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フィギュア スケート コラム 2018年10月24日

【小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ】アイスダンス編 <前編>

小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by J SPORTS 編集部
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ルールがわかれば、フィギュアスケートをもっと楽しんでもらえるはず!そんな思いのもと、美しいスケーティングと独自のスケート理論をもつ小塚崇彦がシングルにとどまらず、ペアやアイスダンスといったカップル競技まで枠を広げ、「フィギュアスケート」について徹底研究。
フィギュアスケート・ラボでは、18/19シーズンのルールを研究。 アイスダンス編ではISUテクニカルスペシャリストの東野章子さんをゲストに迎えて、ISUのルール改正意図や昨シーズンとのルールの変更点を学び、フィギュアスケートの新たな流れを読み解きます。

ルール改正の意図

小塚:ISU(国際スケート連盟)の狙いとして、シングルやペアに対しては全体が整った演技を目指して欲しいっていう意図があると聞いていたんですけれども、アイスダンスっていうのは?

東野:シングルやペアのように、アイスダンスのGOEを11段階に増やすという提案が技術委員会によってもう2年前からなされたっていうのも、スケーターの技術の向上がめざましく、すでにこれまでの評価では足りないというのが元々の発想だったんですね。

小塚:-3から+3までだったんですよね。

東野:はい。それが-5から+5の11段階になります。で、やはりスケーターの技術の革新というのは、シングルやペアは数字で表すことができますよね?「4回転時代に入った」とか。でもアイスダンスは、優れた技術に裏打ちされたものも、なかなか数字とかで表すことができない。それゆえに、競技性をより突き詰めていく部分と、アイスダンスが観客や視聴者の方とより一体化し競技性をほぼ忘れてしまうような芸術性、そのバランスを膨らませていく。だから、よりおもしろいプログラム、より音楽性のあるプログラムを目指していくっていうのが根本ですね。

小塚:そのための1つの改正点だと思うのですが、去年まではショートダンスという名称でしたけど(今年からは)リズムダンス。それについては何か意図があるのでしょうか?

東野:2010年以降、それまでアイスダンスは3つのカテゴリーで競技されていたものが、ショートダンスとフリーダンスの2つになりました。そして今年からそのショートダンスが「リズムダンス」に名称変更されたわけですけれども、これはどうして?と皆さん率直に思うと思うんですね。例えばシングルやペアに置き換えて考えてみますと、競技時間や内容は違うけれども、スケーターにとって選曲はまず自由ですよね?戦略はいろいろあると思いますけれどもね。

小塚;ま、そうですね。どのジャンルを選んでも別にいいですね。

東野:アイスダンスの場合は、初日競技のショートダンスでは、最初からリズムが毎年指定されています。なので、選曲の第一歩は、その毎年指定されるリズムを踏まえて、曲をまず選びます。

小塚:ふーん、なるほど。

東野:去年だったらラテンアメリカン、その前だったらスパニッシュリズムとか、そのジャンルから決めていきます。そして、すべての表現やプログラム構成、繋ぎの動きなど、そのリズムをどのように表現していくか、ここが1つのコンセプトなんですね。で、この2010年から8年間に行われた2度のオリンピックでそれが非常に成功を収めて、それならば、そのダンスのコンセプトであるリズムというものをより前面に押し出して皆さんにご紹介したほうがストレートではないか、と。名称が変わったのはそういう理由です。

小塚:見てる人にわかりやすいように、ということですね。

東野:はい、そうですね。すべてがリズムに則った、ということです。ただ、リズムは毎年変わりますけれども、そのほかの大まかなところというのは、以前のショートダンスとはそんなに変わっていません。

【リズムダンス(RD)】

18/19シーズン課題「タンゴ」

小塚:リズムダンスについて、要素を教えていただきたいと思うのですが。こちら、アジアントロフィーで、パーソンズ兄妹が実際に滑ったリズムダンスの要素を書き出してみました。というのも、実際にやったものを見たほうがわかりやすいかな~と思ったので。

東野:そうですね。まず、リズムダンスと名称が変わりましたけれども、その中のコンセプトは一緒で、毎年指定のリズムがあります。今年の課題リズムは「タンゴ」なんですね。タンゴがメインで、そのほかにオプションとして1つ違うリズムを足しても、スケーターの自由です。タンゴだけで2分50秒(+/-10秒)を構成してもオッケーだし、オプションとして1つ違うリズムを足してもオッケーです。だからカップルによっては、タンゴとスパニッシュ系のものを合わせている人たちもいますね。

