渡辺倫果選手「今の自分をどんどん上回っていきたい」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋

今後の目標を語る渡辺選手

フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい！”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。シーズン9がいよいよスタートします！日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん（KENJI）が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます！

今回のゲストは今シーズン、シニアデビューを果たした渡辺倫果選手。9月のロンバルディアトロフィー、10月のGPシリーズ・スケートカナダでも初優勝。KENJI先生と盛り上がった深海魚の話題でも大注目の選手です。

エピソード3では、素顔に迫る質問コーナーの後編に続き、今シーズンの目標も語ってくれました。自分との戦いと話す中で4回転にも果敢に挑戦している渡辺選手から目が離せません！

番組恒例質問コーナー　後編

Q.やってみたいアルバイトは？

Q.やってみたいアルバイトは？

渡辺：スタバで働いてみたいです。

──なんで？
渡辺：すっごいお洒落で、余裕のある人がやっていそうなイメージなので（笑）

──誰とは言わへんけど、「エクストラホットの水なしのミルクティー」って言われたら、わけわからなくない。それでもやってみたい？
渡辺：1回は体験してみたい。

──スタバの好きなメニューは？
渡辺：キャラメルマキアートのアーモンドミルク変更。

──女子やん！
渡辺：（笑）

──ちなみに、こちらはアフォガード。フラペチーノで。
渡辺：あぁ〜。おいしい。

Q.1億円貰ったらなにに使う？

渡辺：家を建てます。

──どんな家？
渡辺：大きいお家を建てて、余ったお金で海外旅行に行って貯金します。でも家を建てて終わりな気がします。

──家を建てるのか…どうしよう。どう突っ込んだらいいんかな。じゃあ、場所はどこ？
渡辺：場所？うーん…大きなお家だから、少しでも落ち着いているところがいい気がします。都会すぎず、田舎すぎず。でも災害に備えて、海の近くには建てないように。

──お家を買いたい。二十歳がね…

Q.地球最後の日に何をする？

渡辺：地球最後の日…家族とか大切な人に「ありがとう」だけ言って終わります。

──まあ多分、そうだよね。地球最後やけど、スケートを練習するという人もいたし、4回転、5回転に挑戦する人もいた。いろいろあるんやなって思った。でも、そういうのが一番いいんだろうね。ありがとうか。
渡辺：かっこよく「ありがとう」だけ言って去ります。

