年は初めてファイナル表彰台乗りも達成。すでに2年前に世界ジュニアのメダルは持ち帰っている。4月生まれの中井は、来季からはシニア転向が可能だからこそ、もしかしたら最後のジュニア大会を……心残りなく戦いきってほしい。
すでに3年連続で世界ジュニア2位に入り、つまりはうち2回を島田に続く2番手で終えてきたシン・ジア(韓国)は、今年も確実に表彰台候補。2年連続島田の隣りに並んできたGPファイナルこそ、珍しく今年は出場できなかったし(第1補欠)、シニアの韓国ナショナルで3連覇は逃したが(2位)、高いポテンシャルに間違いはない。島田と同い年ながら、3月生まれなため、来季はやはりミラノ五輪に向けて舵を切り替えるのだろう。
ジュニアファイナル6位のステファニア・グラドキ(フランス)や、欧州ユース五輪で表彰台に並んだインガ・グルゲニゼ(ジョージア)、エリナ・ゴイディナ(エストニア)、レアンドラ・ツィンポウカキス(スイス)にも注目したい。
すでに昨季後半からシニアとしてフル参戦し、昨季は四大陸で8位にさえ入った17歳のエリス・リングレーシー(アメリカ)も、今季唯一のジュニア大会として……人生初めての世界ジュニアにやってくる!シニア選手だからこそ上手くやらねばならない、との緊張感を抱きつつ、予期せず与えられた機会を大切にしたいと誓っている。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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