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フィギュア スケート コラム 2022年10月19日

22/23シーズン ルール改正スペシャル〜スピン・ジャンプ・ステップ〜 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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KENJIの部屋 22/23シーズン ルール改正SP 前編

KENJIの部屋 22/23シーズン ルール改正SP 前編

フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。シーズン9がいよいよスタート!日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん(KENJI)が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます!

今回は、ルール改正SP。大きく変わった今季のルールについて、鈴木明子さん、中庭健介さん、岡崎真さんをゲストに迎え、変更のポイントや見どころを三井不動産アイスパーク船橋からお届けします。

KENJI:ルール改正SP。ゲストは岡崎真くん、中庭健介くん、鈴木明子さんです。では早速、今シーズンについて話していきたいと思いますが、ご存じの通り大きなルール改正が行われました。1つずつ確認していきたいと思います。

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スピンについて

スピン:レベル4要素(6項目)

スピン:レベル4要素(6項目)

岡崎:レベル4を取るための必要要件というのが設けられて6つあります。これまで、あまりされてこなかったものと、これを使わないと成立しないだろうなというものです。一つ目が【足を換えずに行われる難しい姿勢変更】です。例えば、シットからキャメルに上がるもの。

中庭:アップライトからキャメルも。

岡崎:例えばシットビハインドから一気にビールマンに上がったりしたら、シットからアップライトだけど難しい。そういったことを踏まえながら、そういうのがスピンコンビネーションとかに含まれてないと、レベル4の要件は難しい。

KENJI:そういう遊びがもともと好きな子は楽しいでしょうね。「こんなのできる」って。

岡崎:ただ、それをやるために、例えばキャメルのキャッチフット、フライングキャメルでやっちゃっているんだけど、難しいポジション変更を取るために、もう一回キャメル・フォワードをやったりする。そうしたらもうユーストでしょ。キャメル・フォワードは取れないけど、でも難しいポジション変更は取れるというのを覚えていても、頭の中で整理して、こっちも反省しなきゃいけない...“まあ”仕事量が増えたよね。

中庭:今年は特にジュニアが。

KENJI:(岡崎さんの)“まあ”に全部が込められてたよね。

岡崎:どれだけ負荷をかけるんですかと…。そして次に【難しい出方】。今回から別れたんですよ。難しい入り、もしくは難しい出で、1つのフィーチャーだったんですけど、難しい入と難しい出が別々のフィーチャーになりました。

KENJI:なるほど。

岡崎:飛んで出るタイプとか、難しいターンで出るタイプ、イリュージョンで出るタイプとか、いろいろあって。ニースライドもちょっとあったかな。

KENJI:見ている人が分かりやすい、難しい入・難しい出って何ですか?

岡崎:いいフリをしてくれましたね。難しい入りの代表格、ウィンドミル(イリュージョン)が、今年また制限が入って厳しくなりました。今までは「スプリットポジションに近くないといけない」という言葉だけだったんですけど、スプリットって180度。「スプリットに近い」って何度ぐらいかというと「135度」と角度が出たんです。

KENJI:みんな分度器を持っているんですよね(笑)

岡崎:でも見え方として90度に45度を足したらいいから、このぐらいの斜めでいいんやな、みたいな。

鈴木:確かに頭だけ下がっていて、足が上がっていない子って結構いましたもんね。

岡崎:緩く見えても、強く見えても、とにかく度数になったので、足がそこまで上がっていないと取れない。

KENJI:足の開いた角度が135度じゃないとダメ。

岡崎:認められない。

KENJI:逆の135度は…?

岡崎:180度を超えてる(笑)

ジェイソン・ブラウンのバレエジャンプ

KENJIのイラストとジェイソン・ブラウンのバレエジャンプ

鈴木:ジェイソン・ブラウンできますよ(笑)

KENJI:ジェイソン・ブラウンのバレエジャンプは、足がすごく開いてる。

岡崎:次は【明確なチャンジ・エッジ】。何でもいいじゃなくてキャメル姿勢かシット姿勢だったらバックインからフォワード限定。バックアウトからフォアインもダメだし、フォアインからバックアウトもダメ。フォワードからバックインもダメ。バックインサイドエッジからフォアアウト限定。あとはレイバック、ビールマン、難しいバリエーションのアップライン。

