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フィギュア スケート コラム 2017年12月15日

【小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ2017】

小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by 小塚 崇彦
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小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ2017

12月~1月は各国のナショナル選手権がピーク!また、1月にはヨーロッパNo.1を決定する「ISU欧州フィギュアスケート選手権」や、ヨーロッパ以外の選手が集結する「ISU四大陸フィギュアスケート選手権」も開催されます。今回は「全米フィギュアスケート選手権2018」と「ISU欧州フィギュアスケート選手権2018」の見どころについて、「フィギュアスケート・ラボ」でおなじみの小塚崇彦さんにお伺いしました。
(インタビュー実施:11月)

ここが見どころ!全米&欧州フィギュアスケート選手権

小塚崇彦さん

全米選手権は、オリンピック代表の最終選考の場となるので、アメリカ国籍の選手たちはこの大会に合わせて調整してきます。本気で戦う姿が見られる大会です。
欧州選手権は、世界選手権や五輪よりも歴史が古く、権威のある大会です。各選手、しっかりと実力を見せにくると思います。
どちらの大会もオリンピック前の、ベストな演技を見ることができる場となり得ます。各国の代表がどのくらいの点数を出してくるのか楽しみです。

アメリカ男子の注目選手

ネイサン·チェン選手は、5種類の4回転ジャンプを跳びますが、ジャンプだけではなく総合的な力を持っています。彼が5種類の4回転を跳んだことは、ライバルである日本の羽生結弦選手、宇野昌磨選手にも大きな影響を与えていると思います。今シーズン、羽生選手は4回転ルッツ、宇野選手は4回転サルコウを新たに入れていますが、チェン選手がいなければ、あえて入れてくることはなかったと思います。種類を増やすことで4回転を入れる回数も多くなり、基礎点が極めて高くなります。総合的に考えた時、4回転3種類で構成されたプログラムではダメだという意識が生まれたのかなと思います。チェン選手以外では、ジェイソン·ブラウン選手、アダム·リッポン選手、若手のヴィンセント·ジョウ選手などが有力選手で、選手の層もかなり厚くなっています。誰が3枠目のアメリカ代表を勝ち獲るのかも含めて見どころです。

ネイサン・チェン

ネイサン・チェン選手

アメリカ女子の注目選手

アメリカでは昨年優勝したカレン·チェン選手が、今シーズンもっと成長してくるのかなと予想していましたが、思ったほどはスコアを出せていません。その隙をうかがって、日本人を両親に持つ長洲未来選手が、トリプルアクセルを決めてきました。バンクーバーオリンピックでの素晴らしい演技が印象に残っていますが、その後、回転不足などでなかなか点数が出なかったりと、ここまでいろいろな経験をしてきています。過去にトリプルアクセルに挑んでいた時期もありましたが、その時とは違って、経験を積み重ね他のジャンプなどが安定した上でトリプルアクセルを跳んでいます。ベテランのアシュリー·ワグナー選手も、まだまだ私はできる!という滑りを見せてくれます。また、プレッシャーに強く、全米選手権のような一発勝負のここぞという試合でいい滑りができる選手です。

長洲未来

長洲未来選手

セルゲイ・ヴォロノフ

セルゲイ・ヴォロノフ選手

欧州男子の注目選手

ハビエル・フェルナンデス選手が現在5連覇中です。彼は羽生選手と一緒に練習をしていますが、間近で羽生選手の練習する姿に影響されて、競争する気持ちがいい方向に出ています。今、自分が何をすべきかしっかりとしたビジョンを持って練習に取り組んでいて、ブライアン・オーサーコーチや周りのスタッフがうまくコントロールしているのが結果を出し続けている要因だと思っています。
オリンピック代表枠が2枠のロシアですが、マキシム・コフトゥン選手がけがで結果を出せない中、今シーズン、ミハイル・コリヤダ選手が非常に伸びています。また、NHK杯ではセルゲイ・ヴォロノフ選手も素晴らしい滑りを見せてくれました。彼は世界ジュニアにも一緒に出ていたので、つい応援したくなりますね。
イスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手は、しっかりとジャンプも決めて、独創性もあるので安定して点数が出ています。また、ラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手は、ステファン·ランビエールさんがコーチを務めていますが、コーチに似ているという印象を持っています。選手を見ていると“あのコーチのところの選手かな?”と、教わっているコーチの特性を感じることがありますが、ヴァシリエフス選手のパフォーマンスにはやはりランビエールさんの影響を感じます。

