住吉りをん選手「今シーズンはチャレンジャー。攻める気持ちでいきます」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋

今後の目標を語る住吉選手

フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい！”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。シーズン9がいよいよスタート！日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん（KENJI）が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます！

今回のゲストは今シーズンからシニアに転向。初参戦となるGPシリーズのフランス杯、NHK杯では表彰台に立つ活躍をしている住吉りをん選手です。後編では、今シーズンの目標や恒例の質問コーナーで住吉選手の素顔に迫ります！

お客さんは、多ければ多いほど好き

ーー2018年に全日本ジュニアに初めて出まして2018年が9位。2020年が5位、2021年は2位という成績です。全日本ジュニアの思い出はどうですか。
住吉：毎年、悔しい思をいしてる気がしています。

ーーなんかね、そんなイメージ。
住吉：そうなんです。毎年インタビューで「悔しいです」、「悔しいです」、「悔しいです」って言ってる……

ーー顔もやって。
住吉：もう悔しい時のインタビューって……

ーーごめん、ちょっとごめん。今、俺が悪ノリした。芸人の「悔しいです」っていう顔をやってほしいなって思ったんだけど、ごめん。ごめん。
住吉：9位はやっぱり8位に入りたかったっていうのもあるし、5位は表彰台に乗りたかった。2位は1位が良かった。

ーーそりゃそうやろね。
住吉：本当に悔しい思いばかり。

ーーもう一歩。
住吉：もう一歩っていうところですね。

ーー2019年はちょっと怪我で出られなかった。
住吉：9月に右足の疲労骨折に近いんですけど、骨軟骨炎っていう軟骨の下にある骨にひびが見つかって。軟骨に支障が出ちゃうと手術になるって言われて、その前に休むことになってね。1シーズン休みました。

ーーどれぐらい氷に乗らなかったの？
住吉：全く乗らなかったのが4カ月。

ーー4カ月！？
住吉：9月から次の年の1月中旬まで乗らなかったです。

ーーどう過ごしていたの？
住吉：筋トレと水泳をやっていました。足を使えないので、足に負担かからないようにプール行こうって。心肺機能を落とさないために、ビート版を足に挟んで腕だけで泳いでいました。学校に全部行って、学校から帰ってきてプールに行って家に帰って筋トレしてみたいな生活です。

ーーその怪我の時に学んだことは？
住吉：無理しない。怪我も痛くなったのが7月だったんですけど、ちょっとおかしいなっていうところから「痛いけど、次の試合までなら大丈夫」みたいな感じで、ずっと放置して4カ月休むことになってしまったので、ちょっと痛かったらすぐに言って休むとか、検査するとか。痛くてもなんとかなるだろうって思って無理しちゃうことがそれまでにもあったんですけど、もうそれは絶対ダメだなと学びました。

ーーちょっと痛くて、例えば1週間とか2週間休む。でもそれを無理したら4カ月になってしまう。4カ月は長いな。
住吉：本当に辛かったです。「氷乗りたい」、「滑りたい」。周りがみんなうまくなっていくって思って。

初出場 世界ジュニア2022

ーーちょうど、ジュニアのみんなも伸びていくときやもんね。それを我慢して復帰して、そのあと、全日本選手権には2020年に初めて出場して12位。次の年は8位。この結果はどうですか。
住吉：どっちもジュニアで推薦だから、あんまり結果を自分に求めてなかったのはあるんですけど、全日本の会場の空気みたいなものがすごく新鮮でした。大きい会場だと思いましたし、純粋に全日本というものが楽しいなと感じられる2試合だったと思います。

ーー全日本は空気感が違うというのは、みんなもよく言うこと。どっちかっていうと緊張するっていう子が多いんやけど、りをんちゃんはすごく楽しかった？
住吉：楽しかったです。もう、まず「青い」って思いました。

ーー会場の壁がね。確かに青いね。
住吉：青いって思って。

ーー確かに青いし、そうやな。
住吉：やっぱり全日本は独特なのでテンションは上がりました。

ーー青い、青いって思いながら。
住吉：そうです。本番になったら、お客さんもすごいみたいな感じで。

ーーそうね、練習の時はあんまりいないもんね。テンションが上った？
住吉：上がりました。

ーーそれはプラスになったんじゃない？
住吉：私はお客さんがたくさんいる方が、なんとなく応援されている気がするので、お客さんは、多ければ多いほど好きです。

ーーいや、いいやんか。そのあと4月に世界ジュニアに出場。結果は8位。初めての世界ジュニアはどうでした？
住吉：実はこれも直前にコロナにかかっていて。

ーーえ、そうなん！？ 全然、知らんかった。
住吉：もうほんとに間に合うか間に合わないか、ギリギリで。4回転を入れられるかなみたいな感じで、なんとか間に合わせて。転んでしまったんですけど、回転はいいところまで回ることができて頑張ったなって思うんですけど、それ以外のちょっとしたジャンプでのミスが、もっと上に行けた要因だと思うので悔しさが残っています。

質問コーナー

番組からの質問コーナー!!