KENJI:ビールマンのチェンジ・エッジ。

岡崎:私は見たことがないですけど、やっている人がいたみたいですよ。

KENJI:見たことない。想像はできるけど。

岡崎:でもやったら難しいからということでしょうね。次が【シット姿勢またはキャメル姿勢でのただちに続けて行う両方向のスピン】。キャメルポジションかシットポジションで繋がってないとダメなんですね。同じポジション、キャメルからキャメルに足を換えてもいいし、シットからキャメルに足を換えてもいい。左回り、右回りを続けて行う。宮原知子ちゃんなどが上手にやっていましたね。あまり人がやらないものをなるべく積極的に取り入れてほしいというところで増えたのかな。難しいポジション変更もやっている選手がいたけど、比較的珍しいところがあったので。

KENJI:スピンでそういうことになっていくと、近い将来コンビネーションでルッツ+ルッツをやる人もいるかもしれない。

岡崎:いると思う。クレジットがないと、それも。誰かがやってから初めて考えてくれるのかなという気がするけど。

鈴木:以前映像で見たのですが、スピンの出でトリプルサルコウ...

岡崎:ああ、クリムキンとか。あれは完全に出てしまってからトリプルサルコウと分かるものを飛んでいる。それも記述があって、その場合は難しい出と見なさず、行ったジャンプがポールされる。例えば、キャメルからならキャメルスピンとトリプルサルコウ。難しい出にはならない。もう出ちゃって、やっているから。

鈴木:でも、ジャンプ的にGOEでつくことはない?

岡崎:分からない。ジャンプとしては、スピンの直後に行われているから、サルコウに対してのクレジットはあると思うけど。

鈴木:ですよね。難しいと言えば難しいですよね。

KENJI:ジャンプの練習でよくやるスタンドスピン。バックスクラッチからループみたいなものは?

岡崎:スピンの回転の中で行われているジャンプだから、例えば右足で飛んでいたあれがダブルループかというとループではないし、転ぶリスクもある。別にあれをやっても構わないかなと。

KENJI:それは難しい出にはなる?

岡崎:なる可能性はありますけど、絶対なるとは言えないかな。でも明らかに難しいムーブメントではある。イリヤ・クリムキンみたいに滑り出ちゃってから、はっきりサルコウって分かるものじゃなく、右のバックアウトで飛ぶかもしれないけど、スピンの軸の中で行っているものだから。それはジャンプとしてではなく、難しい出としても認められるのかなとは思います。

三原舞依さんの演技で見るスピンレベル要素

三原舞依さんの演技で見るスピンレベル要素

岡崎:あとは【明確な回転速度の増加】。同じ姿勢の中での加速です。基本姿勢が変わったらダメなので、例えばキャメルからシットに行く時に速くなるのも簡単だし、シットからアップライトに行く時に速くなるのも簡単。だから、これもキャメルかシットか、レイバックかビールマンか、難しいアップライトのバリエーション。クロスフットは(足に)乗せちゃって、ぎゅっと締めたら簡単だから、クロスフットは除外してほかのものにする。例えば、ビールマンはビールマンが成立してからビールマンのポジションの中でやる。

そして最後が【フライング・エントリーの難しいバリエーション】ですね。これら6つのうちのどれかをやらないとレベル4のスピンが成立しないので、例えば、ほかのものを4つやっていても、レベル3までしか最大でいかない。普通のフライングキャメルをやりました、キャメル・アップワードというバリエーションを回りましたキャメル・サイドというバリエーションがありますよね、ドーナツスピンとか。そして、キャメル・フォワードをやりました。8回転もありました。4つフィーチャーがあるんです。でも、レベル3なんです。

鈴木:(プラスするためには)出方を難しくする…

岡崎:そうです。難しい出方をするとか、入り口を例えばトゥアラビアンとかバタフライの難しいフライング・エントリーで入るとか、エッジをするとか。

ジャンプについて

ジャンプ改正点まとめ

ジャンプ改正点まとめ

岡崎:一番注目していたのは、4回転ジャンプの基礎点が変わるのか、変わらないのかというところに注目していたんですけれども、結局変わらず現状維持のまま。コロナ禍に入る前に「4回転ルッツとフリップとループの難易度がそんなに変わらないから揃えた方がいいんじゃないか」というようなコミュニケーションも出ました。でもコロナの関係で1回引っ込めて、どうなんだろうと。4回転アクセルも羽生結弦選手が積極的にトライして「基礎点がちょっと低いんじゃないか」みたいな話もあったので、その引き上げも興味深かったんですけれども、結局昨季と変わらないままということで、基礎点については大きな変更はありません。

でもジャンプで1番大きく変わったところは、ジャンプ・シークエンスの定義。前はジャンプ・シークエンスは2本のジャンプしか含まれていなくて、セカンドジャンプがアクセル系限定だったんですけど、今年から3本のジャンプを組み合わせることができます。ただし第2ジャンプもしくは第3ジャンプあるいは第2ジャンプと第3ジャンプの両方をアクセルでやった場合には、シークエンス。だから、今年は3連続のシークエンスというのも可能になってきますね。だからクワッドとトリプルアクセル+トリプルアクセルのシークエンスとか、めっちゃ点数が高いでしょう。

4回転ジャンプ基礎点

4回転ジャンプ基礎点

KENJI:11回転?