カロリーナ・コストナー

カロリーナ・コストナー選手

欧州女子の注目選手

GPシリーズでも活躍したエフゲーニャ・メドヴェージェワ選手、アリーナ・ザギトワ選手、マリア・ソツコワ選手。他にもエレーナ・ラジオノワ選手、ポリーナ・ツルスカヤ選手、元世界女王のエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手もいます。現時点ではロシアの女子選手の誰が出るのかわからないのですが、それも含めておもしろい戦いになりそうです。中でも、メドヴェージェワ選手はスコアも実績もいち抜けの状態です。これまで勝ち続けているという自信もあると思いますが、僕が番組で取材をした時に感じたのは、競技として戦っている他の選手とは別の次元にいて、フィギュアスケートを通して周囲にメッセージを伝えようとしている印象を受けました。そこも彼女の強さの一部になっているのかもしれません。メドヴェージェワ選手も含め、ロシアには、平昌だけでなく次の北京オリンピックでも日本選手にとって強力なライバルとなる若手選手がたくさんいるので、そこにも注目です。
現在は、2004年に導入された新ルールしか経験していない若い世代の選手に入れ替わり、ジャンプもスピンもステップもオールパッケージで戦える選手がスコアを伸ばしています。そんな中で、イタリアのカロリーナ・コストナー選手は、僕がシニアに上がる前から世界で戦っている選手です。何よりもポジションがきれいで、洗練されたフィギュアスケートを見せてくれます。点数や順位に関係なく、そのスケーティングをただただ見ていたい。そんな気持ちにさせてくれる選手です。

最後に、日本代表についてです。

日本女子

今シーズン、樋口新葉選手がとても元気です。また、けがから復帰した宮原知子選手はもともと実力がある選手ですので、ここから本格的に(ホップ)・ステップ・ジャンプ・着地、と100%に近いところまであげていくと思います。ダイナミックな演技の本郷理華選手は、ジャンプを決めてこそスコアが出ると思います。昨年、ニュースターのような形で出てきた三原舞依選手は他にはない個性を持っています。ジャンプの安定感もあるのですが、SPを苦手だと思わずに滑りきればもっと点数が出るはずです。ジュニアから上がった本田真凜選手、坂本花織選手、白岩優奈選手は、もう1シーズンあるともっと安定した滑りやスコアも出たと思いますが、GPシリーズの経験を活かせれば、全日本でもいい結果に結びつくでしょう。

日本男子

2強の羽生結弦選手と宇野昌磨選手は盤石でしょう。それを追いかける3番手争いとしては、無良崇人選手、田中刑事選手、村上大介選手、友野一希選手らに注目です。選手皆にチャンスがある状況です。くれぐれもこれ以上のけがのないよう、オリンピックシーズンを戦ってほしいと思います。

代替画像

小塚 崇彦

1989年、愛知県生まれ。元五輪代表の父のもと、5歳からスケートを始める。2005-06シーズン、全日本ジュニア選手権・世界ジュニア選手権で優勝。2010年はバンクーバー五輪に出場、8位入賞。世界選手権は計7回出場し、2011年の大会では2位に。全日本選手権には連続12回出場し、2010年大会の優勝をはじめ、7回表彰台に上がる。2016年にトヨタ自動車へ入社。現在は解説や教室講師等、活動の幅を拡げている。

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