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【レビュー:ロシアフィギュアスケート選手権2021】フィギュア大国の国内選手権は連日大熱戦!
フィギュアスケートレポート by セルゲイ・ヴォルコフスキーアイスダンスでは、優勝のアレクサンドラ・ステパノワ/イワン・ブキン組、2位のティファニー・ザゴルスキー/ジョナサン・ゲレイロ組は、特段順位に喜ぶ様子はなく、とにかくコロナウイルス感染から回復し、久々の試合に昨年よりレベルを落とすことなく出場、復帰することが出来たことへの安堵感が大きかったように感じられた。3位は2017年ジュニアグランプリファイナル優勝、2018年世界ジュニア選手権も金メダルの若手実力派ペア、アナスタシア・スコプツォワ/キリル・アリョーシン組。メディアカンファレンスでは、スコプツォワが「彼は見た目より力あるんです!」と言ってアリョーシンを苦笑させる初々しさも見せてくれた。
アンナ・シェルバコワ選手
今回の女子シングルは、4回転サスペンスアクション大会になる、と予想していた私の考えを大きく裏切った。それはあらためて「心の強さ」の凄味を思い知らされる出来事だった。3位はアレクサンドラ・トゥルソワ。プルシェンコチームに移籍後、なかなか結果が出せずにいたが、この大舞台でショート、フリーともノーミス、本領を発揮した上、力強い成長面を見せた。2位は14歳のカミラ・ワリエワ。ショートこそトリプルアクセルでの転倒があったものの、フリーは見事にノーミス。「ワリエワのボレロ」を滑り切り、舞い切った。優勝はアンナ・シェルバコワ。何という強さだろうか。肺炎を患った後の体調不良で、フリーを棄権することもあり得た中、4回転ルッツ、4回転フリップを跳ぶと、会場が一体となって彼女と滑り、フィニッシュした。高い技術力はもちろんのこと、シェルバコワは三連覇するに相応しい鉄のハートを持っている。
こうして、氷の女王・エテリ・トゥトベリーゼコーチの涙と観客の感動の嵐の中、戦場のフィギュアスケーターたちによる、歴史に残る「チェリャビンスクの戦い」は幕を下ろした。
日本で人気のあるロシア映画の一つに「モスクワは涙を信じない」があるが、意味するところは、「泣いてたってしょうがない、泣いてる暇があるなら何かしなくちゃ」。
試合を終えて悲喜交交であろうすべての選手たちに、エールの気持ちを込めて贈りたい言葉だ。
尚、プルシェンココーチのトゥルソワのショートプログラムへのジャッジの評価への憤懣やる方無し!の態度には、礼儀正しい日本人のみなさんの中には驚かれた方もいると思うが、いやいや、ロシア人は直接ガチでぶつかり合うことを恐れない人種なので、さもありなん、なことなのである。フリーではトゥルソワが銅メダルに輝き、皇帝もグッドマークを出していたので、今回はとりあえず、「終わりよければ全て良し」(シェイクスピア)!
セルゲイ・ヴォルコフスキー
1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。
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