──（おでこに指を当てて離すポーズをして）こうやって？この時点でもうかっこよくもないけど。
渡辺：（笑）

Q.嫌いな食べ物は？

渡辺：実は今、嫌いな食べ物を探している最中なんです。なので、本当にないんですよ。

──わかる。前まですっぽんが嫌いだったけど好きになったし。パクチーとかも大丈夫？
渡辺：大丈夫です。

──タガメとかの虫系は？
渡辺：全然、大丈夫です。

──俺も全然大丈夫。そこの地域のご飯ですよって出されたらありがたくいただける。
渡辺：（うんうんとうなずきながら）おいしいなぁって。

──じゃあ好きな食べ物は？
渡辺：とんかつ。

──ロース？ヒレ？
渡辺：ロース。

──焼き加減は硬い方が好き？それとも柔らかく半生っぽいのが好き？
渡辺：半生が本当に大好き。でも高いところじゃないと食べられないので基本的に普通のやつなんです。

──かけるのはソース？ゴマソース？塩？
渡辺：わさびで、おいしいやつがあるんですよ。

──わさび。牛カツじゃなくて、とんかつで？
渡辺：とんかつで。

──わさびで食べたことないな。
渡辺：わさびとソース。何のソースか忘れちゃったんですけど、さっぱりしたソースでわさびと食べるんです。

──今度試してみます。
渡辺：すぐそこにありますよ。おいしいとんかつ屋さん。

──なんていうところ？
渡辺：わからないです（笑）

──何の情報もない…とんかつとわさびだけ。
渡辺：連れて行けるんですよ。「ここですよ」って案内はできるんですけど、名前はわからないんです。

──もうひとつ引っかかったのは、連れて行けるけど、一緒には食べへん。
渡辺：（爆笑）

──今の言い方だとね（笑）
渡辺：先生の奢りなら行きます。

──別にいいけど。
渡辺：いいんだ（笑）

Q.10年後は何をしていると思う？

渡辺：10年後、30歳。多分コーチをしているかな。中庭（健介）先生に会ってから、メンタルケアは大事だなと感じていて、選手のメンタルケアをできるコーチになりたいなと思っています。それができていればいいかな。

──自分も苦労した部分もあるし、成功して良いところも知っているから、それを踏まえて選手に教えたい。素晴らしいじゃないですか。とんかつより。
渡辺：（笑）

──ごめん、ごめん。（心の声が）出てた？
渡辺：はい。聞こえています（笑）

質問まとめ

もう2度とこんな思いはしたくないという気持ちで練習している

──スケートの話に戻りますが、全日本でいい結果を残して、世界ジュニアに初出場。
渡辺：はい。

──すごいよね。結果は10位。世界ジュニア2022に行ってみてどうでしたか？
渡辺：ジュニアもシニアも、ノービス時代からB級大会は出場していたのですが、A級大会は今回が始めてでした。独特の雰囲気が大きかったです。その前にユニバーシアードも選ばれていたんですけど、なくなってしまってというのもありますし。逆に、それがなかったからこそ全日本でいい成績は出せたというのもあります。世界ジュニア自体は、内容的にいいものではなかったんですけれども、こうして振り返った時に「自分は頑張ったな」と今は思えています。でも、悔しい結果だったというか…今までのスケート人生の中で一番悔しい試合だったという思いがあるので、今は、もう2度とこんな思いはしたくないという気持ちで練習しています。頑張っていきたいです。

──すごく良かったものと、すごく悪かったもの。いろいろ経験して自分で噛み砕いて、次の試合に臨むんだよね。あの時は、ショートでミスが出た。
渡辺：ショートはひとつジャンプがなくなって。

──そうだ。頭の中が空っぽになった？
渡辺：（頭の中が飛んで）「あっ！」って。

──「あっ！」ってなるんやね。失敗したくてしているわけじゃないから。一瞬で消えるよね。
渡辺：消えますね。

──世界ジュニアもバブルでの開催になっていたよね。（いつもとは）全然違う雰囲気の試合はどうやった？
渡辺：過去一番で緊張しました。

──緊張したの？
渡辺：本当に緊張しました。1週間前から中庭先生にも「緊張している」って言っていて。ずっと「どうしよう、どうしよう」って。世界ジュニアの前までは2020年かな。その時の全日本が一番緊張していたんですけど、それよりはるか上の緊張がきました。

初出場 世界ジュニア2022

──その中で（練習や試合を）するのも大変やもんね。それも経験だよね。他の国の代表選手とかと話したりした？
渡辺：あまり話す機会がなかったです。でも、カナダのアイスダンスの選手（ナタリー・ダレッサンドロ）とはノービスの頃から仲良くて。あとは男子選手とかも仲が良かったので、「久しぶり」という話ぐらいはしました。

