フィギュアスケートコラム 2019年1月23日

ISU欧州フィギュアスケート選手権2019プレビューアイスダンス

フィギュアスケートレポート by セルゲイ・ヴォルコフスキー

伝説の英国ロックバンド、クイーンの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、世界的大ヒットを続けている。ボヘミアンと言えば、世界・ヨーロッパ各国には、様々な人種が混在している。

スケート界でも、様々な出自の選手が多いのは極自然だ。

ガブリエラ・パパダキス(写真：Getty Images)

フィギュアスケートの種目の中で、アイスダンス（特にフリーダンス）では、それぞれのカップルのアイデンティティや思想、生き方が顕著に現れるところも興味深い。

今回の欧州選手権、アイスダンスの圧倒的優勝候補は、やはり平昌五輪銀メダル、欧州選手権4連覇中の、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロンだ。

氷上では神秘的であまりにも麗しい二人だが、私が以前オフアイスで会った時は、お茶目で可愛い子供のようで、元気全開に楽しくはしゃいでいた。ギャップ萌えとはこれかと悟ったが、きっとそれも彼等の崇高な演技に繋がっているのだ。

彼等に挑むのは、アイスダンスでもまたロシア勢だ。

アレクサンドル・ジューリンコーチの元で今季大躍進を遂げ、グランプリファイナル2位、国内選手権も優勝で飾り、パパダキス&シゼロンに少しでも迫りたいと意気込むシニツィナ&ニキータ・カツァラポフ。

アレクサンドラ・ステパノワ(写真：AFP/アフロ)

昨年の本選手権銀メダリスト、ロシア選手権2位のアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキンはなかなか思い通りの結果は出せていないが「私たちは困難には慣れっこなの」といつも通り、明るくマイペースでミンスクへ乗り込む。

ソフィア・エフドキモワ&エゴール・バジンは、ロシア選手権での感動的な演技でヨーロッパ選手権への切符を勝ち取った。今回も美しいアヴェ・マリアが降臨することを願っている。

他にも、表彰台も狙えるイタリアのシャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ、スペインからの2組、サラ・ウルタド&キリル・ハリャヴィンと、オリヴィア・スマート&アドリア・ディアス、マリー=ジャード・ローリオ&ロマン・ルギャック（フランス）、ライラ・フィアー&ルイス・ギブソン（イギリス）等、全25組が、アイスダンスのとびきりの妙技を繰り広げる。

それぞれの人生のバックグラウンドを背負って氷上に立つアイスダンサーたちのヨーロッパ選手権、表彰式で「ウィー･アー･ザ･チャンピオン」（が流れるかはわからないが）を聴く幸せなカップルはどのカップルになるだろうか。