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フィギュア スケート コラム 2021年7月14日

町田樹のスポーツアカデミア 【Archive:フィギュアスケート・ザ・マスターピース】 アダム・リッポン「牧神の午後への前奏曲」(2013年スケートアメリカ):プログラムの魅力

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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アダム・リッポン「牧神の午後」の魅力を徹底解説

町田樹がアダム・リッポン「牧神の午後」の魅力を徹底解説

みなさん『スポーツアカデミア』にようこそ、町田樹です。シーズン2の第2回目となる【Archive:フィギュアスケート・ザ・マスターピース】では、競技成績では伝えきることができない、プログラムの美質や魅力について、とことん深掘りしていく番組となっています。今回も良質なプログラムが醸し出す奥深き美の世界をみなさんと共に探求していくことといたしましょう。

マスターピースの条件

マスターピースの条件

マスターピースの条件

「高い技術水準」があり、なおかつ「新機軸」が盛り込まれていて、「解釈の可能性」が広がっているプログラムがマスターピースに値する三つの条件です。

さらにこの三つの条件が揃うには突出した技能を持っていたり、リンクの占有率が高いなど、10の条件を満たすことが非常に大事です。

今回取り上げるプログラムは、アダム・リッポン選手が2013/2014シーズンのフリースケーティングで演じた《牧神の午後》という作品です。

このプログラムは、振付けをしたのはトム・ディクソンというアメリカの振り付け家です。使用しているのは「牧神の午後への前奏曲」というクロード・ドビュッシーが作曲した音楽です。この「牧神の午後への前奏曲」はたくさんの演奏が発売されていますが、リッポンさんはピエール・ブーレーズが指揮するクリーヴランド管弦楽団が演奏する版を使用しています。(アダム・リッポンの)衣装を制作したのはアメリカの衣装デザイナーであるジェーン・ロングマイアーさんです。

アダム選手はこの《牧神の午後》のプログラムをシーズンを通して何回か演じていますが、一番いい演技はグランプリシリーズスケートアメリカ2013、ここでパフォーマンスされた演技がベストなものになっています。

アダム・リッポン

アダム・リッポン

アダム・リッポンはアメリカのペンシルベニア州出身で、10歳からスケートをはじめ、ジュニア時代には全米選手権、世界ジュニア、グランプリファイナルといった主要大会で優勝。シニアに上がってからも勢いそのままに、全米選手権や四大陸選手権でも優勝しています。平昌五輪では団体戦で銅メダルを獲得しいている、アメリカを代表するスケーターです。

スケートアメリカ2013結果

スケートアメリカ2013結果

アダム選手がベストパフォーマンスをしたスケートアメリカ2013の競技会がどのような競技会だったかと言うと、実は私も出場していて、幸いにも優勝することができた大会です。実は2013/2014シーズンというのは、ソチ冬季五輪のシーズンですので、みなさん4年に一度のシーズンということで、勝負作品を持ってくるようなシーズンでした。ショートプログラム第1日目は私が幸いにもトップの座に立つことができました。その後にジェイソン・ブラウンさんやアダム・リッポンさんがつけていました。そして、リッポンさんは3位の位置から上位を狙っていたわけですけれども、彼もソチ冬季五輪の代表権を賭けていたので、どうしてもジェイソン・ブラウンさんや、マックス・アーロンさんといった有力候補をおさえておく必要がありました。かなりリッポン選手にとっても大事な競技会でだったと言えると思います。

結局、総合順位は私を筆頭に、アダム・リッポンさん、マックス・アーロンさん、高橋大輔(※「高」は正しくは「はしご高」)さん、ジェイソン・ブラウンさんという順位になりましたけれども、アダム・リッポンさんはショートプログラムではジェイソン・ブラウンさんの一つ下の3位。そして、フリースケーティングだけですと、マックス・アーロンさんの下の3位で競技を終え、3位と3位で、合計2位という位置につけております。そのように、私たちソチ冬季五輪を目指す選手にとっては大事な大会だったこのスケートアメリカでのアダム・リッポン選手の演技になるわけです。

牧神の午後

牧神の午後

このプログラムの魅力を知る上で欠かせないものがあります。20世紀初頭、フランスのパリを中心で活躍していた、バレエ・リュスというバレエ団体が1912年にパリのシャトレ座で初演した《牧神の午後》。ヴァーツラフ・ニジンスキー振付。音楽はアダム・リッポンと同じ「牧神の午後への前奏曲」。作曲はクロード・ドビュッシーです。

ドビュッシーはステファヌ・マラヌメの詩作「半獣神の午後」から着想を得て作曲されたと言われています。つまり、マラヌメの詩があって、それにドビュッシーが作曲を行い、ニジンスキーが振付をした。ですので、この《牧神の午後》という作品は三次創作にあたるわけです。ですから、この《牧神の午後》に基づいて創作されたアダム・リッポン選手の《牧神の午後》は四次創作になるというわけです。こうして芸術作品が連綿と影響を与えながら創作されていることがよくわかりますよね。舞台美術を手がけたのはロシアの美術家レオン・バクストです。

文:J SPORTS 編集部

J SPORTS編集部

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