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フィギュア スケート コラム 2020年2月20日

第40回全国中学校スケート大会 フィギュア競技【男子シングル】レビュー

フィギュアスケートレポート by 中村康一(Image Works)
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1位 三浦佳生

昨年、この大会を制した佐藤駿は、翌年にはジュニアGPFで優勝するなど、若手選手の登竜門となっている全国中学校大会。今年、優勝を果たしたのは三浦佳生。中学2年生にして2種類の4回転ジャンプを武器とし、ジャンプの才能では佐藤駿をしのぐほどの逸材だ。これまでは有り余るほどの才能を持ちながら、試合で安定しないことが多かったが、今回のフリーは圧巻の演技、熱いガッツポーズが跳び出した。

「今シーズン、まとめることができていなかったんですが、今日は自分のできる全てが出せてガッツポーズが出ました。カギとなるジャンプを決められて、PCSも出て、フリーで140点、総合で200点を超えられました」。

今回、ショートプログラムではフリップジャンプを失敗。調子の落ちていたこのジャンプを、フリーでは予定通り2本挑み、共に成功させた。

「調子が悪くてもチャレンジするということは大事だと思うので、やることに意味があると思って挑戦しました。昨シーズンもフリップを後半に入れて失敗することが多かったので、それが成功できるようになったことは大きいと思います」。

今回の全国中学校大会、これほどの高難度プログラムに挑んだのは彼だけだ。そのことについては、

「4回転に挑戦しているのは僕だけなので、皆を引っ張っていく、皆に火をつける役割を担うのが僕だと思っています。(鍵山)優真、(佐藤)駿と戦う機会があった時に、競いあえるレベルになれるように努力していきたいです」。

来季には新しい4回転としてフリップ、もしくはルッツを投入したいという。この難度を達成できれば、掛け値なしに史上最強の中学生だ。今まで彼の課題だったメンタル面、安定感にも大きな改善が見られたこの大会。近い将来、世界のひのき舞台で活躍する姿を予感させるものとなった。

2位 中村俊介

2位に入ったのは中村俊介。精一杯のチャレンジをした演技だった。三浦佳生の圧巻のパフォーマンスを見てからの演技だったため、優勝の可能性はほぼないことを知った上での挑戦だったのだ。

「佳生君が終わった時点で、自分のできることをやろうと思っていました。トリプルアクセルも1本目降りたら2本目に行こうと思っていたので、2本目はミスしてしまいましたけど、挑戦したのは良かったところだと思います」。

緊張などはなく、それどころか心から楽しんで演技ができたのだそうだ。

「凄く楽しくて、佳生君が終わった時に、自分は勝てないかな?これは楽しむしかない、と」。

ただ、あまりにも楽しみ過ぎて手痛いミスもしてしまった。3トウループを3本跳んでしまったのだ。

「最初に3アクセル+3トウループをやったことを考えていませんでした。楽しんでいたので、コンビネーションのことを考えてなくて、最後のジャンプを練習通りに跳んでしまった感じです。回っている瞬間に、(あれ?これ3つめじゃないかな?)って頭によぎってしまって、それで回転が緩んでしまって手をついてしまいました」。

そんなミスもありながらも、心から試合を楽しめた、貴重な経験となったようだ。

「全日本ジュニアでは自分が滑っていて気持ちいいな、と感じましたが、こんなに楽しかったのは初めてです。三浦選手の演技が凄かったですし、観客の拍手が嬉しかったこともあります」。

三浦佳生の演技には、強く感じ入るところがあったようで、

「自分はまだ4回転を跳べてなくて、同い年の子が4回転を跳んでいる、それについていかなければならないと感じました」。

と決意を新たにしていた。今回の経験を生かして、来季は更に進化した姿を見せてくれることだろう。

3位 菊地竜生

コミカルなプログラムを演じるなど、観客にアピールする選手として以前からファンには知られていたが、今季はトリプルアクセルを試合で成功させるようになり、一躍、有力選手として注目を集めるようになった。今回は、本人としては決して満足の行く演技ではなかったようだが、フリーで2度のトリプルアクセルに挑むなど、意欲的な内容で3位入賞を果たした。

「全く納得の行く演技はできてないんですけど、3位ということでそれを喜びつつ、来季の全日本ジュニアで結果を出して、全日本選手権で上位を狙いたいと思います」。

彼は中学3年生。今回が最後となる全国中学校大会への思いは特別なものがあったようだ。

「やっぱりこの大会への意気込みは全日本ジュニア並みにあって、今年が最後ということもあって、ガッツポーズのできる演技にしたいと思っていたんですが、緊張があっていい演技ができませんでした。そこが悔しいです」。

今季、試合で決められるようになったトリプルアクセルへのこだわりは強いようだ。

「自分はPCSが出ないので、やはりトリプルアクセルを降りると降りないとでは全然違います。アクセルに賭けていました」。

特徴的なプログラムは駒場コーチの勧めで使っているものだそうだが、本人も観客へのアピールには意欲的だ。

「観客の心をつかむことが一番大事だと思うので、皆を楽しませる選手になりたいと思います」。

そんな彼の憧れの選手はネイサン・チェンだという。来季はどんなプログラムを見せてくれるのか、そしてトリプルアクセルに加えて4回転ジャンプへの挑戦も期待したい。

4位 朝賀俊太朗

今季、大きく成長した選手だ。特に西日本ジュニア選手権での演技は素晴らしく、今後さらなる飛躍が期待できる。今回は総合では4位と表彰台を逃したものの、フリーでは3位と健闘した。

「何個かミスはあったんですが、この試合は最後まで笑顔で滑れたので良かったです。全日本ジュニアなどではミスをしたら笑顔が出せないことが多いんですが、今回はミスをしても笑顔で滑ることができました。全中は今年初めて出て、緊張感もありつつ、楽しい面もありました」。

彼は良い演技ができたときには喜びを露わに、ガッツポーズをするタイプだ。「自分をアピールするのが好きです」とのことなので、普段からの性格なのだろう。今後は大技への挑戦も視野に入れているそうだ。

「今、トリプルアクセルを練習していて、来季は必ず入れられるようにしたいのと、4回転も練習では割といいので、来季の中盤、後半には入れたいと思います。練習ではトウループを片足で降りてます」。

熱い演技で観客からの声援も試合ごとに増えている印象だが、本人も自覚しているようで、

「声援が増えました。去年に比べて大分、頑張れという声援が増えてありがたいと思っています」。

と感謝していた。体格はまだ小さいのだが、体全体を使っての大きな表現は実に魅力的だ。今後も注目していきたい選手だ。

文:写真 by 中村康一(Image Works)
代替画像

中村康一(Image Works)

フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。

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