Q.タイムマシンで行ってみたい時代は？
住吉：私は未来がいい。ほんとに遠い未来。もっと技術がどんなふうになっているんだろうと思って。どこでもドアとかできているかなみたいな。

ーーできているんじゃない？
住吉：そういうのができている時代を見てみたいです。

ーー来年ぐらいできているんじゃない？
住吉：早い、早い（笑）

ーー未来なんや。過去ではないよね。
住吉：過去は、もうわかってるし、知ろうと思えば知れるので、未来を見てみたい。

ーーごめん。なんかジュラ紀とか言ってた俺が、なんか恥ずかしい。

Q.1億円を貰ったら何につかう？
住吉：難しいな……とりあえず、現役が終わるまでとっておいて、いいところにいい家を建てます。お手伝いさんとかは必要ないぐらいのいい家が欲しい。

ーーいい家の内容は？
住吉：日本じゃないところがいい。

ーー日本じゃないところ？いいところいっぱいあるよ。ハワイとか。
住吉：ハワイもいいです。

Q.嫌いな食べ物は？
住吉：それがないんです。

ーー一緒。
住吉：本当ですか。

ーーうん。
住吉：本当にないんです。強いていうとセロリが苦手です。食べられなくはないんですけど、繊維の感じが好きではないです。

ーー繊維を取ったらいいやん。
住吉：スープとかに入っているのは大丈夫なんですけど、生のセロリの味なのか繊維なのかがあんまり好きじゃないかな。

ーーちょっと独特やもんね。
住吉：はい。でも、それ以外、本当にないです。

ーーあえて言うとっていうくらい？
住吉：はい。あえて言うならぐらいです。

りをん特製 手作りパン

Q.趣味は？
住吉：コロナ禍になってからパン作りが趣味になりました。パンを粉からこねて発酵させて焼くのをやっています。

ーー差し入れで持ってきてくれたって聞いたけど……
住吉：持ってくればよかったですね（笑）

ーーないの？
住吉：ない。

ーー何パンを作るの？
住吉：いろいろなパン作ります。甘いパンも作るし、一番大変だったのは、クロワッサン。1日がかりで。

ーー畳んで？
住吉：はい。畳み込んで、織り込んで、織り込んでっていうのを何度もやって、しかもバターが溶けない温度にしとかなくちゃいけないみたいな。

ーーリンクでやったらいいやん。怒られるか。
住吉：怒られます（笑）。

ーーちなみに、美味しいの？
住吉：「美味しいです」って言ってくれます。家族は。

ーーじゃちょっと合宿とか楽しみに待っています。
住吉：はい！

Q.10年後は何をしていると思う？
住吉：もうすぐ30歳……何をしているんだろう。私は海外に憧れがあるので、スケートに関わってるかどうかとか、まだ滑ってるとか、引退してるとかわからないんですけど、ちょっと日本を出て、海外のいろいろなところで活動するようなことできていたらいいかなと思います。

ーーどこが好きなん。海外は。アメリカとかさ。
住吉：ジュニアグランプリでカナダに行った時に、カナダの人たちの国民性というか、みんなすごく優しくて、明るくて。なんかすごくハッピーにしてくれる国民性だなってすごく思って。カナダはすごく惹かれています。また行きたいなと思って。

ーーカナダはいいよね。
住吉：みんな優しかったです。

ーーなんか明るい感じがするしね。あんまり難しいこと考えずにって感じなのかな。

Q.透明人間になってやってみたいことは？

Q.透明人間になってやってみたいことは？
住吉：透明人間って何ができるんだろう。別にならなくても……（笑）。ならなくていいです。

ーー私は透明人にならなくていいです。じゃあ、次の質問！
住吉：（笑）

Q.地球最後に日に何をする？
住吉：家族と過ごす時間と仲いい友達と過ごす時間をどっちも作りたいです。家族と一緒に美味しいものを食べて、友達と一緒に美味しいもの食べて、たくさんおしゃべりをする。それが一番。