──アイスダンスの選手？
渡辺：2位だった人。名前は覚えていないという…（苦笑）

──「久々だね」って言って？
渡辺：お互いに顔は知っているんですよ。でも、名前は知らないんです。私が名前を覚えるのが本当に苦手で…

──あるよね、そういうの。日本選手団は？
渡辺：日本選手はもうみんな顔見知りで、基本的にみんなと仲良いので、（住吉）りをんちゃんと観光に行ったり。

大きくなると跳べなくなるという概念を覆したい

──気を付けながら、ちょっとした息抜きも大事だね。改めて今シーズンからシニアですけども、どんなところが難しい、大変と感じていますか？
渡辺：全日本シニアにはジュニア上がりで何回か出場させていただいていて。ただ今回、本当は四大陸選手権に選ばれる予定だったんですけど、ミニマムがないというので世界ジュニアに回された感じでした。世界ジュニアとは比べものにならないぐらい世界選手権や四大陸の緊張感もまた違うのかなと思っています。大きくなると跳べなくなるといったことも出てくるとは思ですけど、その概念を覆したいというのもあります。大学2年生でも4回転をやっているというのもありますし。大学1年生でトリプルアクセルを初成功させたという事実はちゃんと残っているので自分との戦い。自分をどんどん上回っていきたいなと思っています。今のところ、難しさはそんなに感じていないというか…逆にジュニアの頃は活躍できていなかったので、まずは、自分に勝ちたいという一心で、今やっています。少しずつ、また成長していけたらなと思います。

──難しいエレメンツとかにも挑戦していく＝体のケアをもっともっと増やしていって、本当に怪我だけはしないように。4回転は一瞬で足をもっていかれるし、跳ぶところでもトゥをついたりしたら骨も大変だろうから気を付けてほしいですけども、苦手なエレメンツはあるの？
渡辺：トゥループが本当に昔から嫌いです。

──トゥループってスリーターンから跳ぶの？
渡辺：昔はモホークターンだったんですけど、最近はスリーターンから。

──トゥループが一番苦手？
渡辺：トゥループは本当に嫌い。

──トゥループもかわいそうやな。
渡辺：私は寄り添っているんですよ。寄り添って仲良くしようって言っているのに、向こうはずっと拒絶するので「じゃあ、もういいよ」って（苦笑）。

──「じゃあ、もうこの距離感で行きましょう」って。
渡辺：「もう、いいよ」って。

──セカンドでちょっとつけてあげるけれども…くらい？
渡辺：セカンドのトゥループとは仲が良いのでファーストのルッツだけ飛べてしまえば。ファーストのトゥループとセカンドのトゥループは仲が良いんですよ。だから、そこはいいんですけど、ファーストだけは昔から…

──昔から。これからもちょっとって。
渡辺：あんまり口を聞いてないですね（苦笑）

──口を聞いてない…。じゃあ逆に、得意なエレメンツは？
渡辺：最近気づいたのは、ループが得意だということです。

──それは4回転をやっているくらいやしね。そりゃそうでしょう。ループの好きなポイント、理由は？
渡辺：最初から右軸に入れるじゃないですか。右から右で飛んでいるので。なので、普通に上がって回っちゃえば降りられるみたいな感覚です。

──そうやんな。確かに言葉にするとそうなんやけどね。言葉で説明するって難しいよね。ちなみに、4回転の練習は？
渡辺：今はループとルッツをやっているんです。

──ループとルッツ？
渡辺：はい。

──ループの4回転はどう？
渡辺：中庭先生には「あと2カ月で降りられるよ」と言われています。

──それはいつ言われたの？
渡辺：（収録の）1週間前くらいです。

──1週間前か。4ヶ月前に言われたとは違うのか。
渡辺：違います（笑）。

──ルッツは？
渡辺：ループを本気でやっているので、そこで時間が余った時に締めてる具合なので、ループほど良くはないんです。

──ループか…そうなんや。いや、いきなりループって面白いなって思って。
渡辺：去年か一昨年に、トゥループをやったことがあるんですけど、本当に大っ嫌いなので、前から転んで「もう一生やらない」って決めて、一生やりません。

──もう決めた？
渡辺：もう決めました。

──決めてしまったら、もうしないから違うことをずっとやれるしね。
渡辺：1回ループやルッツで締めてみたら、ずっと右軸に残れるような感じになっていたので、「いけるな」と思って。そこからループをやっている感じです。

──フリップではない？
渡辺：フリップはカウンターから入るので4回転を飛ぶにはスピードなどのコントロールが難しいんです。なので、ループとルーツが飛べるようになったらフリップをやろうかなって。