小塚:ああ、なるほど。

東野:で、要素の数は5つです。これも何か暗号みたいなんですけれども(笑)、上から1つずついってみましょうか。

小塚:はい、お願いします。

■ショートリフト(7秒)

東野:まず1番目は「CuLi4」。リフトですね。「Li」=リフトと書いてあります。リズムダンスの要素として入れられるのは、7秒のショートリフト。昨年も説明をしたんですけれども、リフトは4種類あります。ここではパーソンズ兄妹はカーブ(Cu)リフトを選びましたが、ストレート、カーブ、ローテーショナル、あるいはその場で回っているステーショナルの4種類の7秒のショートリフトから1つを選びます。

小塚;はい。

■ツイズル(SqTw)

東野: 2つ目の要素(SqTwL4+SqTwM4)ですね。

小塚:なんか、あれですね、暗号のようになってきましたけど(笑)。この「+」っていうのは何で付いたのですか?

東野:それではちょっと順番に(笑)。昨年度までは、要素に対して1つのレベル評価が付きました。GOEも1つだったんです。で、この「Tw」、これはツイズルですね。この2つ目の要素の正式名称は「コンビネーション・セット・オブ・シークエンシャル・ツイズル」というんです。昨年まではツイズルといったら1つだったんですけれども、今シーズンからはこの「L」が付きます。

小塚:この「L」は?

東野:Ladies(レディース)の「L」です。で、「M」はMens(メンズ)の「M」です。つまり男性と女性別々にレベルの評価計算値が出てきます。ですが、ダンスは男女が1つのユニットで演技をするというのが基本ですので、それらを合算したものに対してGOEは1つです。「セット・オブ・ツイズル」というのは、昨年度も説明したとおり、パートナー同士が離れた状態で片足で1つのツイズルをし、短いステップを踏んでもう1つツイズルするというもので、これが2つセットで必須要素の中には組み込まれなければなりません。

小塚:っていうことは、昨年まではこのベースバリュー=基礎点が2人一緒に評価されていたのが、間に「+」があるってことは今年からは別々に評価されるのですか?

東野:いいご質問だったんですけど(笑)。実は昨年度までも、評価は別々に分業でしていたんですね。テクニカルパネルは、スペシャリストが女性を見ていたら、アシスタントスペシャリストは男性を見ていました。ですが、エラーがあった場合、まあ不運にもどちらかが転倒してしまったとか足を着いてしまったとかの失敗があった場合は、低いほうの評価に合わせられていたんですね。

小塚:じゃ、どっちかがミスをしちゃった場合は、この「SqTwL4+SqTwM4」から「4」という表記がなくなっちゃって、「3」だったりとか「2」だったりとかになるのですか?

東野:そうですね。「4」というのはやはりすべての要素ができて、ツイズルもきちんとトラベリングしている場合です。例えば途中でもし回転数が満たなくて足を着いてしまったりしたら、そこで終わってしまいます。男性は4回転できたけれども女性はミスがあって2回転で足を着いてしまった。そしたらば、その時点で終わってしまう。そうすると、このパーソンズ兄妹の場合は男女ともに最高レベルの4+4だったんですけれども、これが2+4という場合もあり得るということです。

小塚:じゃあほんとにこう、男子と女子と、今までも評価は別々にやっていたんだけれども、表記も別々になったということなんですね。

東野:はい。今まで評価の計算は1個、得点は1つだったんです。悪いほうに合わせる、と。でも今回からは別々に計算値ができている。得点というのが非常に競っておりますので、少しでも透明性を持って、ということで。

小塚:なるほど。じゃあ例えば隣のパートナーが失敗しちゃったとしても、自分だけは頑張っといたらとりあえず…。

東野:これはね、何とも説明が苦しいんですけれども(笑)。やっぱりこう、関わらず、自分は自分で(笑)。

小塚:とはいえ、両方で別々で点数が計算されて、基礎点は足すにしても、GOEっていうのは1つになるんですね。

東野:そうですね。やはり(男女2人の動きが)シンクロの状態が最も好ましいわけですね。2人の距離感とか、アイスダンスではペアとはまた別の概念ですので、必ず2人は1ユニット。腕2本以上離れてしまったら、GOEのほうで必ずこう、どんどん…。

