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フィギュアスケートの中で最もアクロバティックなペアは、さらにその面が強くなりつつある。トップクラスのペアは、空へ飛んで行ってしまうのではないかと心配になるほど、高く遠くへパートナーを投げる。強い信頼関係こそがそれを可能にするのだ。
パートナーを変更して進化と変身を遂げたアリョーナ・サフチェンコとブルーノ・マッソーのドイツペアVSロシア勢の争いになると予想されていたが、サフチェンコ&マッソーが平昌五輪へ向けて集中して練習するという理由で欠場となり、選手権の行方は新たな様相を呈してきた。
昨季優勝のエフゲニア・タラソワ&ウラジーミル・モロゾフは今季グランプリファイナルでは表彰台は逃したものの、その失敗が成功のもととなり、昨年末の国内選手権を制し、確固たる自信を持って自国開催の欧州選手権に臨む。昨年4位のクールなクセニヤ・ストルボワ&フョードル・クリモフ、5位のエレガントなナタリヤ・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト等強力なロシア勢に、昨年の銅メダリストのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ(フランス)、ヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレック(イタリア)、ニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ(イタリア)等、花も実もある各国の人気ペアがどう絡んでいくかが注目される。今大会台風の目となるロシアのペア3組は、いずれもニーナ・モーゼルコーチに師事しており、まさにモーゼルチームの黄金時代と言えるだろう。環境とロシア伝統のペア育成の指導技術が、選手の技術を磨き、矜持を保つことを学ばせるのだろう。
今回怪我により苦渋の欠場となったチェコのアナ・ドゥシュコヴァー&マルティン・ビダシュ組のように、カップル競技でパートナーを変えずに成長するペアは奇跡に近い。身体面では運動神経の水準の合致、心の面では性質と性格の相性の良さが求められる。ザビアコ&エンベルト組を例に挙げると、二人ともパートナーを4回組み替えている。しかもザビアコはエストニアの出身だ。
そうかと言うと、他にも、マルケイ&ホタレックのように、キャリアを積んだペアスケーターが新たなパートナーと組んで成功する例も少なくなく、ペアの旅路はまさに千差万別だ。
でも、世界各国の選手達のインタビューを聞いていつも思うことは、ペアにとって一番大切なことは「パートナーを思いやる心」なのだということ。
強く優しく美しい選手たち跳び、飛び、翔ぶ。百花繚乱のヨーロッパペア選手達がモスクワで咲き誇る姿を見るのが待ちきれない。
セルゲイ・ヴォルコフスキー
1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。
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