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1年間の社会人生活を経て、今年2月、フィギュアスケートの世界へ戻ってきた、日本を代表するトップスケーター・小塚崇彦がお送りする「小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ2017」。平昌五輪に向けて、ペア・アイスダンスといったカップル競技にも注目が集まる中、この番組では美しいスケーティングと独自のスケート理論を持つ小塚崇彦がカップル競技について徹底研究。みなさんの「?」を解消します。
「小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ2017 ペア 前編」はこちらから
【特別講師】
岡部由起子(おかべ・ゆきこ)。元ペア・シングル選手。79年全日本選手権のペアで優勝。当時のパートナーは無良崇人の父無良隆志氏。現在はISUのテクニカルコントローラー、レフェリー、ジャッジとして国内外で活躍。16年から、ISU技術委員を務める。J SPORTSの解説者としてもお馴染み。
ペア競技の魅力・特徴
小塚:今回はペア競技について研究をしていきたいと思います。ペアはシングルと比べてルールなどもあまり知られていないところが多いと思います。
岡部:そうですね。日本においては特に、シングルに素晴らしい選手が多くて、ペア・アイスダンスは露出も少なく、ルールに触れることも少ないと思うので、その辺りを今回一緒に勉強していけたらいいなと思っています。
小塚:岡部さんはペアスケーティングもされていたということで、そもそも2人で滑る難しさはどこにありますか?
岡部:プログラムをやっていく上で、シングルの選手だと例えば「ジャンプに集中したいからここ抜いちゃおう」とかできますが、それが絶対にできないことですね。それをやってしまうとペアとしての一体感が無くなってしまいます。バラバラになってしまうので勝手なことは絶対できないです。
小塚:自分勝手にはできないってことですね(笑)
岡部:ペアとアイスダンスは2人で滑る競技ですが、ペアの選手は男性がとても大きくて、女性が小さいです。身長差があるにも関わらずジャンプを揃えていかなければいけない。滑り方の癖や体格、脚力、身体能力も違う2人がいかにピタッとエレメンツを合わせていくかが難しさとも言えます。
小塚:身長差でいうと20~30cmくらい違う選手もいますもんね。
岡部:リフトにしてもスロージャンプにしても、女性も男性も自分だけのことをしていない。パートナーがいて、そのパートナーにアシストしてもらったり、アシストしながらエレメンツをこなしていくことの難しさ。それは絶対にシングルではありえない世界です。長い間一緒にペアを組んでいると、パッと手を出したときにパートナーの手がそこにある。距離の感覚とか全てが、そんな世界に入っていきます。
ペアの要素
①リフト
②ツイストリフト
③スロージャンプ
④ソロジャンプ
⑤デススパイラル
⑥ペアスピンコンビネーション
⑦ソロスピン
⑧ステップシークエンス
⑨コレオグラフィックシークエンス
小塚:この中で、シングルと同じで覚えやすいのは、ソロジャンプとソロスピン…
岡部:ペアスピンコンビネーションもバリエーションが多くないので、覚えやすいです。あと、ステップシークエンスとコレオグラフィックシークエンスですね。
小塚:シングルを知っている人が覚えないといけないのは4つ(リフト、ツイストリフト、スロージャンプ、デススパイラル)になりますね。
岡部:そうですね。
【1】リフト
■グループ1:アームピットホールドリフト
・男性が女性の腋を支えるリフト
・唯一男性の腕が伸びないリフト
■グループ2:ウエストホールドリフト
・男性が女性の腰を支えるリフト
■グループ3:ハンドトゥヒップリフト
・男性が女性のヒップを支えるリフト
・女性が上がった瞬間は「スター」とう形になる
・ポジションの変更をすることで、レベルが1つ上がる
■グループ4:ハンドトゥハンドリフト プレスタイプ
・男性が女性の両手を持って、まっすぐ持ち上げるリフト
・回転がかからず、男性と女性が違う方向を向いている< /p>
■グループ5:ハンドトゥハンドリフト ラッソータイプ
・男性が女性の両手を持って、回転しながら持ち上げるリフト
・この中でさらに以下5種類が分類される。
5Tli(トウラッソー)、5SLi(ステップインラッソー)、5ALi(アクセルラッソー)、5Bli(バックワードラッソー)、5Rli(リバースラッソー)
小塚:シニアの試合だとグループ3くらいから。
岡部:そうです。3、4、5。
小塚:5の中にも色んな種類がある。
岡部:そうです。シニアのフリーでは3つリフトを入れられますが、1つはグループ5以外のものを入れなければいけないルールがあります。バリューはグループ5が一番高いのですが、3つ全部グループ5にできないので、グループ3、4も入ってきます。
小塚:なるほど。ジャンプの種類2回までしか繰り返してだめだよってやつと一緒ですね。
岡部:そうです。
(2)ツイストリフト
小塚:続きまして、ツイストリフトにいきたいと思いますが、これの特徴としてはなんですか?