小塚:引かれていってしまう、と。

東野:はい、そうですね。

小塚:じゃ技術点はどちらかというとシングル的な、シングル・ペアとかっていう考え方になったけれども、GOEは1つで、根本はアイスダンスとしては変わってないよってことですね。

東野:はい。これはやはり、シングルでもジャンプを失敗してしまう場合ってまあ多いんですよね?アイスダンスでもやはり失敗してしまう場合がある。でもそこは競技ですので、得点に反映されていうという形になります。去年までの表記ですと、この「L」とか「M」とかが無かったんですね。それが、今年から女性・男性別々の表記になりました。

小塚:女性・男性の分を足し算した基礎点があったうえで、それに対してGOEが計算される、と。

東野:そうです。で、要素名の前に「コンビネーション」と付くものが、今シーズンからは男女別々のレベル評価値による計算になります。やはりリフトやステップは共同作業ですので、男女別々にレベルを付けるということはできないので。

小塚:別々にやっているものについては、コンビネーションという名前が付いて、別々のレベル評価が出てくる、と。

東野:そうですね。

パターン・ダンス・エレメンツ

小塚:3番(1TR3+kpNYYY)と4番(2TRB+kpTNTN)の2つの要素は、リズムダンスになる理由と言ってもおかしくないものだと思うのですが?

東野:そうですね。まず、この3番と4番の要素というのはリズムダンスでは「パターン・ダンス・エレメンツ」というもので、これまでのショートダンスにも組み込まれていました。これがリズムダンスの大きな特徴の1つです。18/19シーズンのシニア・リズムダンスのパターン・ダンス・エレメンツの課題が、「タンゴロマンチカ」というパターン・ダンスなんです。2010年以前にコンパルソリーダンスという競技がありましたが、その課題がそのまま入っています。

小塚:なるほど。それが、タンゴロマンチカ。「TR」ですね。

東野:そうですね。これは、このボードにご紹介してありますとおり、すべて足の順番が決まっています。

小塚:なるほど。スタートがここなんですね。

東野:はい。男性のスタート位置、まあ2人のスタート位置ですね、そのステップも、片足に乗る拍数も、決まっています。ですから、カップルがすべて同じステップを踏む。で、これはステップの数が1番から最後は49番、リンクを約50秒かけて1周するので、非常に長いダンスなんですね。

小塚:はい。

東野:この「1TR」というのは「タンゴロマンチカ、セクション1」という呼び名で、ステップの1番から27番までです。これを1つの要素として、レベルの評価とGOEの評価をしていきます。で、「2TR」というのが、28番から49番、これを「セクション2」としてレベル評価とGOE評価をしていきます。

小塚:なるほど。

東野:この「TR」というのは課題の頭文字を取っていますので、課題が毎年変わりますからここも毎年変わっていきます。で、ダンスの長さによって、(セクションを)2つに分ける場合もあれば、1つにする場合もある。そこは毎年の臨機応変な対応という形になっています。

小塚:では、この3番の要素にある「3」や4番の要素にある「B」に関して言うと、これはレベルのことですよね?

東野:はい、そうですね。ちょっと先に、今年度から新しく登場した、4番の要素(2TRB+kpTNTN)にある「B」についてご紹介しておきたいと思います。これまで、シングル・ペアでは、かなり数年前からベーシックレベルがありましたが、アイスダンスは昨年までステップ・シークェンスを除いては1から4の4段階評価だったんです。

小塚:あの、シングルの場合ですけども、やってはいるけどレベルの要素が取れなかった場合、ベーシックという形になっていたんですが。

東野:ケースバイケースではあるんですけれども。転倒して要素が全然認められなくなってしまった場合など、1を満たさない場合に「B」というのはステップ・シークェンス以外は無かったんですね。でも今年から、すべての要素に「B」=ベーシックレベルが設定されて、5段階になりました。ですので、これまでは(レベルが)1を満たさなかったらGOEがちょっと悲しい結果になってしまったのですが(笑)、それはなくなったんですね。