岡崎:基礎点は何点になるんやろう、みたいな。

KENJI:11回転はすごい。

岡崎:クワッド+トリプルアクセル+トリプルトゥや、クワッド+トリプルトゥ+トリプルアクセルでもいいし。

KENJI:昔からやっているというとアレですけど、コンビネーションのセカンドにアクセルをつけるとすごい違和感を感じるんです。

岡崎:昔はシークエンスって間にホップとかがあって、それを含めて良かったけれど、最近は降りたところから1歩だけ踏み出したアクセルに変わった。基礎点もわざわざ80%にしなくていいんじゃないかということで、今年はフルの100%入るようになりました。

鈴木:そこが大きいですよね。100%入るというのが。

岡崎:大きく派手に見えるけど基礎点が下がるからやらない選手が多かったんですけれども、フルバリューが入るということで、またいろいろな組み合わせが見られて楽しいのかなと。

KENJI:アクセルが得意な人にとってはいいよね。

岡崎:ただしフリースケーティングで3回コンビネーション、シークンエスの合計で行っていいところ、シークンエスは1回しかダメなので、もし2回行った場合には「+REP」という記号がついて、70%のバリューしか残らなくなってしまいます。コンビネーション3回は大丈夫なんだけど、シークエンスは2回以上やったら減点されることになっています。

また、その前にGOEの方で、ジャンプコンビネーションの間にチェンジ・エッジが入ると減点という項目が新たに増えました。失敗すれば、もちろん減点なんだけれども、最近の主流というか意図的にグライドする、加速させておいてから次のジャンプのスピードを得るために技術的にやっているけど、リズムも悪いし、見た目も悪いということで、それは「コンビネーションとしては成立するけど減点しましょう」ということになっています。

ジャンプ・シークエンス

ジャンプ・シークエンス

エレメンツの中で転んだ時に、今までは「Fall」とか「転倒」だけを言っていて良かったのですが、ダンスの方から引っ張ってきたもので、フォールインエレメントというのがあります。要素の中での転倒なのか、要素外の転倒なのかというのを明らかにしてあげるとジャッジの人もGOEをつける時に助かる。例えばトリプルアクセルで転んでいたらトリプルアクセル、フォールインエルメント。今までのリザルトのトリプルアクセルの横にアルファベットの「F」の大文字がつきます。すると、「アクセルは転んでいる。それならマイナスをしないといけないんだね」ということで、GOEはマイナスをしなければいけないとなります。

中庭:ディテールで分かりやすく英字がついているから。

岡崎:ステップとかコレオとかもどこまでか分からなくて「要素の中で転んだのか」「要素外のトランジションだったのか」が分からないというジャッジもいらっしゃったみたいで、スピンも出てから転んだのか、スピンの最後の部分で転んだのかという判断をテクニカルパネルがすることになったので、そこも変更した部分ですね。

KENJI:もしかしたら作った構成で1つ順位が上がるかもしれないって感じになるじゃないですか、後半に入れて。それはまた選手は楽しいでしょうね。いろいろ幅が増えた感じですね。

岡崎:バラエティーに富むと思いますね。

KENJI:振り付けの目線でいいですか。例えばトゥループ、バッククロスで行ってきました、トゥループ飛びました、コンビネーションをやりました、3つ前にやりました。トリプルトゥを飛びました、次にダブルアクセルかトリプルアクセルのどちらでもいいですけど、(飛ぶまでに)めっちゃ滑るじゃないですか。そしたらランディングの場所が全然違ってくる。だから、今までだったら頭の中で「ここからスタートやな」と考えていたところが、随分違うことになるから、作りにくいっちゃ作りにくい。

