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フィギュア スケート コラム 2017年2月20日

スケートとは

木戸先生直伝!今からでも間に合うアイスダンス観戦講座 by 木戸 章之
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アイススケートとは氷面を滑る(滑走する競技である)スケートにはフィギュアスケートとスピードスケート、そしてショートトラックがある。この3カテゴリーがスケート連盟の守備範囲である。そして、同じく氷上を滑走する競技であるが、アイスホッケーというものも存在し、それはアイスホッケー連盟が担当している。  フィギュアスケートは氷上で滑りながらジャンプやスピン、そしてステップなどの技を行う競技である。現在オリンピック競技としては男子シングル、女子シングル、カップルで行うペアやアイスダンスの競技が存在し、それぞれに魅力がある。
 シングルにはかつて氷上に決められた図形を描きその正確性を競うコンパルソリー、アイスダンスには決められた音楽に合わせて決められたステップを踏むコンパルソリーダンスというものが存在していたが現在は廃止されている。

シングル競技とカップル競技の違い

シングル競技は一人で行い、カップル競技は男女二人で行うものである、と言ってしまえば元も子もないが、シングルとカップル競技は大きく違ってくる。
カップル競技において、パートナー同士の仲をよく聞かれることが多い。これはカップルにおいて様々であるとしか言いようがない。完全なビジネスパートナーのように氷の上でのみパートナーをやりつつ長続きするカップルもいれば、氷の外でもそれなりの友人関係だったり、男女の関係でなく仲の良い友達であることも多い。恋愛関係に陥り結婚するカップルも中にはいる。いずれにせよ、氷の上では自分の相手が一番だと思うことが長続きする秘訣であろう。
カップル競技に対してシングルの方は全員が孤独を好むかと言えば、実はそうでもない。もともと、フィギュアスケートという競技は個人種目であるがゆえか、ものすごく小さい頃からクラブに入って一貫した指導を受けるせいか(早い場合は幼稚園児もクラブに入ってインストラクターの個人レッスンを受ける場合も多い)、クラブや組織内での上下関係が比較的少ない。もちろん大学の体育会系の部活ではある程度上下関係はあるが。女子の多い世界ということもあるが、男女の関係なく、仲良くなることも多いのである。気質としては男子が少々気弱で優しく、女子が気が強い面は否めないであろう。

ペアとアイスダンスの違い

ペアとアイスダンスはその起源から異なっている。アイスダンスは社交ダンス(今でいうボールルームダンス)が起源となっているのに対し、ペアはバレエのパ・ド・ドゥ(二人で踊るもの)が起源となっていると言われている。アイスダンスはその起源から分かる通り、ボールルームダンスのステップを氷の上に移植し、スケーティングの基礎に合わせてアレンジしたものである。そのため、音楽との調和が重視される。氷の上にボールルームダンスを移植してきた競技であるため、ジャンプなどはなく(1回転以上のジャンプは禁止されている)、リフトも男性の頭より上に持ち上げるものは禁止されている。
ホールドを組みながら競技を行うのが基本となり、二人の動きは同じ動きではなく、女性は華やかに男性は女性を引き立てるように動くことが求められる。
一方、ペアはシングル競技を男女二人で行うことが基本となるため、非常にアクロバティックなものになっている。ジャンプもそれぞれがシングルと同じジャンプを行うソロジャンプと男性が女性を放り投げるスロージャンプなどがある。二人は同じ動きを同じタイミングで行うことが求められる。二人が並んで行うソロスピンなどは世界のトップクラスになるとコンピュータグラフィックのように二人がぴったり揃っていたりするものである。 以上のことから、ペアはよりスポーティーであり、アイスダンスはよりアーティスティックな面を強く持っていると言える。

世界のアイスダンス事情

世界的には近年のアイスダンスは北米を中心としている。アメリカ、カナダが圧倒的に強く、この2強の国々を追うかのようにフランス、イタリア、ロシアなどが追随している。かつてはアイスダンスはソビエトの独壇場であった。社会主義体制のもと、バレエや音楽、トレーニング、スケートの基礎様々な専門家がつき、世界トップクラスのカップルを次々と出していた。その名残で、今はトップクラスのカップルのコーチの多くはロシア人である。
競技人口としてはそれほど多くはない。フランスやイタリアを始めとするヨーロッパ諸国はアイスダンスカップルを国ぐるみで結成させ、少数精鋭で育成する。各国の国内選手権でも出場組数は10組以下であることが多い。その少数の組が世界を目指してしのぎを削るのがヨーロッパの現状である。一方でアメリカやカナダ、そしてロシアは非常に多くのカップルがいる。国内選手権でも厳しい予選を勝ち抜き、ようやく全国大会に到達するのである。

日本のアイスダンス事情

日本のアイスダンスを始めとするカップル競技を取り巻く環境は極めて厳しいものがある。日本全国スケートリンクが不足しているため、練習時間の確保が難しい。欧米の場合は、スケートリンクではほとんどの時間が選手育成のための貸切練習に割かれているが、日本のスケートリンクは一般滑走が中心となるケースがほとんどである。一般滑走での混んでいるリンクでの練習には大きな制約があるのである。加えて人材不足も深刻である。日本ではやはりシングル優位であり、アイスダンスやペアなどのカップル競技をやってみようという選手はなかなかいないのである。また男女比も非常にアンバランスで、アイスダンスを志す女子10人に対し男子は1人などということも多い。
そしてこれは全世界的に言えることであるが、カップル競技というのは継続させるのが大変難しく、カップルのそれぞれの居住地、学校や仕事などの私生活の都合、そして本人たちの相性などで、10組くらい作っても国内選手権出場にたどり着けるのは1組ないし2組くらいがせいぜいといったところである。 日本、いや世界中のアイスダンスのコーチは四苦八苦しながらダンスカップルを増やすべく努力しているのである。

代替画像

木戸 章之

1975年8月28日生まれ。 千葉県松戸市出身。芝浦工大柏、筑波大卒業。 小学校低学年でスケートを開始し、5年生からアイスダンスを始め全日本ジュニアで5度優勝。渡辺心とカップルを組んでからは2003-04シーズンから引退するまで全日本選手権で4連覇。2006年トリノ五輪に出場し15位。現在は専属コーチとして新横浜スケートリンクで、アイスダンスをはじめとしてフィギュアスケートの指導にあたる。

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