小塚:ベーシックというものになって、GOEは付くようになったんですね。

東野:はい。まあやはり、転倒でエレメンツがなくなってしまうとか、必要な部分が欠損で満たなかったとかいう場合は、やはりノーレベルとかノーバリューとかっていうのが存在はしていますが。ベーシックが設定された大きい背景というのは、ノービスのまだ小さいカップル、レベルの1を満たすかどうかのときに、やはりきちんと試合でも得点を得てモチベーションを高めていくというのは大変大切なことなので。日本では小さいカップルのアイスダンスの大会というのはまだそれほどないんですけれど、ヨーロッパや北米では多くノービスの国際大会があるので、そういったことが背景になっています。

「Kp」キーポイント

小塚:この、レベルを決めるっていうのは、どういうふうに?

東野:このリズムダンスのパターン・ダンス・エレメンツの大きな特徴として、キーポイント=「kp」というワードがあります。この長いステップなんですけれども、ちなみにこれはもう、スタートの位置も全部決まっています。ジャッジの左側が1番でないとだめ(笑)。

小塚:じゃあこっちの反対側(セクション2)からスタートしたらだめなんですね。ちなみに、セクション2からスタートして、セクション1に入っていくというのは?

東野:まあ応急処置はあるんですけれども、基本は1から。1、2の連続です。1と2の間に何か入れたりしたらだめ。要素も必ずセクション1(3番要素)の次にセクション2(4番要素)と繋がります。もちろんジャッジは、セクション1が1番から27番、セクション2は28番から49番、全部を評価します。

小塚:なるほど。じゃあGOEはすべて…。

東野:すべてです。でもテクニカルパネルは、このキーポイント「Kp」という、指定された部分のステップだけを見ます。

小塚:なるほど。じゃあこのレベルの「3」とか「B」とかと「kp」は連動してるってことですね。

東野:そうですね。で、そのキーポイントというのはどこなのか、っていうことなんですけれども、各セクションに4か所設置されています。まず、1TR(タンゴロマンチカ、セクション1)のキーポイントの1番は、女性のステップの8番、9番、10番ですね。で、キーポイントの2番として男性も8番、9番、10番です。そしてまた女性で、16番から24番、これがキーポイントの3番ですね。同じく、男性は16番から25番までなんですね、これがキーポイントの4番です。(テクニカルパネルは)ここのステップだけを見ます。クリーンなエッジで滑れているか、きちんとしたホールドで滑れているか、乗っている拍数が短かったり長かったりしないか、ということで。

小塚:3番の要素(1TR3+kpNYYY)の後半部分、暗号みたいなんですけど。

東野:「N」はNo(ノー)ですね。ということは、どこかのステップが定められたものどおりに演技されていなかった、パフォーマンスされていなかった。アウトサイドとかインサイドとか正しいターンとかいろいろ列挙されているリクワイアメント(規定要素)があるんですけれども、残念ながらそれらをすべて満たしていないと「Y」(Yes、イエス)にならないので。

小塚:じゃ、3番の要素(1TR3+kpNYYY)でいうと、キーポイントの1番の3つのステップのどれかが滑れていなかったということですね。だから「N」が付いてしまったと。

東野:そうですね。これはちなみに女性のものですね。同じステップでも、男性側はオッケーで「Y」です。2番、3番、4番、すべて「Y」です。あとは単純です。「Y」の数だけレベルが付きます(笑)。

小塚:なるほど。じゃ、「1TR3+kpNYYY」の後半部分というのは、キーポイント4つのうち3つクリアしたよ、だからレベルは3ですよということで(前半部分の最後に)「3」が付いているんですね。

東野:そうです、はぁ~って感じですよね?この説明(笑)。

小塚:まあでも、わかったら、わかりやすいですよね。

東野:そうですね。最初はこれ(後半部分のNやY)が無かったんですね。でもスケーターやコーチがスコア/ディテールを見たときにどこがOK or 残念だったかが自らフィードバックできるようにだんだんなっていきました。

小塚:なるほど、はい。では4番の要素(2TRB+kpTNTN)はセクション2になるんですね。

東野:はい。これがですね、セクション2はステップの28番から始まるんですけれども、キーポイントの1番は29番から始まって30番、31番となります。これは、男性と女性の共同作業によって「Y」か「N」を判定します。両方オッケーじゃないと「Y」になりません。