ーーそれが一番やね。
住吉：結局、それが一番楽しい時間だと思います。

Q今、一番欲しいものは？
住吉：服が欲しいです。大学生になって、服を買っても、買っても足りなくて。しょっちゅうスマホでも服を調べちゃうんです。

ーー今までは制服を着て、そのあとスケートリンクやからジャージやし。私服っていうのが、あんまりなかった？
住吉：本当にこれまでは友達と遊びに行く時だけで良かったんですけど、今は毎日、必要で。思っている以上に服が欲しい。

ーーそれは大変や。服を頑張って選んで。
住吉：すごく優柔不断なので。服を買うのにも時間がかかって、次の日の服を選ぶのにも時間かかってしまいます。

ーーなるほどね。若干めんどくさいのかな？それは仕方がない。ありがとうございました。
住吉：ありがとうございます。

目標は全日本選手権で表彰台に乗ること

ーー今シーズンからシニアです。本当はもう1年、ジュニアで滑ることもできたんやけども、シニアに挑戦。それはまたなんでそうしたんでしょうか。
住吉：4年後のオリンピックのことを考えました。もちろんジュニアでもう1年頑張って、世界ジュニアで8位よりもいい成績を取ることよりも、シニアに挑戦して経験を少しずつ積んだ方が優先順位が高いと自分の中では思ったので、転向しました。

ーージャンプ以外でシニアで戦うために特に練習してることってある？
住吉：ステップとコレオはもちろんなんですけど、そのつなぎの部分。クロスでいかに少ない数でトップスピードに持っていくか。まるでジャンプに行くつもりがないかのように滑っていて、そこにポンとジャンプが入るみたいなのが理想なので、そのつなぎの部分はすごく練習しています。

ーーすごくいいと思う。自分が振り付けする時にはそういう風に考えるし、走って飛んで、走って飛んでだと、プログラムの点数はなかなか出にくい。もともとりをんちゃんは上手やからね。それにプラスして、意識しながら練習しているのであれば、すごいものになるよ。苦手なエレメンツってある？
住吉：フライングシットが極端に苦手です。

ーーフライングシット、苦手か？あんまりそのイメージないけど。
住吉：うまく早くしゃがめない。

ーータックしてからが遅いの？
住吉：2段階になっちゃうんですよ。1回着地した時に足が伸びている状態で着地しちゃって、ストンとしゃがめないので。絶対シニアに行ったら、フライングシットは入れないんだと思って。

ーーなるほどね。他のものをもっと磨いてね。
住吉：私はフライングキャメルでいきます。これからは。

ーー逆に得意なエレメンツは？
住吉：レイバックだと思います。

ーーレイバックをやって…
住吉：ビールマンまでやるんですけど、ビールマンの形が綺麗と言ってもらえることが多くて。

ポーズを決める住吉選手

ーーうん、綺麗。
住吉：試合だとなかなかできないんですけど、アイスショーの時はビールマンを長く回って、拍手がもらえるので、アイスショーでは長くまわっています。

ーーいいんじゃない。スピンで拍手もらえるなんてすごいと思う。もちろんジャンプも上手やけど、スピンも得意っていうのはいいよ。理想のスケーターっていうのはどういうスケーター？
住吉：いつ写真を撮られても綺麗な選手。

ーーりをんちゃんの写真よく出てくるけど、綺麗じゃん。
住吉：そうでもないんですよ。

ーーそうでもあるでしょ。なんかこういうのあるよね（と手をL字のようにする）。
住吉：それはウルトラマンです。

ーーあれもめっちゃかっこいいよ。もう1回やって（とポーズを促す）。
住吉：こうです。（と左手で顔を半分隠しながらのポーズを作って）半分、隠して。

ーー（自分は手から）顔がめっちゃ出てた。
住吉：本当にいつ撮られてもブレていないで綺麗な状態。それが目指したいところです。

ーーいいんじゃない？今シーズンのプログラムのことを聞いたいんですけど、ショートは何の曲？
住吉：White Flowers Take Their Bath.

