人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

フィギュア スケート コラム 2019年1月24日

全米フィギュアスケート選手権 アイスダンスの見どころ

フィギュアスケートレポート by ウェイ・ション
  • Line

Text by ウェイ・ション

アメリカは言わずと知れたアイスダンスの大国だ。近年のグランプリ・シリーズでは毎年必ず2組以上がファイナルに進出するほど、世界のトップクラスの選手が多く、ジュニアレベルの国際試合においてもアメリカの若手選手が表彰台の常連で、アイスダンスの層が本当に厚いのだ。よって、明日から始まる全米選手権は、きっと好演技が続出し、ハイレベルな戦いとなるに違いない。

個人的な見解だが、今大会の一番の見どころは、すべての選手が与えられた同じ課題を巡って、それぞれの個性やアイデアを込めて作り上げたリズムダンスではないかと思う。なぜなら、今年の課題は、全種類のパターンダンスの中でも最も巧妙で複雑だと言える「タンゴ・ロマンティカ」だ。

というのは、タンゴ独特な抑揚のあるリズムにのり、選手は短いセッションで体の動きと表情で緊張感、誘惑、時には怒りなど様々な情緒を演出しなきゃいけない。しかも規定された複雑なステップやターンが多く、カーブを描くことも多いので、タンゴのスタカット(隔時断音)のリズムにピッタリ合うようにステップを踏むには、かなり工夫しなきゃいけない。さらに、ダンス中男女のポジションがよく変わるので、パートナーとの間隔を適度に保ったり手の握り方を相応に変えたりする必要がある。今シーズンのグランプリ・シリーズを見て、世界のトップクラスの選手にとってもレベルと高いGOEを取るのは非常に難しいことだとわかる。

ケイトリン・ホワイエク&ジャン=ルック・ベイカー組

ケイトリン・ホワイエク&ジャン=ルック・ベイカー組(写真:Getty Images)

それだけに、今大会のメダル有力候補であるケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組でさえ、初出場を果たしたグランプリファイナル以来、「ステップを正確に踏むように、パターンダンスの11箇所のキーポイントに力を入れて猛練習してきた」というのだ。元世界ジュニア王者であり、アイスダンサーとしての基盤が元々固いこの組は、今シーズン名門マリー=フランス・デュブレイユ/パトリス・ローゾン夫妻の元に移ってから、「膝の使い方やグライド(足を動かさずに滑ること)がうまくなった」と、技術力をより一層向上させながら、表現力も試合に出る経験につれて日々増している。アメリカのアイスダンスの層が厚いため、今まで全米3位以内に入ったことのない二人だが、今大会での活躍をぜひ期待したい。

マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組

マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組(写真:ロイター/アフロ)

同じく今シーズンからモントリオールに練習拠点を移ったのは、2015年の全米王者マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組だ。チョックが4月に足首の手術を受けて、その後、半年以上をかけて徐々に回復した。しっかりと休養を取るために、グランプリシリーズを辞退したこともあり、今大会に出場できるかが懸念されていたが、ようやく2週間前のトルン・カップで復帰した。しかも、リズムダンスの後に調子を取り直し、フリーダンスでは122点の高得点を叩き出して、高い競争力を見せつけた。今大会が行われるデトロイトはチョクベイ組の古巣で、ベイツの地元でもあるので、大会の宣伝活動にもよく顔を出している。親しみのある場所でどんな演技を見せてくれるのか、本当に楽しみである。

マディソン・ハッベル&ザカリー・ダナヒュー組

マディソン・ハッベル&ザカリー・ダナヒュー組(写真:AP/アフロ)

でも優勝の最有力候補と言えば、やはり同じくモントリオールで練習しているディフェンディングチャンピオンのマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組だ。グランプリファイナルも含めて、今シーズン出場したすべての試合で1位を取ったほど、実力も安定感も抜群で、全米の舞台で今まで通り完成度の高い演技を披露してくれれば、連覇する可能性がとても高いと言えよう。さらに、ダナヒューが「グランプリファイナルの直前まで、5週間もかけてフリーダンスの所々を直したが、準備が足りず、レベル4を取りこぼした」と話したが、今大会に向けては「準備はちゃんとできた」と、しかもその準備のプロセスは「非常に快活だった」と王者たる自信を見せた。このじっくりと時間をかけて磨き上げたプログラム、ぜひ見逃したくない。

大きな意外が起こらない限り、上記の3組が今大会の表彰台に登り、世界選手権の代表として選出される可能性が非常に高い。でも、ハイレベルな大会だけに、アメリカのアイスダンスの将来を担う若手選手たち、例えば2017年の世界ジュニア王者レイチェル・パーソンズ/マイケル・パーソンズ組、2016年の世界ジュニア王者ロレイン・マクナマラ/クイン・カーペンター組、さらに2018年の世界ジュニア銀メダリストのクリスティーナ・カレイラ/アンソニー・ポノマレンコ(そう、1992年アイスダンス五輪王者のクリモワ/ポノマレンコ組の息子だ)組の活躍にもぜひ注目していただきたい。

代替画像

ウェイ・ション

中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
フィギュア スケートを応援しよう!

フィギュア スケートの放送・配信ページへ