小塚:なるほど。セクション1のときは全部男女バラバラで評価していたけど、セクション2になると、キーポイントの1番として共同で、男性も女性も2人ともYesじゃないと「Y」にならない。

東野:キーポイントの2番は女性単独で、35番から37番。キーポイントの3番は男性単独で、35番から36番。キーポイントの4番は共同作業で、44番と45番。これらに対して先ほどのように「Y」「N」がつく。だから、両方オッケーでないとだめだ、と。

小塚:なるほど。じゃあどちらかというと、こちら(キーポイントが共同作業のもの)のほうが、2人で一気にっていうことで、評価されにくいと言ったらそうかもしれませんね。

東野:難しいかな~、はい。

小塚: Yesだったら「Y」が4つ並ぶわけなんですけれども、この「T」っていうのは何ですか?

東野:「T」っていうのはですね、例えば、(表内の)ここに4とか書いてありますよね。

小塚:ああ、小さく書いてありますね。2とか4とか。

東野:数字が2+1とか書いてあります。この決められた拍数きちんと乗っているか。たとえエッジがクリーンであっても、短かったり長かったり、男性だったら2拍アウトサイドエッジなのが1拍でチェンジエッジ早めにしちゃったりとか、そうするとタイミングという形になって。

小塚:ああ、じゃあこれはタイミングの「T」なんですね。

東野:タイミングです。これはNoと同じ扱いなんです。だからYesじゃないと数字が伸びないんです。

小塚:そうなんですね、なるほど。じゃあYesだけがレベル認定をされる要素になる。

東野:Yesだけが数字を足していくことができるものなんですね。

小塚:じゃあ、この(後半部分の)「TNTN」っていうのは、「Y」がないからレベル1にならないので、(前半部分の最後に)ベーシックレベルの「B」がつくんですね。

東野:そうですね。ベーシックレベルというのは、ステップの75%を滑っていることが要件なんですね。で、この「TNTN」っていうことは、エッジはクリーンだったけれども、タイミングの問題だよっていうことが、選手やコーチにフィードバックできるように新しく設けられました。最初は「Y」と「N」しか無かったんですが、「T」という記号もできました。

小塚:じゃあ「T」は、結構「Y」に近いよ、次は「Y」をとれるよっていう(笑)。「N」はもうちょっと頑張らないとってことなんですね。

東野:まあ1回1回の出来栄えによって違うと思いますが(笑)。

小塚:「T」はタイミング、リズムの問題だったよ。リズムダンスはすごくリズムを大切にするっていうところで、「T」が新しく加わったという。

東野:そうですね。シニアの場合は得点が非常に僅差ですので、リズムダンスではパターン・ダンス・エレメンツのキーポイントというのが非常に大きいウェイトを占めてきますね。クオリファイするのかしないのか、っていう形になったり。

ステップ・シークェンス

小塚:じゃあ最後、5番目の要素「Mist2」です。

東野:これはステップ・シークェンスです。シングルにも同じようにステップ・シークェンスがありますが、ダンスの場合基本的な考え方はシングル・ペアと同じですけれども、リンクの氷上に描かれるパターンによって区別されています。中央線(ミッドライン)、このボードがリンクだとすると横に一直線に走る線ですね。それともう1つは対角線(ダイアゴナル)、そして円形(サーキュラー)です。この3つから選んでいただく、と。

小塚:なるほど。

東野:去年までは必ず頭に「Nt」(ノンタッチ)がついて、「NtMi(Ntミッドライン)」とか「NtDi(Ntダイアゴナル)」とかいう形の記号だったんですけれども、今年はそれが外れました。理由は、もちろんノンタッチでそのパターンをまったくホールドすることなく行っていいし、全部ホールドして行ってもいいし、それをしたりしなかったりコンビネーションしてもいいし、バリエーションがぐっとこう増えたわけです。

小塚:なるほど。じゃあ見てる人にこう…

東野:そうですね。やはりこう音楽の特性を生かして、特に今年はタンゴですので途中で止まったり戻ったり絡んだりしてもいいという、非常にバリエーション豊富なプログラムを作って欲しいという意向なので、この「Nt」は外れて「ノンタッチでもいいです」っていうことになったんですね。

J SPORTS編集部

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