鈴木:選手によっては軌道が中に入ってくる子もいるのかな。かなり巻いてきちゃう。

ステップについて

ステップ改正点まとめ

ステップ改正点まとめ

KENJI:ステップなんですけど、真くん、どうでしょうか。

岡崎:本題に行く前に確認をしたいところは、ショートもフリーも1回転を超えないジャンプを入れてもよくなりました。減点もなしです。だけど「シングル」って言ってしまうと、シングルアクセルも含まれるので、1回転までのジャンプ。コールもされないし、OKです。今まではショートでやっていると「減点しなさい」という感じでしたし、フリーでもコールをされたりしていたんですけど、飾り的にポンと1回転を入れてもいいですよと。ただ、リストにないジャンプで、例えばインアクセルなどはダブルなどをやっても大丈夫。リストにある1回転を超えるジャンプをやってしまった場合は、ショートはGOEでジャッジに減点されてしまって、コールはされません。フリーの場合は、コールをされてジャンプのボックスも閉めます。そういう時の出番がフォールインエレメントなんです。例えば、ステップの最中にやりました、ステップとしてもフォールインエレメントだし、そのジャンプもフォールインエレメント。でもフォールは1回。両方につくフォールインエレメント。ジャンプもマイナスされたし、ステップもマイナスされちゃう。そういうリスクがあるとやらなくなるかもね…

KENJI:確かに。

岡崎:大変なのがクラスター。言葉的にあんまりいいイメージじゃないんですけど。難しいターンの組み合わせ3つが、以前はやっている組み合わせの中で1つだけ種類が違っていればよかった。今はその難しいターンが5種類あります。ロッカー・カウンター・ブラケット・ツイズル・ループ。5種類全部を使っても、まだ1つ足りない。その足りない1つだけを「繰り返していいよ」ということになった。左足ロッカー、カウンター、ツイズル、右足ロッカー、カウンター、ツイズルだと取れなくなっちゃうんです。

中庭:せっかく5種類ターンがあるから、全部使いましょうってすごく面白いルールだなと思いました。でも振付師さんや真先生は分かると思いますが、あれ、これは「ほぼ、これじゃね?」みたいな。

KENJI:2年前に戻っただけ。

岡崎:同じようにならないようにと言うけど、同じようになる。だから、その中でオリジナリティーを出そうとして「こんな組み合わせでくるんだ、へえ」というのを見ていて感じるけれども、だいたい一緒になってくるかな。

KENJI:ステップの続きで、コレオステップシークエンスの話へ。

コレオグラフィック・シークエンスの定義

コレオグラフィック・シークエンスの定義

岡崎:少し定義が変わりまして、前はステップとかターンだけで構成されていても良かったんだけれども、ステップシークエンスとの差別化をはかるために、スケート特有の美しいフリースケーティング動作、ムーブメントをふんだんに使ったものが見たいなということで、例えばステップとターンを使っていいんだけれども、あくまでも動作をつなぐツールとして使ってください、「2つの異なる動作を入れましょう」ということで、例えばスパイラル、スプレッド・イーグル、イナ・バウアー、ハイドロブレーディング。スケート特有の名前がついているものだけじゃなく、名もなき動作みたいなのもあるから、例えば、ターンでもなく、ステップでもなく、ストロークやクロスなど普通に滑っているものじゃないもの、だから2回転まではジャンプも入れていい。スピンも入れてもいい。ただ、そのプツっと途切れている感じじゃなく、ちゃんと、そのコレオの中に溶け込むように入っていること。例えば構えてスピン入りますと入ったら、コレオが台無しになる。だけど3回転を超えるスピンやバレージャンプ、ダブルサルコウみたいなジャンプを入れてもいい。そういうものの中から少なくとも2つ。2種類ではないので、例えばジャンプ2回でもいい。スパイラルでもアウトサイドのスパイラルとインサイドのスパイラルは別のものなので、それでもいい。今年からコレオグラフィック・シークエンスが、ジュニアのフリーの要素にもなりました。もともとステップで設定されていた部分を、例えば今シーズンも持ち越しで「同じのを滑りますよ」とか、すでに作っちゃったあとみたいな場合、いかにしてコレオにしようかって…音に合わへんかったりしたんでしょ?

KENJI:ここの盛り上がりでステップ作りました。「コレオにしてください」って言われたら「この盛り上がりを?」って。ブワーと滑ってイナ・バウアーやってと言ったら、残念な方のイナ・バウアーかって…

岡崎:その苦労はあっただろうなと。

鈴木:「何ができる?君は…」みたいなところから始まって(苦笑)

KENJI:スパイラルをやってみて。得意な足でやった後に反対もやってみようか。得意な方はそんなに綺麗じゃないとか。

鈴木:特にスパイラル。もちろんイーグル、イナ・バウアーとかもそうですけど、ジャッジから見てどっちから行くのが綺麗かどうかというのがあるじゃないですか。こっちから行った方が、お尻が見えなくて綺麗だねというところがあるのに、その軌道を変えなきゃいけなかったりとか。そこもすごく難しかった…あと尺問題。