ーー長いな。日本語で言うと？
住吉：白い花がお風呂に浸かっている。

ーーほう。
住吉：白い花とは言っているんですけど、色とりどりの花で。水も早い流れだったり、ゆっくりの流れだったりあると思いますが、その中で（花が）綺麗に漂っている。水の中で漂っているみたいな映像が頭に流れるようなプログラムにしたいなって思っています。

ーー気に入っているポーズとかある？
住吉：最初のプログラムの振り付けからそうなんですけど、水をかき混ぜるようにやっているので、想像してもらえるかどうかはわからないんですけど、花があって、そのお花を水を回すことでお花が動いているみたいなことを想像してもらえたら。

ーー立ってちょっと動いただけで、なんか雰囲気あるもんね。
住吉：本当ですか!？

ーーかっこよかったもん、今。
住吉：うまく水を表現するのに、お風呂でやってみたり。

今シーズンのFS『Enchantress』

ーーお風呂で練習してるんだ。リヲン・イン・ザ・バス（笑）。そうなんや。今は綺麗な動きです。フリーは？
住吉：フリーは「Enchantress」。

ーーEnchantress？
住吉：魅惑的って言うんですかね。魔術じゃないけど、魅力を見せるみたいな。難しいですけど。

ーーちょっとお気に入りの動きをやってみて。
住吉：「成長の物語にしたいね」という話をしていて、飛べない鳥が困難などいろいろな経験をして、それを乗り越えて最後に飛び立っていく感じなんです。最初のプログラムの冒頭に（手を羽ばたかせるように広げる）ポーズがあるんですけど、まだ飛べない。飛ぼうとしたけど、飛べないんです。でも一番最後はコレオなんですけど、そこで飛び立っていくっていうところを見てもらいたいです。

ーーこういう説明があると、見る方も楽しいし。また上手やな。綺麗に動くね。ちょっとおっさんみたいな発言になったけど。ほんまにちょっと動いただけで雰囲気が出るからすごいよ。その演技の中に4回転をどんどん入れていくの？
住吉：はい。今は最初に4回転トゥループを入れているんですけど、練習の中では2本目のジャンプをいろいろなジャンプにして練習しています。トリプルアクセルのバージョンだったり、4回転サルコウ、4回転ループだったり。もちろん入れられる時には4回転2本や4回転とトリプルアクセルにも挑戦していけたらいいなと思っています。

ーーすごい楽しみ。ジャンプも入って、プログラムも美しくて。いつ撮られても綺麗なポーズでしょ。なんか楽しみですよね。今日は貴重な話をありがとうございました。最後にりをんちゃんから今後に向けた目標などちょっと聞かせてもらっていいですか。
住吉：今シーズンはシニアに転向した年なので、チャレンジャーの立場だと思っています。恐れることなく、自分のできるものを全て見せていくんだっていう攻める気持ちでいきたいなと思っています。その気持ちでどんどん突っ走っていって、今年の目標としては全日本選手権で表彰台に乗ること。そこに向けて一つひとつの試合で着実にレベルアップアップしていけたらなと思っています。

ーーもうなんかしゃべっているときの目が目標に向かっている感じがした。もっとふわふわして、おとなしい感じの選手かと思ったら、すごく強い意思があって。そんな熱いメッセージの後に申し訳ないんですが、番組からのプレゼントです。
住吉：これ可愛いなって思っていたんです。ありがとうございます。

ーーよかったら使ってください。
住吉：このKENJI先生、本当に可愛いですよね。

ーーよく言われる！ありがとう。
住吉：すぐにわかります（笑）

ーー本当に？
住吉：はい。もちろん。

ーーよかった。嬉しい。今シーズンも活躍に期待しています。

収録を終えて

収録を終えて

住吉：お疲れ様でした。最初はすごく緊張してたんですけど、やっぱりだんだんと先生とお話していくうちに、自分の素直な顔が出せたのかなと感じています。楽しかったです。KENJI先生の面白い部分が、さらに深堀りできた感じなんですけど、逆にKENJI先生にとっては私のイメージが結構変わったのかな。こういうご時世なので、もし（手作りパンを）食べていただける機会があれば、ちゃんと感染対策をして食べてもらいたいです。ありがとうございました。

KENJI：普段、練習を見ている時は、そんなに話すことはないんですけども、僕はもっとおとなしい感じなのかなと思っていました。でもスケートの試合とか自分の目標とかを話す時にすごく強い意思を見られる。やっぱり強いスケーターなんだなと思って感心していました。でもその逆に普段、大学生活で私服を選んだりとか、パンを作ったりっていう話を聞くと、そこは普通の女の子なんだなと思って安心したというか。普段のりをんちゃんの顔が見られて面白かったですね。

文：J SPORTS編集部