──いまや、みんなすごいやん。武器として持っといたら強いよね。今回、ルール変更でコレオの中の定義みたいなのが変わったんですけど、フリーのコレオステップはどうですか。
渡辺：特に去年と変わりなくイーグルとイナバウアーでやっています。イーグルからイナバウアーに入っていくというのが得意なので、そこは変わらずという感じです。

──スパイラルはできるの？でも俺、スパイラルを1回見せてもらったよね。
渡辺：確か褒められた記憶があります。「いいんじゃない」って。

今後の目標

──もう何年も前から「イーグルとスパイラルはプログラムに入れなあかんことに絶対になるから練習しておきなさいね」って、自分が振り付けている選手にはずっと言ってきたの。今やルール変更でスパイラルとイーグルできないとあかんやん。ほら見たことかって。もう大変ですよ、できひん選手は。できたとしても素晴らしく綺麗なスパイラル、素晴らしく綺麗なイーグルと戦わないとあかんねんから、倫果ちゃんもできるとしても、それをもっと美しくできるように。コレオは本当に大切な得点源やから頑張ってください。
渡辺：はい。

──今日は貴重な話をありがとうございました。最後に倫果ちゃんから、改めて今後に向けた目標など聞かせてください。
渡辺：昨シーズンは四大陸選手権のミニマムがなかったので出られませんでした。今シーズンの目標は四大陸選手権とNHK杯に出場することです（※10月にNHK杯出場が発表された）。そして、全日本選手権では、去年よりもいい順位。5位以内を目指して上に行けるところまで行けたらいいかなと思います。

番組からのプレゼント

──応援してくださるファンにメッセージは？
渡辺：どんな時でも、成績が上がっても下がっても、本当にたくさんの方が応援してくださっています。それは当たり前のことのようで当たり前じゃないことです。いつも本当にたくさんのメッセージやTwitter、インスタなどのDM、手紙もいただいていて、それも全部読んでいます。私より私のこと知ってるんじゃないかっていうぐらいに皆さんがいい言葉をかけてくださるので、それがモチベーションになっています。みなさんに喜んでいただけるようなスケートを、今シーズンもやっていけたらと思います。

──怪我だけ気を付けて頑張ってください。最後に、これは番組からのプレゼントです。
渡辺：ありがとうございます（笑）

──中身はもうバレバレですけど、ぜひ使ってください。箱の中には何が入っているかな〜。
渡辺：もう遅いですよ（笑）

──マグカップ!!
渡辺：シットスピンうまいですね。

──それ、俺はシットスピンになってないのよ。
渡辺：このポジションになれるように頑張ります。

──これからも期待していますので、ぜひ使っていただいて頑張ってくださいね。今日はありがとうございました。
渡辺：ありがとうございました！

収録を終えての感想

渡辺：初めての収録だったんですけど、とても楽しくて、また機会があれば出演したいなと思いました。（印象に残っている話は）深海魚の話題は収録があってもなくても先生と盛り上がっているので、この機会にまたお話することができて良かったです。KENJI先生のことを、深く知ることができたと思うので、機会があればまた聞きたいなと思います。振り付けの時とは思えないぐらいのギャップがあって、楽しい部屋でした。ありがとうございました。

KENJI：最初、倫果ちゃんがすごく大人しい感じで入ってきたので大丈夫かなと思ったんですけど、最後の方は、いつもの明るい倫果ちゃんで話せたのですごく良かったと思います。（印象に残っている話は）牛カツですよ。あれは、絶対牛カツです。あの赤さ。わからないですけどね。でも本当にスケート以外もいろいろな話が聞けましたし、すごく楽しい収録でした。今、4回転に取り組んでいると聞いたので、本当に怪我だけは気を付けて、どんどん上位に行ってほしいなと思います。

文：J SPORTS編集部