岡崎:そう、そう。ステップの方が尺を取るでしょう。

KENJI:だいたい40秒近く。30秒以上使うような感じ。

岡崎:すごく長いコレオシークエンスが多いこと、多いこと。

鈴木:それ絶対変えたいですよね。

KENJI:でもちょっとしか上がらないスパイラルを30秒ってきついよ。

鈴木:だから、できる子にとっては存分に見せ場が作れるし、でもできない子にとっては、ちょっとでもイナ・バウアーのモーション入ったらカウントされるじゃないですか。でも他はどうするのという部分がすごく難しい。やっぱり滑っていないとスパイラルはできないから。

岡崎:そういうのが多く見られるようになって、また違った楽しみが出てくるのかなと。スパイラルシークエンスとかやっていたでしょう?昔。

鈴木:6秒とか言ってましたね。

岡崎:あれも結局1つのムーブメントだけで時間ばっかりくちゃってというのでなくなって、コレオができた。本当にすごく音を現してやっていて、言い方が悪いけどステップ崩れみたいなものが多く見られたから「もうちょっとスケートの良さが出るもの」ということで、そういうのを入れなきゃいけなくなったから、面白いものが見られるのかな。

KENJI:「イーグルとイナ・バウアーとスパイラルができるように練習しときなさいね。絶対にいずれルールに入ってくるから」ってずっと言っています。それで、今年になってすごく苦労してるから、「スパイラルやイーグルを練習しなさいよって言ってなかった?」って聞くと「言っていました」って。「練習した?」「練習してなかった」って今、大変。

鈴木:それだけじゃなくて、バレージャンプとかもできなかったり...

岡崎:どうしても直接得点に繋がるものではなかったから、これやったら何点、これやったら何点って、子どもたちも現金なので、得意だったらやるんでしょうけど。習得するのにも時間がかかったりするじゃないですか。すぐパッとできる子ももちろんいるけど。

中庭:今まで僕11〜12年、コーチやっていますけど、この前、自分の選手の振り付けに来ていただいた、ある先生がいて、初めて選手の方がうまいと思った振り付けさんがいました。それが鈴木明子さんなんですけど…鈴木明子さんのイーグルをみて「あれ?」って(笑)

KENJI:イーグルの大変さは、ね(笑)

鈴木:KENJI先生はできると思っていましたもんね、私が。

KENJI:あっこちゃんにやってもらった。「もう1回本気でやって」って。

鈴木:めっちゃ本気で頑張って。しかもやる前に「できないんですよ」って言ったら「いや、また、また〜」みたいな感じで。実際にやったら、なんか…

KENJI:「ごめん」って。まあでも逆に僕らが今「バレージャンプやって」って言ったらできない。でもあっこちゃんはちゃんとバレージャンプができるでしょ。それで今、選手に僕が結構やらせるのはヒッチキック。ヒッチキックできる?

鈴木:ヒッチキックは32歳ぐらいでできるようになりました。振り付けに入れていただいたんです。

KENJI:ヒッチキックいけます?

岡崎:たぶんできない。

中庭:足上がらないです。

KENJI:ヒッチキックはできるんですけど、ループとフリップのどちらもあるんですよ。

鈴木:トゥをつくのもありますよね。

KENJI:トゥをついたら左足を上げて。ループの時はこのまま。意外と(田中)刑事がうまい。

鈴木:刑事はうまい。

岡崎:あの子はうまい。

KENJI:刑事に「やれ、やれ」って言ったら「僕、実は得意じゃないんですよ」ってちょっと怒られた(苦笑)。ハイドロってやったことなかったんですって。自分でも絶対やっとこうと思ってやってみたら、次の日、立てないぐらいの筋肉痛で、やばいって。

岡崎:あっこはバックアウトのやつ凄かったよね。

鈴木:私はインが得意じゃないですよ。羽生選手がやっていたやつ。アウトがすごい得意。

KENJI:どっちが得意?

中庭:インです。

岡崎:あんまり本腰を入れてやると太ももがパンパンになるけど、選手に教えるにあたって完全系じゃないですけど…バックは左じゃないな。バックも右かな。右足の方が強い気がする。

KENJI:俺は左足。

鈴木:やって立つのが、ね。

岡崎:バックインはそのままグシャーって倒れそう…

KENJI:倒れてもフォローされていればニースライドになるし。

文:J SPORTS編集部

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