岡部:一番の特徴は、男性が女性の腰をもって高く放り投げるというか。そして女性が回転する。今は横回転が主流です。私たちがやっていたときは縦回転でした。横回転の方が高さも出るし、たくさん回転できると思います。その高さがどれだけ出せて、ダイナミックなものにできたか。
岡部:シングル、ダブル、トリプル、いまはクワドもやる選手がいます。さらに1~4のレベルもあり、レベルの獲得方法にはステップから直ちに入っていったかとか、女性がスプレッドポジションをとれていたかとか、それから男性が放り投げた腕の肘を伸ばした状態で肩より下に下げることができていたかどうかなどがあります。放り投げた腕を肘を伸ばした状態で肩より下に下げてからキャッチすることは本当に難しいですが、うまい選手はやっています。滞空時間が長いとそれがやり易いです。
小塚:レベルを獲得するために縦回転から横回転に変わっていったんですか?
岡部:そうですね。システム自体が変わりましたよね。レベルが付くようになる前から実は中国が横回転をするようになってよりダイナミックになっていきました。
小塚:どうやって軸をまっすぐ保つかでやっているなかで、横で綺麗に回転しているのはツイストリフトならではですね。
岡部:ツイストリフトの難しいところは、男性が空中で回転している女性をキャッチして下ろさないといけないところ。だから、高く上げてキャッチして下ろす作業を一瞬の間にするって、本当に信頼関係がないと任せられないことです。さらに女性が男性に全く触らず、男性が女性のウェストだけをキャッチして下ろすとまた更にレベルが上がります。
小塚:一瞬の間に色んな事やらないといけないですからね。
【3】スロージャンプ
岡部:スロージャンプは先ほど少し説明しましたが、シングルと同じように踏切がある。男性が女性を放り投げて、女性は男性のアシストなしで下りないといけない。
小塚:ジャンプの入り方として、ループ、アクセル、トリプルなど6種類あるんですね。
岡部:これの難しいところは、女性が自分の力だけでなく、男性の投げる力も加わった状態でとんでいます。実際にご覧になったことのある方はどれだけ迫力があるか分かると思いますが、女性が自分一人で体勢をコントロールして下りてくることの大変さです。高さがあればあるほど、幅があればあるほど難しくなります。
小塚:回転のスピードの調整とかも難しそうですね。高く上がる分だけ3回転のつもりが3回転半になったりとか。
岡部:そうかもしれないですね。意外と軸をとることが難しいです。自分の力だけで飛び上がっているわけではないので、タイミングを合わせないと軸がとれないです。なので、ときどきスロージャンプの失敗をみると軸が曲がってしまって失敗するケースが多いです。
小塚:シングルと一緒で縦回転でなるべくまっすぐ回転するのが大事なんですね。迫力という点ではペアの魅力の一つですよね。
岡部:そうですね。ツイストとスロージャンプにおいてはシングルと比べて全く高さが違うので、みどころの1つですね。ダイナミックです。(前編ここまで)
放送情報
11月07日 (火) 午後11:00~午後11:30 [初回]小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ2017 ペア後編
テレビで見るなら「スカパー!」
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![代替画像](https://news.jsports.co.jp/img/column_substitute_16.jpg)
小塚 崇彦
1989年、愛知県生まれ。元五輪代表の父のもと、5歳からスケートを始める。2005-06シーズン、全日本ジュニア選手権・世界ジュニア選手権で優勝。2010年はバンクーバー五輪に出場、8位入賞。世界選手権は計7回出場し、2011年の大会では2位に。全日本選手権には連続12回出場し、2010年大会の優勝をはじめ、7回表彰台に上がる。2016年にトヨタ自動車へ入社。現在は解説や教室講師等、活動の幅を拡げている。
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